発表年:1968年
ez的ジャンル:Carole King伝説のトリオ
気分は... :自信はないけど・・・
今回はCarole Kingがソロ・デビュー前にDanny Kortchmar(Danny Kootch)、Charles Larkeyの3人で組んでいたグループThe City唯一のアルバム『Now That Everything's Been Said(邦題:夢語り)』(1968年)です。
これまで当ブログで紹介したCarole King作品は以下の3枚。
『Music』(1971年)
『Fantasy』(1973年)
『Wrap Around Joy』(1974年)
また、Danny Kortchmar、Charles LarkeyらがThe City解散後に組んだグループJo Mamaのアルバムも紹介済みです。
『Jo Mama』(1970年)
『J Is For Jump』(1971年)
本作『Now That Everything's Been Said』(1968年)は、Carole King好き、70年代SSW好きの人であれば、お馴染みのアルバムですね。また、Carole Kingへの思い入れが少ない若い世代の方でも、カフェ・アプレミディのコンピ等で本作の存在を知った方もいるかもしれませんね。
Carole Kingは、夫Gerry Goffinの結婚生活にピリオド(1968年に正式離婚)を打ちます。しかし、新たな公私のパートナーCharles Larkeyと出会い、彼と共に西海岸へ移り、職業作曲家という裏方からアーティストとして表舞台に立つことを決意します。
ただし、ソロ・アーティストとしてデビューする自信がなかった彼女はバンドでのデビューを選択します。そして、Charles Larkeyから紹介されたDanny Kortchmarと共にThe Cityを結成し、知り合いのLou Adlerにプロデュースを依頼し、制作された作品が本作『Now That Everything's Been Said』です。
レコーディングには、Carole King(vo、key)、Danny Kortchmar(g、vo)、Charles Larkey(b)の3名に加え、Jim Gordon(ds)も加わっています。
バンドといっても基本的には主役であるCarole Kingを盛り立てる作品なので、その意味ではソロ作品と同じような位置づけのアルバムなのかもしれません。それでもバンド・スタイルということもあって、その後のソロ作品とは多少異なる味わいがあると思います。これはバンド、ソロの違いというよりも、60年代後半から70年代へという時代の流れなのかもしれませんが・・・
結果的に本作は商業的成功を収めることはできませんでした。それでも、本作には「Snow Queen」、「I Wasn't Born To Follow」、「Now That Everything's Been Said」、「That Old Sweet Roll (Hi-De-Ho)」等の名曲が詰まっており、Carole Kingのキャリアを語るうえで外せない1枚だと思います。
その後グループは解散し、Carole Kingはソロ・デビューの道へ進み、Danny Kortchmar、とCharles LarkeyはJo Mamaを結成することになります。
3人の素敵な夢語りに耳を傾けましょう。
全曲紹介しときやす。
「Snow Queen」
Gerry Goffin/Carole King作。Roger Nichols & The Small Circle Of Friends、The Association、Blood, Sweat & Tearsもカヴァーしている名曲です。ジャズ・ワルツ調の素敵なサウンドとCaroleのピュアなヴォーカルが冬の妖精を呼び込んでくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Xh0wleYYj4w
「I Wasn't Born To Follow」
Gerry Goffin/Carole King作。The Byrdsも『The Notorious Byrd Brothers』(1967年)で取り上げています。The Byrdsヴァージョンは映画『Easy Rider』の中でも使われていました。カラっとしたThe Byrdsヴァージョンと比較して味わい深い仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=b15Tnk30Jhc
「Now That Everything's Been Said」
Toni Stern/Carole King作。タイトル曲はLaura Nyro作品のような雰囲気も漂います。
Brian Wilsonの妻Marilyn Wilson、その妹Diane RovellによるデュオAmerican Springがカヴァー(Brian Wilsonプロデュース)しています。愛の終焉を歌った曲ですが、西海岸らしいバンド・サウンドで爽快に聴かせてくれるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XCR5syrzWw4
American Springのヴァージョンもチェックを!
American Spring「Now That Everything's Been Said」
http://www.youtube.com/watch?v=l3CyTGzlDHA
「Paradise Alley」
David Palmer/Carole King作。作詞のDavid Palmerは初期Steely Dan作品でヴォーカルをとっていたアノDavid Palmerです。ラブ&ピースな雰囲気が好きです。Dannyのギターがいい味出しています。The Monkees、The Righteous Brothers等もカヴァーしています。
「Man Without A Dream」
Gerry Goffin/Carole King作。この曲ではDanny Kortchmarがリード・ヴォーカルをとり、Caroleがコーラスをつけています。黄昏モードで聴きたくなる曲ですね。
「Victim Of Circumstance」
David Palmer/Carole King作。軽快に弾けたポップな仕上がりが印象的です。このポップな雰囲気は本作ならではの味わいなのでは?
「Why Are You Leaving」
Toni Stern/Carole King作。美しいメロディと軽くパーカッシヴなリズム隊の組み合わせがいい感じです。
「Lady」
Gerry Goffin/Carole King作。切ないCaroleのヴォーカルにグッとくる1曲。
「My Sweet Home」
Margaret Allison作。女性ゴスペル・グループThe Angelic Gospel Singersが1960年にリリースしたシングル曲のカヴァー。本作唯一のカヴァーでゴスペル作品をセレクトしたあたりがCarole Kingらしいかもしれませんね。
「I Don't Believe It」
Toni Stern/Carole King作。CaroleとDannyが交互にリード・ヴォーカルをとります。リラックスした雰囲気で♪私は信じていないの♪と歌います(笑)
「That Old Sweet Roll (Hi-De-Ho)」
Gerry Goffin/Carole King作。Blood, Sweat & Tearsが1970年にカヴァーし、全米チャート第14位のヒットを放ったことでも知られる楽曲。ソウルフルなヴォーカル&サウンドが印象的です。Caroleの黒人音楽への愛着を感じる仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=ajzhDR3U4YM
「All My Time」
Gerry Goffin/Carole King作。ラストは来るべきシンガー・ソングライターの時代を予感させるような仕上がりです。
Carole KingやJo Mamaの過去記事もご参照下さい。
Carole King『Music』(1971年)
Carole King『Fantasy』(1973年)
Carole King『Wrap Around Joy』(1974年)
Jo Mama『Jo Mama』(1970年)
Jo Mama『J Is For Jump』(1971年)