2006年12月14日

Prefab Sprout『From Langley Park to Memphis』

冬になるとこの美メロUKポップでホッとしたくなる☆Prefab Sprout『From Langley Park to Memphis』
From Langley Park to Memphis
発表年:1988年
ez的ジャンル:ファンタジー系美メロUKポップ
気分は... :ファンタジー☆

UKポップ・ロック・グループPrefab Sproutの本ブログ2回目の登場デス。
前回は僕が一番好きな5thアルバム『Jordan:The Comeback』(1990年)でした。
今回は3rdアルバム『From Langley Park to Memphis』(1988年)っす。

『Jordan:The Comeback』のエントリーでも書いたけど、僕の中でのPrefab Sproutは冬のイメージが強い。彼らのドリーミーなメリーゴーランド・ミュージックは、白い吐息のファンタジーってカンジかもね。あとは彼らの音楽を聴いていると、ふとディズニー的なファンタジーの映像が脳裏を過ぎることがある。なんでだろうね?

今回紹介する3rdアルバム『From Langley Park to Memphis』(1988年)は、成功を収めた2ndアルバム『Steve McQueen』(1985年)から3年のインターバルを経て発表された。本当はこの間に『Protest Songs』が発表される予定でしたが(結局『Protest Songs』が発売されたのは1989年)...

アルバムタイトルにあるLangley ParkはリーダーPaddy McAloonの生地近くの地名であり、Memphisは言うまでもなくロックンロール・キングElvis Presleyの生地である。そんなことから、僕はPaddy McAloonによるアメリカ探求のような内容(Elvis Costello『King Of America』のPrefab Sprout版みたいなイメージ)を一瞬想像してしまった。

でも、音を聴くと全然違っていて、Prefab Sproutらしい美メロのドリーミー・ポップ全開でシタ。どちらかと言えば、アメリカ的なロックンロールというお題でポップ・ソング集を作りまシタってカンジだよね!個人的には曲のクオリティが高くなったという印象を受けたかなぁ。『Steve McQueen』の成功を自信にし、Prefab Sproutらしいスタイルを確立したアルバムが本作なのでは?

以前雑誌のインタビューでPaddy McAloonが“『Steve McQueen』は素晴らしいけど、シリアスで真顔すぎるかもね”といった主旨の発言をしていたのを読んだことがある。その反動で本作『From Langley Park to Memphis』は、ソフィスティケイトされたポップ・ソング集に仕上げたかったのかもね。

今思うと、この明るく健康的なジャケは逆に皮肉っぽく見えてしまうのは僕だけだろうか?

本作も『Steve McQueen』同様にThomas Dolbyがプロデュースで参加していますか、今回は全10曲中4曲のプロデュースにとどまっています。

オススメ曲を紹介しときやす。

「King of Rock 'n' Roll」
キングElvisのことを歌ったもの。と言っても思い切りシニカルだし、曲調は全然ロックンロールしてないしね(笑)シングル・カットされ、UKチャート7位のヒットとなりやシタ。

「Cars and Girls」
Elvisの次はBoss(Bruce Springsteen)が槍玉に!そう言えば、本作の『ラングレー・パークからの挨拶状』という邦題を見た時に、真っ先に思い浮かんだのがBossのデビュー作『Greetings From Asbury Park NJ(邦題:アズベリー・パークからの挨拶)』(1973年)だったなぁ。

この曲ではクルマと女の子しか歌わない(?)とBossのことをチクリ。以前にBossの『The River』のエントリーで、『Born In The USA』(1984年)以降の“アメリカの国民的ロッカー”みたいなイメージに抵抗を覚えたと書いたが、そのあたりを見事にPaddy McAloon風に調理した作品だと言えるのでは?

曲自体はPrefab Sproutらしいメロディアスなポップ・ロックに仕上がっていマス。紅一点Wendy Smithのコーラスが何ともいいね。

「I Remember That」
「Nightingales」
『Jordan:The Comeback』あたりでも見られたファンタジーなサウンド&メロディが魅力の2曲。まさに夜空にディズニーの映像が浮かんできそうな曲だね。僕がこのグループに求めているのはこの世界なのかもしれないなぁ。「Nightingales」ではStevie Wonderがハーモニカで参加していマス(あんまり目立たないけど)。

「Enchanted」
Paddy McAloonらしいひねくれポップかもね。

「Hey Manhattan!」
ストリングスのアレンジが素敵な1曲。生ギターを弾いているのはなんとPete Townshendっす。ここでもWendyのコーラスがいいカンジっす。Wendyの澄み切った女性コーラスは僕にとって、このグループの思い入れのかなり大きい部分を占めているなぁ。。

「Golden Calf」
この曲はロックンロールしてマス。とってもPaul McCartneyなカンジの1曲。

「Nancy (Let Your Hair Down for Me) 」
美しくロマンチックなバラード。このグループにしか作れないタイプのじゃないかなぁ。聴いているだけで素直な気持ちになれそうな曲だよね。

「Venus of the Soup Kitchen」
ラストも幻想的な1曲。 美しいメロディがあれば、誰しも童心に戻り、そしてそこには笑顔がある...

ある意味このアルバムはアメリカ的なロックンロールというお題を借り、それと対比するかたちで音楽本来の美しさ、楽しさというものを表現したかったのかもね。

本作で確立したPrefab Sproutスタイルが次作『Jordan:The Comeback』(1990年)で1つのピークを迎えることとなる。
posted by ez at 00:05| Comment(2) | TrackBack(0) | 1980年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
はじめまして。
音楽のことで色々と検索していたら、こちらにたどり着きました。

色々と勉強になりますね。

先日8日、友人と飲んでいるときに、「今日はJohnの命日なんだよっ」て言っていたのを思い出しました。

普段あまり音楽を聴かないのですが、しかし・・・凄いライブラリですこと。

Posted by まるる at 2006年12月14日 00:47
☆まるるさん

ありがとうございます。
実は書いている本人が一番勉強になっているかもしれません(笑)
音楽って個人の嗜好がモロに出てくるので、面白いのかもしれませんね。
これからも気軽に遊びにきて下さいね。よろしくお願いします。
Posted by ez at 2006年12月14日 23:43
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