2012年12月04日

Buddy Miles Express‎『Hell And Back』

Bill LaswellプロデュースによるBuddy Milesの復活作☆Buddy Miles Express‎『Hell And Back』
Hell & Back
発表年:1994年
ez的ジャンル:復活系ブルース・ロック
気分は... :何の変哲もありませんが

今回はJimi HendrixBand Of Gypsysで知られる巨漢黒人ミュージシャンBuddy Milesが1994年にBuddy Miles Express‎名義でリリースしたアルバム『Hell And Back』です。

黒人ドラマー/シンガーBuddy Miles(1947-2008年)の紹介は『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)に続き2回目です。

今回紹介する『Hell And Back』は、『Booger Bear』(1973年)以来約19年ぶりにBuddy Miles Express‎名義でリリースされた作品です。ソロ作品としても(多分)『Sneak Attack』(1981年)以来のアルバム・リリースとなります。

本作をプロデュースするのはBill Laswell。Materialなどの活動で知られるアヴァンギャルドなベーシスト/プロデューサーですね。本作の2年前にBuddy MilesBootsy CollinsStevie Salasが組んだグループHardwareのアルバム『Third Eye Open』をBill Laswellがプロデュースしており、その流れでLaswellがBuddy Milesのソロでの復活を強力プッシュした模様です。

本作におけるBuddy Miles Express‎のメンバーはBuddy Miles(ds、vo、g)、Jeff Levine(org、p、clavinet)、Kevon Smith(g)、Nicky Skopelitis(g)、Joe Thomas(b)という編成。さらにホーン・セクションとしてThe Uptown Hornsのメンバーが参加しています。

全体としては、1994年という時代らしからぬ正攻法なブルース・ロックに仕上がっています。Bill Laswellプロデュースと聞くと、もっとアレコレ余計なことをしでかすイメージがあるのですが(笑)

もし、僕が本作をリアルタイムで聴いていたならば多少退屈な印象を持っていたかもしれまません。でも今聴くとこの正攻法な感じが、Buddy Milesの力強いドラムとソウルフル・ヴォーカルを存分に楽しめて実にいいですね。バックも含めて一本芯の通った演奏にグッときます。

Buddy Milesのディスコグラフィの中でも忘れられがちな1枚かもしれませんが、派手さはありませんが流行に左右されない普遍的な魅力を持ったアルバムです。

全曲を紹介しときやす。

「Born Under A Bad Sign」
Booker T. Jones/William Bell作。オープニングはAlbert Kingヴァージョンで知られるブルース名曲カヴァー。Milesのかつての仲間Jimi Hendrixも演奏していますね。オーソドックスながら力強いブルース・ロックに仕上がっています。Milesの貫録のヴォーカルやメンバーのギター・ソロにグッときます。

「The Change」
Buddy Miles/Randy Hanson作。骨太サウンドをバックにMilesのソウルフル・ヴォーカルを満喫できます。オーソドックスですが実に雰囲気があります。いいですねぇ。

「All Along The Watchtower」
Bob Dylanの名曲カヴァー。Dylanのオリジナルは『John Wesley Harding』(1967年)に収録されています。当ブログでは本曲を有名にしたJimi HendrixのカヴァーやXTCBarbara Keithのカヴァーも紹介済みです。Milesがこの曲を演奏すると、どうしてもJimi Hendrixと結び付けたくなりますね。ここでは推進力のある「All Along The Watchtower」を聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=bfXyVgGnEGs

「Let It Be Me」
Gilbert Silly/Manny Kurtz/Pierre Leroyer作。The Everly Brothersのヒットをはじめ、数々のアーティストがカヴァーしている名曲をカヴァー。当ブログではThe Voices Of East Harlemのカヴァーも紹介済みです。ここでは味わい深く感動的なソウル・チューンとして聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=gxpUuIq5iiY

「Come Back Home」
Buddy Miles作。成熟したMilesの年輪を感じる仕上り。いい感じに力が抜けています。

「Be Kind To Your Girlfriend」
Buddy Miles/Jeff Levine作。この曲でも力みのないブルース・ロックを聴かせてくれます。The Uptown Hornsのホーン隊が盛り上げてくれます。

「The Decision」
Buddy Miles作。インスト・チューンながらもアルバムでファンキーかつエキサイティングな演奏を聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=do4j49VTpkY

「Nothing Left To Lose」
Ben Green/Jeff Levine作。ラストはファンキーに締め括ってくれます。Milesをはじめメンバーが演奏を楽しんでいる感じがいいですね。

他のBuddy Miles関連作品もチェックを!

Buddy Miles Express『Expressway to Your Soul』(1968年)
Expressway to Your Soul

Buddy Miles Express『Electric Church』(1968年)
Electric Church

Jimi Hendrix『Band Of Gypsys』(1970年)
バンド・オブ・ジプシーズ

『Them Changes』(1970年)
Them Changes

『Live』(1971年)
Live

Carlos Santana & Buddy Miles『Live!』(1972年)
Live

『Chapter VII』(1973年)
チャプターVII

『All The Faces Of Buddy Miles』(1974年)
All The Faces Of Buddy Miles

The California Raisins『The California Raisins Sing the Hit Songs』(1987年)
Sing the Hit Songs

The California Raisins『Meet the Raisins!』(1988年)
Meet The Raisins!

Hardware『Third Eye Open』(1992年)
Third Eye Open
posted by ez at 02:52| Comment(9) | TrackBack(0) | 1990年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして。
文中、バディ、ブーツィ―、サラスで組んだ
「Hardware」と記されていますが、バンド名
は「Third Eye」(日本ではサラス推しでスティーヴィ―・サラス・サードアイ」と紹介されていました)でアルバムタイトルが「Hardware」です。
何でもサラスがブーツィーさんとの共演をブーティーさんがバディさんとの共演を望んだことで組閣されたとのこです。参考まで。
Posted by 通りがかりのお節介野郎 at 2021年12月07日 11:13
☆通りがかりのお節介野郎さん

ありがとうございます。

ご指摘いただいた点ですが、当初、バンド名Third Eye、アルバム・タイトル『Hardware』でリリースしたものの、その後、同名バンドが存在することから、バンド名とアルバム名を入れ替えた、という経緯だと思います。

そのため、今日ではバンド名Hardware、アルバム・タイトル『Third Eye』の表記が一般的と思われます。
Posted by ez at 2021年12月08日 02:08
すみません、コメント入力するとエラーになってしまうのですが、何か書き込み制限(文字、文字数)などありますでしょうか?
Posted by 通りがかりのお節介野郎 at 2021年12月08日 11:58
☆通りがかりのお節介野郎さん

特に私の方でコメント設定はしていませんが、
ブログサービスの仕様でエラーになるケーズがあるみたいです。
文字数は常識的な範囲内で収めていただければ問題ないと思います。
Posted by ez at 2021年12月09日 04:26
こんにちは。
通りすがりのお節介野郎こと縞梟と申します。
ez様のブログはR&B、ファンク系の作品紹介が充実されていますね。
私もマイナーな音楽ブログを運営しており、この夏頃からようやく
P-Funkにはまって、現在はビル・ラズウェル周辺の関連記事を
ダラダラ書いている最中、ちょうど同ネタを書くにあたり情報収集で
ネットをうろうろしていてこちらに辿り着いたのですが、
正確な事情も知らず誤情報を提供してお恥ずかしい限りです(反省)
Posted by 通りすがりのお節介野郎 at 2021年12月09日 08:22
(追記)HPアドレスを入力するとエラーになるようです。

Posted by 通りすがりのお節介野郎 at 2021年12月09日 08:26
☆通りすがりのお節介野郎さん

ありがとうございます。

当ブログは開設から約16年経ちますが、年代・ジャンルを問わずをコンセプトに、手持ちのCDを紹介しています。

Bill Laswell絡みで当ブログに辿り着くというのは、私にも意外です。
Bill LaswellはMaterialの頃から気になる存在ですが、きちんと聴かないまま今に至っています。Materialあたりはトライしたいと思います。

Hardware/Third Eyeの件は、かなり特殊なケースだと思うので、気になされないでください。
当ブログには誤情報、誤植はかなりあると思います(笑)
今でも10年以上前の記事を読み返して誤りに気づくことがあります。

お互い音楽ブログ生活を楽しみましょう!
Posted by ez at 2021年12月10日 00:04
こんにちは。
私は多感な頃、HR&プログレ小僧だったので扱うジャンルは違えど
ブログネタで取り上げている1970年代の作品がダントツに多いことに
共感を覚えます
(多分同世代の方だろうなと)
今月はラズウェル作品強化月間なのでお暇でしたら覗いてください。
リンクが張れないようなので、「縞梟の音楽夜話」で検索して
カテゴリーでラズウェルさんを選択してみてください。
ezさんの興味の枝葉にラズウェルさんが芽吹くことを願っておきます(笑)
Posted by 通りすがりのお節介野郎 at 2021年12月10日 08:07
☆縞梟さん

ありがとうございます。

私自身はMTV世代なので、リアルタイムで本格的に洋楽を聴きはじめたのは80年代からですが、手持ちのCDは70年代のものが多いですね。

ただし、当ブログの方針と同じで、年代・ジャンルに拘らずに聴くというのが私の音楽生活です。

ぜひ縞梟さんのブログも拝見させていただきたく思います。
Posted by ez at 2021年12月12日 01:18
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