発表年:1980年
ez的ジャンル:クルーナー・ヴォイス系メロウ男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :これぞ小粋なジャズ・ヴォーカル!
今回は米国のピアニスト/シンガー・ソングライターDon Glaserが1980年にリリースした小粋でメロウなジャズ・ヴォーカル作品Don Glaser『Don Glaser』です。
Don Glaserは1941年カリフォルニア州サンディエゴ生まれ。幼少期からクラシック・ピアノを学び、その後ジャズに傾倒し、ジャズ・グループを組むようになります。その後活動の拠点を西海岸から東海岸から移しますが、司法試験に合格し、弁護士として活動するようになりました。
弁護士活動の傍らで、演奏活動を続けていたGlaserですが、いつかは自身のアルバムを制作したいという希望を持っていたようです。そして、1980年にそのチャンスが巡ってきます。長年の友人であるプロデューサー/アレンジャーJimmy Haskellのバックアップでレコーディングの機会を得たのです。しかも、バックを務めるのはHaskellの人脈による有名ミュージシャンたち!
こうしてJimmy Haskellのプロデュースにより、Don Glaser(vo、p、el-p)、Ray Brown(b)、Shelly Manne(ds)、Paulinho Da Costa(per)、Bill Perkins(fl、sax)というメンバーでレコーディングされた作品が『Don Glaser』です。
"裏Bob Dorough"とも形容されるクルーナー・ヴォイスとメロウ・サウンドが印象的なジャズ・ヴォーカル作品です。エレピのメロウ・サウンドやジャズ・サンバ/ボサノヴァ系の演奏もあるのでAORファンやブラジリアン好きも楽しめると思います。
「All The Things You Are」、「Giant Steps」以外はDon Glaserのオリジナルです。
ジャケに恥ずかしそうに写るDon Glaserのクルーナー・ヴォイスは聴く者を幸せな気分にしてくれます。
全曲紹介しときやす。
「Strawberry Jam」
エレピのメロウな音色が心地好いオープニング。小粋なスウィング感とメロウ・サウンドでリラックス!
「Love」
クラブジャズ好きもグッとくる疾走感が魅力のジャズ・サンバ・チューン。Ray Brown、Shelly Manne、Paulinho Da Costaのリズム隊が格好良すぎです。
「Baby I'm All I've Got」
ほんわかモードのジャズ・ヴォーカル・チューン。小粋なオールドタイミー感がいいですね。
「Carol」
ピアノ・ジャズ好きにはグッときそうな素敵なインスト・ワルツ。妻に捧げた曲なのだとか。透明感のある演奏が好感もてます。
「Together」
この曲も小粋という形容詞がよく似合うポップ&スウィンギーな仕上がり。のんびり過ごしたい午後のBGMにピッタリ!
「San Diego」
アルバムの中の人気曲。メロウなジャズ・サンバ・チューンです。エレピとフルートとスキャットの絡みがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=nIEMoKpeJp0
「The Horoscope Song」
ジェントルなクルーナー・ヴォイスとエレピのメロウ・サウンドが醸し出すハートウォーミングな雰囲気がサイコー!
「All The Things You Are」
Oscar Hammerstein II作詞、Jerome Kern作曲のスタンダード。1939年のミュージカル『Very Warm for May』のために書かれた楽曲です。当ブログではJohn Lewis & Sacha Distel、Akua Allrichのカヴァーを紹介済みです。ここではピアノ・トリオによるインストで聴かせてくれます。GlaserがRay Brown、Shelly Manneという名手たちとの演奏を楽しんでいる様子が伝わってきます。
「I Want You Everyday」
AORフィーリングがグッドなロマンティック・ボッサ・チューン。Glaserのジェントル・ヴォーカルはボッサが似合いますね。Bill Perkinsのサックスが盛り上げてくれます。
「Giant Steps」
ラストはJohn Coltraneのカヴァー。当ブログではWoody Hermanによるジャズ・ダンス・カヴァーも紹介済みです。ここでは本作に一貫する小粋な雰囲気の演奏でアルバムを締め括ってくれます。
今週はかなりハードな1週間となりそう・・・覚悟せねば!