発表年:1981年
ez的ジャンル:早熟ジャズ・ファンク
気分は... :とても17歳とは思えない!
今回は早熟のキーボード奏者Bernard Wrightのデビュー・アルバム『'Nard』(1981年)です。
Bernard Wrightは1963年生まれ。N.Y.クイーンズのジャマイカ地区で育ち、幼くして教会でオルガンを弾くようになったBernard(Nard)は、その後ジャズ/ファンクに夢中になります。13歳でLenny Whiteの下で経験を積み、1978年には初レコーディングを経験し、翌1979年にはTom Browne『Browne Sugar』のレコーディングに参加しています。
その後Tom BrowneがGRP Recordsと契約した際、彼がGRPの総帥Dave Grusin、Larry RosenにBernard Wrightを推薦します。
さらに人気曲「Funkin' For Jamaica (N.Y.)」を含むTom Browneのアルバム『Love Approach』(1980年)に参加した後、弱冠17歳にして今回紹介するデビュー・アルバム『'Nard』(1981年)をリリースします。
その後、2nd『Funky Beat』(1983年)、3rd『Mr. Wright』(1985年)とソロ・アルバムをリリースしています。また、Marcus Miller、Dinky Bingham、Lenny WhiteによるユニットJamaica Boysの準メンバーとして、『The Jamaica Boys』(1987年)、『J Boys』(1990年)といった作品のレコーディングに参加しています。また、1990年代以降はゴスペル作品もリリースしています。
それ以外にもセッション・ミュージシャンとしてジャズ、R&B、Hip-Hopと数多くのアーティストの作品に参加しています。個人的にはCameo関連の作品でクレジットに彼の名があった印象が強いですね。
今回紹介する『'Nard』(1981年)は、とても17歳のミュージシャンのデビュー・アルバムとは思えないジャズ・ファンク作品に仕上がっています。
Dave Grusin & Larry Rosenがプロデュースし、Bernard Wright(key、vo)以下、Marcus Miller(b)、Barry Johnson(b、vo)、Buster Williams (b)、Buddy Williams(ds)、Mike Flythe(ds)、Charley Drayton(ds)、Howard Grate(ds)、Dennis Chambers(ds)、Roy Haynes (ds)、Bobby Broom(g)、Kevin Oliver(g)、Ronald Miller(g)、Henry Grate(g)、Don Blackman(key、vo)、Dave Grusin (syn)、Al Flythe(horns、vo)、Ed Jackson(horns)、Jimmy Owens(horns)、Crusher Bennett(per)、Pat Heaven(vo)、Luther Vandross(vo)、Patti Austin(vo)等のミュージシャンが参加しています。
また、Weldon Irvine、Don Blackmanといったレア・グルーヴ/フリーソウルの人気アーティストが楽曲を提供しています。
これだけ多数の参加ミュージシャンからして、17歳の早熟ミュージシャンへの期待の高さが窺えますね。
アルバム全体はファンキーに躍動するジャズ・ファンク作品に仕上がっています。1981年の作品にも関わらず、フツーにラップを取り入れているのも印象的です。
Hip-Hop好きには「Haboglabotribin'」、「Master Rocker」等サンプリング・ソースの宝庫の作品としても楽しめます。
早熟のキーボード奏者のファンキー・ワールドを楽しみましょう。
全曲紹介しときやす。
「Master Rocker」
Weldon Irvine/Ronnie Miller/Bernard Wright作。オープニングはWeldon Irvine作のジャズ・ファンク・チューン。グイグイ推進力のある僕好みのファンク・チューン。Marcus Millerがさすがベースを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=j6MdzDNqQYE
Zhigge「Harlem」、Yo-Yo feat. Ice Cube 「The Bonnie & Clyde Theme」、Tyrese feat. Jermaine Dupri「Off the Heezy」、Apathy and Celph Titled feat. J-Zone「Nut Reception」等のサンプリング・ソースとしても大人気です。
Zhigge「Harlem」
http://www.youtube.com/watch?v=vp-DzUlQ6QU
Yo-Yo feat. Ice Cube 「The Bonnie & Clyde Theme」
http://www.youtube.com/watch?v=fLtLOGDZ7hE
Tyrese feat. Jermaine Dupri「Off the Heezy」
http://www.youtube.com/watch?v=xJk4UTDUZq0
Apathy and Celph Titled feat. J-Zone「Nut Reception」
http://www.youtube.com/watch?v=KdryTRAg8uo
「Firebolt Hustle」
Harold Grate/Henry Grate作。軽快なジャズ・ファンク・チューン。ホーン隊の軽快な響きや、歯切れの良いリズム隊、Bernardのピアノ・プレイが目立っています。
http://www.youtube.com/watch?v=DRZapPuSwbY
「Haboglabotribin'」
Don Blackman作。本作のハイライトともいえる曲です。プリティなイントロが何とも印象的です。本編はラップも聴こえてくるP-Funkノリのヒップなファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=6BnhZL2xcYg
本曲は何といっても定番サンプリング・ソースとしてお馴染みですね。415「Snitches & Bitches」、Thaide & DJ Hum「Corpo Fechado」、Ed O.G. & Da Bulldogs「She Said It Was Great」、A Tribe Called Quest「Can I Kick It? (Extended Boilerhouse Mix) 」、Kam「Every Single Weekend (Boyz N The Hood)」 、Snoop Dogg「Gz and Hustlas」、スチャダラパー「コロコロなるまま」、Seagram feat.Y-D & Lil' Gangsta P「The Town」、Seagram feat.Y-D & Lil' Gangsta P「The Town」、J-live「Wax Paper」、NYG'z feat. Rave「G'z & Hustlaz」、4 The G's feat. Grafik等のサンプリング・ソースになっています。
415「Snitches & Bitches」
http://www.youtube.com/watch?v=LTHivmMfxTo
Thaide & DJ Hum「Corpo Fechado」
http://www.youtube.com/watch?v=W3lEmx2fVAY
Ed O.G. & Da Bulldogs「She Said It Was Great」
http://www.youtube.com/watch?v=ZOriEkmEToY
Snoop Dogg「Gz and Hustlas」
http://www.youtube.com/watch?v=qXNsINpnqSA
スチャダラパー「コロコロなるまま」
http://www.youtube.com/watch?v=m_Dre6Umxac
Seagram feat.Y-D & Lil' Gangsta P「The Town」
http://www.youtube.com/watch?v=vaE2EAM7UhE
Master P feat.Snoop Dogg「Snitches」
http://www.youtube.com/watch?v=yWJ7lEJu2wQ
J-live「Wax Paper」
http://www.youtube.com/watch?v=KK2BgAqml98
NYG'z feat. Rave「G'z & Hustlaz」
http://www.youtube.com/watch?v=AVa3di6ffaQ
4 The G's feat. Grafik「Fashawn」
http://www.youtube.com/watch?v=mpkBlF1ZNIg
「Spinnin'」
Al Flythe作。軽快なファンキー・ダンサー。格好良いリズム隊と共に一気に駆け抜けます。中盤のフィージョン的な展開もいい感じ。
http://www.youtube.com/watch?v=zXg5zmT9DNg
Skee-Lo「Spinnin'」等のサンプリング・ソースとなっています。
Skee-Lo「Spinnin'」
http://www.youtube.com/watch?v=Zyf0YwUJcqk
「Just Chillin' Out」
Al Flythe/Barry Johnson/Marcus Miller/Bernard Wright作。ラップも入りN.Y.らしい雰囲気のするファンク・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=NeNeucVDBQg
「Bread Sandwiches」
Denzel Miller/Steve Teele/Bernard Wright作。僕の密かなお気に入り曲。軽やかなジャズ・ファンク感がグッドなファンキー・ダンサーです。
http://www.youtube.com/watch?v=RGWUYEpRGU0
Malka Family「Ciscomulkr」のサンプリング・ソースになっています。ファンク好きにはたまらないサイコーに格好良い曲ですよ。
Malka Family「Ciscomulkr」
http://www.youtube.com/watch?v=IhW1eOwmexM
「Music Is The Key」
Weldon Irvine/Tommy Smith作。Weldon Irvineの名曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Sinbad』に収録されています。Bernard WrightのWeldon Irvineへのリスペクトを感じるカヴァーです。Luther VandrossとPatti Austinという豪華なヴォーカル陣が参加という意味で、この曲も本作のハイライトの1曲かもしれませんね。オリジナル自体が大好きなので本カヴァーも勿論お気に入りです。
http://www.youtube.com/watch?v=mgPO4_h1c5o
Top Authority「93 (Things Ain't How They Should Be)」、Anotha Level「What's That Cha Say」、Zeebra「未来への鍵」のサンプリング・ソースになっています。
Top Authority「93 (Things Ain't How They Should Be)」
http://www.youtube.com/watch?v=02XCgfWVag0
Anotha Level「What's That Cha Say」
http://www.youtube.com/watch?v=ywfYRtp-nDk
Zeebra「未来への鍵」
http://www.youtube.com/watch?v=NcN6-jABOsk
「We're Just The Band」
Henry Grate作。ラップ調のヴォーカルも含めてファンキーに弾けています。作者Henry Grateのギターがうなりを上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=9Y5ux-qWhFg
「Solar」
Miles Davis作。ラストは帝王Milesのカヴァー。オリジナルは『Walkin'』(1954年)に収録されています。ラストはそれまでのサウンドとは一転し、オーセンティックなアコースティック・ジャズで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=T1ZIMMGjvBU
『Funky Beat』(1983年)