発表年:1984年
ez的ジャンル:ダイナマイト・ボーカル系R&B
気分は... :挑戦することを恐れず!
今回はChaka Khanの80年代ヒット作『I Feel For You』(1984年)です。
これまで当ブログで紹介したChaka Khan関連作品は以下の7枚です。
Rufus
『Rufusized』(1974年)
『Rufus Featuring Chaka Khan』(1975年)
『Ask Rufus』(1977年)
『Street Player』(1978年)
Chaka Khan
『Chaka』(1978年)
『Naughty』(1980年)
『What Cha Gonna Do For Me』(1981年)
多くの方がご存知の通り、本作からのシングル「I Feel For You」(Prince殿下のカヴァー)が全米シングル・チャート第3位、同R&Bチャート第1位という大ヒットとなり、ソウル/R&Bファンに止まらない、より多くの音楽ファンにChaka Khanの名を知らしめたアルバムです。
また、「I Feel For You」はGrandmaster Melle Melのラップを大きくフィーチャーしており、ソウル/R&BとHip-Hopのコラボを大ヒットにつなげた点でも意味のあるヒット曲でした。今では当たり前のソウル/R&BとHip-Hopのコラボですが、当時は挑戦的な取り組みであったと思います。人気アーティストでありながら、そういった取り組みに挑んだあたりにChaka姐さんの心意気を感じます。
また、本作にはKanye Westをブレイクさせたた「Through The Wire」のサンプリング・ソース「Through The Fire」 も収録されています。
その意味で新旧ラップを語るうえで重要なアルバムといえますね。
敏腕Arif Mardinをメイン・プロデューサーに、David Foster、Russ Titelman、John Robie、James Newton-Howard/David "Hawk" Wolinski、Humberto Gatica、Joe Mardin、Robbie Buchananといったプロデューサー陣が起用されています。
また、David Frank(key、syn)、Mic Murphy(back vo)、Steve Ferrone(ds)、Hamish Stuart(back vo)、Paul Pesco(g)、Philippe Saisse(key、syn、prog)、Nathan East(b)、J.R. Robinson(ds)、Dan Huff(g)、Tony Maiden(g)、Michael Landau(g)、Robbie Buchanan(key、syn、prog)、John Robie(key、syn、prog)、Don Freeman(key、syn)、Michael Sembello(g、back vo)、Reggie Griffin(b、key、syn、prog)、Grandmaster Melle Mel(rap)Stevie Wonder(harmonica)等がレコーディングに参加しています。
80年代半ばならではの打ち込みサウンドが目立つアルバムであり、そのあたりで賛否が分かれるアルバムかもしれません。僕自身も『Chaka』(1978年) 、『Naughty』(1980年)、『What Cha Gonna Do For Me』(1981年)あたりと比較すると、聴く頻度が圧倒的に少ないですね。その意味では多少軽視している部分があったのかもしれません。それでもじっくり聴き、こうして記事にしてみるとなかなか楽しめるアルバムであると再認識しました。
賛否はあるかもしれませんが、Chaka Khanを語るうえでは外せないアルバムであり、手元に置いておきたい1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「This Is My Night」
David Frank/Mic Murphy作。アルバムからの2ndシングルとして全米R&Bチャート第11位となりました。後に「Don't Disturb This Groove」をヒットさせるThe SystemのMic Murphyが作者に名を連ねていますが、確かにそれっぽいエレクトリック・サウンドを聴くことができます。
http://www.youtube.com/watch?v=sy6IUDoL8Bg
「Stronger Than Before」
Burt Bacharach/Bruce Roberts/Carole Bayer Sager作。オリジナルは作者Carole Bayer Sagerの『Sometimes Late At Night』(1981年)に収録されています。オードックスな作りですが、Chakaのヴォーカリストとしての魅力を堪能するためには最適です。
http://www.youtube.com/watch?v=6rGC2AtF7xw
印象的なイントロはCormega「Therapy」、Petter「Stockholm Brinner (Inte) Igen」でサンプリングされています。
Cormega「Therapy」
http://www.youtube.com/watch?v=TDabim__Bgg
Petter「Stockholm Brinner (Inte) Igen」
http://www.youtube.com/watch?v=JPR7-u3lZjs
「My Love Is Alive」
70年代ロック好きには知られるGary Wrightの「Dream Weaver」と並ぶヒット・シングル「Love Is Alive」をカヴァー。オリジナルは「Dream Weaver」と同じく『The Dream Weaver』(1975年)に収録されています。ロッキンな雰囲気とシンセ・サウンドを上手く融合したこの時期らしいダンサブル・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=fraBfj7TjC4
「Eye to Eye」
Don Freeman/Dan Sembello/John Sembello/Michael Sembello作。「Maniac」でお馴染みMichael Sembelloの作品。Russ Titelmanがプロデュースを手掛けています。個人的にはかなり好きな1曲。軽快なシンセ・ポップ風の仕上がり。打ち込みサウンドが嫌味になっていないのがいいですね。Rufus時代の同僚Tony Maidenもギターで参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=g4Y1IB1E500
「La Flamme」
Rhoda Roberts/Philippe Saisse作。この時代らしいスクラッチ、リン・ドラム、シンセ・サウンドで作られた楽曲。「What Cha Gonna Do For Me」、Rufus & Chaka Khan「Ain't Nobody by」といった自身のヒット曲がサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=zMr8qogyTAY
「I Feel For You」
前述のように全米シングル・チャート第3位、同R&Bチャート第1位となり、本作を商業的成功へ導いたPrince殿下のカヴァー。殿下のオリジナルは当ブログでも紹介した『Prince』(1979年)に収録されています。実にこの時代らしい1曲ですね。本作で忘れていけないのはいきなりインパクト大のラップで貢献しているGrandmaster Melle Melと印象的なハーモニカを聴かせてくれるStevie Wonderの2人ですね。いきなり♪Chaka Khan〜♪と始まるあのフレーズは元々はGrandmaster Melle Mel & The Furious Fiveの「Step Off」ネタです。また、終盤に「Fingertips Part 2」の声ネタを挿入しているのはStevie Wonderに対するお礼かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=1XV5_WagxZg
Barracuda「Mad Love」、Eminem「Bagpipes From Baghdad」等の元ネタにもなっています。
「Hold Her」
James Newton-Howard/David "Hawk" Wolinski作。Rufus & Chaka Khanの同僚であるDavid Wolinskiの作品だけあってChakaにマッチしたパンチの効いた1曲に仕上がっています。サウンド面では多少ビミョーですが(笑)。Steve Lukatherのギターも聴きどころでは?
http://www.youtube.com/watch?v=t4FMD5QHAGc
冒頭のパワフルなChakaの歌声はE.Kude「Never Let Go」、Yolk「Music 4 Da People」、Dirty Super Car「Get a Grip」といったダンス・トラックでサンプリングされています。
「Through The Fire」
David Foster/Tom Keane/Cynthia Weil作。作者でもあるDavid Fosterがプロデュース&アレンジを手掛けています。「I Feel For You」と並ぶ本作のハイライト。アルバムからの3rdシングルとなりました。本曲といえばKanye Westの名を一躍有名にした「Through The Wire」のサンプリング・ソースとしてあまりに有名ですね。Chakaの歌声と実にマッチした、さすがはDavid Fosterと思わせる名曲ですね。
http://www.youtube.com/watch?v=ymuWb8xtCsc
当ブログではThe Moleskinsのカヴァーを紹介済みですが、それ以外にもPeabo Bryson、Eliane Elias、DJ Deckstream 、Donald Lawrence等数多くのアーティストがカヴァーしています。
Donald Lawrence「Through The Fire」
http://www.youtube.com/watch?v=xh7T7Bvafjc
「Caught in the Act」
Arif Mardinの息子Joe MardinとAlec Milsteinの共作。80年代半ばらしいミディアム・ファンクですが、ややインパクトが弱いか?
http://www.youtube.com/watch?v=UeDW0F1AO1Y
「Chinatown」
Chaka Khan/Rhoda Roberts/Philippe Saisse作。ラストはオリエンタル・テイストのミディアム・ファンク。
http://www.youtube.com/watch?v=ex74I8MqY38
Chaka Khan/Rufusの過去記事もご参照下さい。
『Chaka』(1978年)
『Naughty』(1980年)
『What Cha Gonna Do For Me』(1981年)
Rufus『Rufusized』(1974年)
Rufus『Rufus Featuring Chaka Khan』(1975年)
Rufus『Ask Rufus』(1977年)
Rufus 『Street Player』(1978年)
がっかりしました。これ以前のレコードが
よかっただけによけいに思いました。
ベイヤーセイガーのSometimes Late に入っているとは気がつきませんでした。
こちらのレコードも最近聴いてないからな〜。
ありがとうございます。
打ち込みが嫌いな方にはギャップがあった作品かもしれませんね。
当時学生だった僕にはPrinceの曲をカヴァーしたことやGrandmaster Melle Melのラップなどが新鮮に聴こえました。
確かにこの時代の打ち込み音は今聴くとチープなものも多いですが、打ち込み全盛期に青春期を過ごした僕などはそうしたものも含めて、ある種の愛着を感じます。