録音年:1967年
ez的ジャンル:第二期黄金クインテット
気分は... :アコースティック・マイルスの到達点!
もう10月後半ですが、ようやく今年初のMiles Davisです。
これまで紹介してきた帝王Miles作品は以下の15枚(録音年順)♪
『Bag's Groove』(1954年)
『'Round About Midnight』(1955、56年)
『Cookin'』(1956年)
『Miles Ahead』(1957年)
『Milestones』(1958年)
『Someday My Prince Will Come』(1961年)
『E.S.P.』(1965年)
『Miles Smiles』(1966年)
『Filles De Kilimanjaro』(1968年)
『In A Silent Way』(1969年)
『On The Corner』(1972年)
『Get Up With It』(1970、72、73、74年)
『Dark Magus』(1974年)
『Agharta』(1975年)
『The Man With The Horn』(1981年)
今回セレクトしたのは第二期黄金クインテットの集大成『Nefertiti』(1967年)です。
Miles Davis(tp)、Wayne Shorter(ts)、Herbie Hancock(p)、Ron Carter(b)、Tony Williams(ds)という"第二期黄金クインテット"は、『E.S.P.』(1965年)を皮切りに、『Miles Smiles』(1966年)、『Sorcerer』(1962年、67年)、『Nefertiti』(1967年)という4枚のスタジオ録音作を残していますが、本作『Nefertiti』はその最終作となります。
本作でこの黄金クインテットあるいはアコースティック・ジャズでやるべきことをやり尽くしてしまった帝王Milesは、次作『Miles in the Sky』(1968年)でエレクトリック化の新機軸を打ち出します。
その意味で黄金クインテットの到達点、アコースティック・マイルスの完成形が本作『Nefertiti』と位置づけることができると思います。
最近の僕はどちらかと言えば、アコースティック・マイルスよりもエレクトリック・マイルスを聴くことが多いのですが、久々に聴いた『Nefertiti』に改めて感心することしきりです。
演奏面でも作曲面でも高い能力を有するメンバーを揃えた黄金クインテットの魅力を存分に堪能できる、完璧なアコースティック・ジャズ・アルバムではないかと思います。
MilesとShorterがソロをとらずメロディを奏でたり、テーマの演奏にソロを挟み込んだりと新しいアイデアも取り入れた至高の6曲はケチのつけようがありません。Miles、Shorter、Herbie、Carterの演奏も素晴らしいですが、特に天才Tony Williamsの叩き出すリズムが最高です。
Milesとメンバー達が辿り着いた極みを存分に堪能しましょう。
全曲紹介しときやす。
「Nefertiti」
Wayne Shorter作。古代エジプトの美女の一人、王妃ネフェルティティをタイトルに冠するあたりはWayne Shorterらしいですね。名コンポーザーShorterの楽曲の魅力を活かすためか、MilesとShorterがソロをとらずメロディを繰り返し奏でるのが印象的です。それが逆に美しくもミステリアスな雰囲気を醸し出しています。Tony Williamsのドラムが演奏全体にメリハリをつけてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=NcRg-duiWgQ
「Fall」
Wayne Shorter作。Milesおよび黄金クインテットの美学が伝わってくる美しく色気のある演奏です。テーマとソロのミルフィーユ状態な演奏が新鮮です。
http://www.youtube.com/watch?v=ahaxXEheOiM
「Hand Jive」
Tony Williams作。モーダルに疾走する格好良さはクラブジャズ好きの人が聴いてもグッとくるのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=m6zNANKiAW0
「Madness」
Herbie Hancock作。スピーディーに駆け抜けるRon Carter & Tony Williamsのリズムをバックに、Milesの格好良すぎるソロを満喫できます。作者Herbieも一筋縄ではいかない美しいピアノ・ソロを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=n5M9azw5RC8
「Riot」
Herbie Hancock作。Herbie自身のアルバム『Speak Like A Child』(1968年)に収録されたヴァージョンでお聴きの方も多いかもしれませんね。美しくもミステリアスなホーン・アンサンブルが印象的であった『Speak Like A Child』ヴァージョンに対して、本ヴァージョンはTony Williamsのドラムが大活躍するリズミックな演奏が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=cet79P4LN4s
「Pinocchio」
Wayne Shorter作。ラストは5人がテンポよく疾走する演奏で格好良く締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=nDOKf528fOE
他の第二期黄金クインテット作品もチェックを!
『E.S.P.』(1965年)
『Miles Smiles』(1966年)
『Sorcerer』(1962年、67年)