2013年01月23日

Jazzanova『In Between』

Nu Jazz/クロスオーヴァー好き必聴!彼らのセンスが凝縮された1stアルバム☆Jazzanova『In Between』
イン・ビトゥイーン・デラックス・エディション
発表年:2002年
ez的ジャンル:Sonar Kollektiv系Nu Jazz/クロスオーヴァー
気分は... :慌てず、騒がず...

ベルリンを拠点に世界のクラブジャズ/クロスオーヴァーを牽引するプロデューサー/DJユニットJazzanovaの1stアルバム『In Between』(2002年)です。

Axel ReinemerStefan LeiseringRoskow KretschmannAlexander BarckClaas BrielerJurgen Knoblauchによって結成され、自身の活動に加え、他アーティストのプロデュース/リミックス、自らのレーベルSonar Kollektivの運営、様々なコンピ・アルバムの編纂などクラブ・シーンで勢力的に活動するJazzanovaの紹介は2ndアルバム『Of All The Things』(2008年)に続き2回目となります。

コンピ等のせいで数多くアルバムを出している印象もあるJazzanovaですが、純然たるオリジナル・スタジオ・アルバムは『In Between』(2002年)、『Of All The Things』(2008年)の2枚のみなんですよね。なんか意外です。

以前紹介した2nd『Of All The Things』は、アコースティックなサウンドを前面に打ち出し、60年代、70年代ソウルへのオマージュを感じるアルバムに仕上がっていました。

それに対して、本作『In Between』(2002年)は、エレクトリック・ソウル・テイストのNu Jazz/クロスオーヴァー作品に仕上がっています。

リリースから10年以上経った今日聴くとさまざまな意見が出るアルバムかもしれませんが、個人的には『Of All The Things』とのコントラストで聴くと楽しめる1枚です。また、幅広い音楽性を違和感なく統合しているあたりに彼らのセンスを感じます。サンプリング・ソースのセレクトもなかなか興味深いですね。

アルバムにはDavid FriedmanPaul KleberClara HillCapital A吉澤 はじめRob Gallagher、、Valerie EtienneUrsula RuckerHawkeye PhanaticVikter DuplaixDoug HammondDesney Baileyといった多彩なアーティストがゲスト参加しています。

1曲ずつじっくり聴き直すと新発見もあって、なかなか楽しめました。
クラブジャズ/クロスーヴァー好きの方は手元に置いておきたい1枚ですね。

全曲紹介しときやす。

「L.O.V.E. And You & I」
N.Y.出身のジャズ・ヴァイヴ奏者David Friedman、Sonar Kollektiv所属のジャズ・ユニットMicatoneのベーシストPaul Kleberが参加したオープニング。Five Stairsteps & Cubie「Something's Missing」のヴォーカル・サンプリングで幕を開ける壮大なサンプリング・ミュージック。さらにDiana Ross & The Supremes and The Temptations「I'll Try Something New」、The Sylvers「Only One Can Win」のヴォーカル・ネタ、Neil Merryweather & Lynn Carey「Shop Around」、Bobby Hutcherson「Rain Every Thursday」、サディスティック・ミカ・バンド「快傑シルバーチャイルド」、Wilson Big Band「Dirty Feet」のブレイク・ネタ、Catalyst「Uzuri」のエレピ・ネタ、それ以外にもLes DeMerle「A Day in the Life」、Branford Marsalis Quartet feat. Denzel Washington 「Pop Top 40」がサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=hEolsca35hI

「No Use」
Sonar Kollektivに所属する女性シンガーClara Hillをフィーチャー。当時Sonar Kollektiv所属であった男性シンガーGeorg Levinとのデュエット「(I Got) Somebody New」は当ブログでも紹介済みです。しっとりとした中にもミステリアスな魅力があるネオソウル風のメロウ・チューン。シングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=leMzhnK5Cog

「The One-Tet」
フィラデルフィア出身のMCであるCapital Aをフィーチャー。当ブログで紹介した作品でいえば、Tek 9『Simply』Afro-Mystik『Morphology』で彼がフィーチャーされています。クラブジャズ的なアブストラクトHip-Hopチューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=ry0hz5Gerxk

「Fade Out」
インタールード的な小曲。George Duke「Capricorn」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=HgWSCUlQw9U

「Hanazono」
Cosmic VillageやSleep Walkerでお馴染みの日本人アーティスト吉澤はじめがピアノで参加。タイトルからして和な雰囲気ですね。詫び・寂び(わび・さび)のクロスオーヴァーといった趣ですが、そこにモーダルなエッセンスも取り込んでしまうあたりが彼らのセンスですね。
http://www.youtube.com/watch?v=m_dASLB3hxM

「Mwela, Mwela (Here I Am) 」
Gallianoの中心人物であったRob Gallagher、そのGallianoの名カヴァー「Prince of Peace」でヴォーカルをとっていたValerie Etienneをフィーチャーしたブロークンビーツ。ダンサブル・チューンを求めている方はまず本曲をチェックを!Webster Lewis「Seasons」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=rV8HK-LfhOA

「Keep Falling」
フィラデルフィア出身の女性詩人Ursula RuckerとラッパーHawkeye Phanaticをフィーチャー。Ursula RuckerはThe Roots4Heroの作品でお馴染みですね。当ブログで紹介した作品でいえば、Richard Earnshaw『In Time』にも参加しています。意外にネオソウル好きの人が聴くとフィットするのでは?と思わせるアングラ・ジャジーHip-Hop風の仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=CZZ3Ig_Ovpw

「Cyclic」
インタールード。

「Another New Day」
ミステリアスなジャズ・ファンク調ブレイクビーツ。Harumi「Hunters of Heaven」、Egberto Gismonti「Egberto」といったサンプリング・ソースを巧みに使っています。個人的に大好きな1曲。
http://www.youtube.com/watch?v=kwmuCv4r3Lk

「Place In Between」
インタールード。

「Soon」
フィラデルフィア出身のシンガー・ソングライター/プロデューサー/DJであるVikter Duplaixのヴォーカルをフィーチャー。シングルにもなりました。当ブログでは本作と同じ2002年にリリースされた彼の1stソロ『International Affairs』も紹介済みです。『International Affairs』はネオ・フィリー+クロスオーヴァーなR&B作品でしたが、ムーグ・シンセの音色が印象的な変拍子エレクトリック・ソウル・チューンである本曲もその流れにあります。
http://www.youtube.com/watch?v=UTy4M8qs0u4

「Dance The Dance」
ベテラン・ジャズ・ドラマー/シンガーDoug Hammondのヴォーカルをフィーチャー。前半は。EW&F的なカリンバの音色が印象的です。後半はアフロ・サンバのリズムでズシリとくるダンス・チューンで盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=cLl_VN7-0us

「Sub-Atlantic」
インタールード。

「Glow And Glare」
80年代風のレトロなエレクトリック感と21世紀クロスオーヴァーな感覚を融合させたインスト・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=WsW1bXQTI30

「E-Ovation」
インタールード。

「Takes You Back (Unexpected Dub)」
ベルリン在住のUSシンガーDesney Baileyをフィーチャー。Jazzanovaのサウンド・センスを満喫できるエレクトリックなダンス・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=SrbIe4xuidE

「Wasted Time」
ラストは再びVikter Duplaixをフィーチャー。ラストはダウンテンポなメロウ・ソウルでしっとりと締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=fUgF9kpoi4c

オリジナル・スタジオ新作はリリースされないんですかね!

『Of All The Things』(2008年)
Of All the Things
posted by ez at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック