2012年12月10日

John Lennon『Walls And Bridges』

失われた週末期のJohnの思いが赤裸々に語られた1枚☆John Lennon『Walls And Bridges』
WALLS AND BRIDGES
発表年:1974年
ez的ジャンル:“失われた週末”期John Lennon
気分は... :久々にJohnのアルバム...

久々にJohn Lennonのアルバム『Walls And Bridges』(1974年)です。

これまで当ブログではオリジナル・ベスト『Shaved Fish』(1975年)と『John Lennon/Plastic Ono Band』(1970年)という2枚のJohn Lennon作品を紹介していますが、『John Lennon/Plastic Ono Band』のエントリー日が2006年12月8日だったので、6年ぶりのJohn Lennon作品の紹介となります。

振り返れば、Paul McCartneyのエントリーも2006年に1枚紹介しただけだし、これまで7作品を投稿しているThe Beatlesも2009年2月のエントリーが最後になっています。

中高生の頃はあれだけ熱狂的に聴き、CDになってもある程度は揃っているThe Beatlesやメンバーのソロ作ですが、最近は聴く機会がめっきり減っています。エントリーが途切れているのも2009年のオリジナル・アルバムのリマスターの盛り上がりが、逆に僕をBeatlesやメンバーのソロ作から遠ざけてしまったためです。あまりにも騒ぎ過ぎなのでは?と冷めた目で見ていました。

そんな中で先日たまたま本作『Walls And Bridges』を久しぶりに聴きました。特に理由はなかったのですが、CD棚を整理していてふと本作を久々に手にしたので何となく聴いてみました。アルバム通しで聴くのは10年ぶり以上かもしれません。

単に中高生の頃によく聴いた懐かしいアルバムではなく、今の僕の音楽嗜好に照らして聴いても、フツーにいいアルバムだと思えたので取り上げた次第です。

本作『Walls And Bridges』(1974年)は、ファンの方はご存知の通り、Yokoさんから逃避行したJohnの“失われた週末”期に制作されたアルバムであり、この時期のJohnの思いが綴られた私小説的なアルバムです。『Rock 'n' Roll』(1975年)とリリース順は逆となってしまいましたが、長期の活動休止前のラスト・レコーディング作品でもあります。

レコーディングにはJohn Lennon(vo、g、p、per)はじめ、Elton John(vo、p、org)、Ken Ascher(el-p、clavinet、mellotron)、Jim KeltnerArthur Jenkins(per)、Nicky Hopkins(p)、Klaus Voormann(b)、Bobby Keys(ts)、Jesse Ed Davis(g)、Eddie Mottau(g)、Harry Nilsson(back vo)、May Pang(back vo)等のメンバーが参加しています。

改めて聴くと、Johnらしい曲調の楽曲もありますが、意外にファンキーなサウンドにグッとくるアルバムであるという印象を受けます。先程、「今の僕の音楽嗜好に照らして聴いても、フツーにいいアルバムだと思えた」と書いたのは、こうした理由からです。

「Whatever Gets You thru the Night」「#9 Dream」というヒット・シングル2曲が目立つかもしれませんが、僕のオススメは「Old Dirt Road」「What You Got」「Bless You」の3曲。また、感動の名曲「Nobody Loves You (When You're Down and Out)」は聴いているだけで胸一杯になります。

サウンド面に限れば、John Lennonのソロ作品のなかで最も聴きやすい1枚なのでは?

全曲紹介しときやす。

「Going Down on Love」
失われた週末期の始まりにおけるJohnの心情がストレートに綴られたオープニング。自分のすべてをさらけ出してしまうのがJohnらしいですね。ほのかにオリエンタルな香りがするファンキー感がいい感じです。途中なメロディアスなパートの挿入にもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=etyG3dnWZQM&feature=fvst

「Whatever Gets You thru the Night」
「真夜中を突っ走れ」でお馴染み、Elton Johnがヴォーカル&ピアノで参加した全米チャートNo.1シングル。そしてファンの方はご存知のようにNo.1獲得のお礼として、JohnがEltonのマディソン・スクエア・ガーデンでのコンサートにゲスト出演し、それを観に来ていたYokoと再会したJohnは失われた週末期に終止符を打ちます。本作で唯一、開放的でスピード感が心地好い軽快なノリの曲ですね。この派手さはElton John参加にピッタリですね。Bobby Keysのテナー・サックスが盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=7qwq76p93U8

「Old Dirt Road」
JohnとHarry Nilssonの共作。JohnがプロデュースしたNilssonのアルバム『Pussy Cats』(1974年)の制作時に共作したものです。Nilssonもバック・コーラスで参加しています。失われた週末期のJohnの荒んだ心を歌った作品です。Johnらしい美しすぎて虚しいメロディにグッときます。いかにもJohnのソロを聴いているという気分になれる曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=Zaf5y2PlqDI

「What You Got」
今の僕の音楽嗜好からすれば一番フィットするのがこのJohn流ディスコ・ファンク・チューン。首尾一貫してファンキーに迫ります。格好良すぎ!
http://www.youtube.com/watch?v=eCXYI7znSmk

「Bless You」
この曲も大好き!ブルーアイド・ソウル風のバラードはなかなか雰囲気がありますよね。エレピのメロウなサウンドも含めてJohnの作品らしからぬ雰囲気がありますね。
http://www.youtube.com/watch?v=QfkNJV128-w

「Scared」
狼の遠吠えと共にスタートします。この曲はひたすら重苦しいブルージー・チューン。でもこれもJohnらしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=nyRg99Ofam4

「#9 Dream」
邦題「夢の夢」。Johnのラッキー・ナンバー9がタイトルについたこの曲には、アルバムからの2ndシングルとして全米チャート第9位のヒットとなっています。中高生の頃聴いていたときにはこの曲が一番好きでしたね。まさに夢の中のそのまた夢の中といった雰囲気にたまらなくグッときました。バック・コーラスにはJohnのL.A.への逃避行に同行したMay Pangも参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=E-rstOjonZU

「Surprise, Surprise (Sweet Bird of Paradox)」
May Pangのことを歌った曲。この曲にもElton Johnが参加しています。程良くファンキーな味わいがいい感じです。ラストには「Drive My Car」のフレーズが飛び出します。
http://www.youtube.com/watch?v=faCfWS3-YOU

「Steel and Glass」
歌詞も曲も『Imagine』収録曲「How Do You Sleep?」の続編といった趣ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=u-vSvZD3Spk

「Beef Jerky」
インスト曲。中高生の頃聴いていたときにはインストという点でピンと来ませんでしたが。今聴くとなかなか格好良い1曲に仕上がっていると思います。
http://www.youtube.com/watch?v=CIJzCGuM5f0

「Nobody Loves You (When You're Down and Out)」
これぞJohn Lennon!といった趣の名曲ですね。自分の心情を赤裸々に綴ったこの曲を久々に聴きましたが、聴いているだけで胸一杯になってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=OYLdmi_U99w

「Ya Ya」
ラストはLee Dorseyの1961年の楽曲をカヴァー・・・というか息子Julian Lennonとのおふざけセッションですね。「Come Together」の盗作問題(Chuck Berry「You Can't Catch Me」の盗作と訴えられた)の関係で収録された曲。ちゃんとしたセッションは『Rock 'n' Roll』(1975年)に収録されています。
http://www.youtube.com/watch?v=5K8dKi3zpOk

John Lennonの過去記事をご参照下さい。

『John Lennon/Plastic Ono Band』(1970年)
John Lennon/Plastic Ono Band

『Shaved Fish』(1975年)
Shaved Fish
posted by ez at 07:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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