発表年:1968年
ez的ジャンル:ブーガルー&ノーザン・ソウル系ラテン・ソウル
気分は... :これは間口が広い!
今回はラテン・ソウル好き、ノーザン・ソウル好きは要チェックの1枚、The Harvey Averne Dozen『Viva Soul』(1968年)です。
Harvey Averneは1936年N.Y.ブルックリン生まれのヴァイヴ/ピアノ奏者、コンポーザー、プロデューサー。60年代後半から70年代にかけてN.Y.ラテン・シーンで活躍しました。
10代半ばからヴァイヴ/ピアノ奏者として活動し、1968年にThe Harvey Averne Dozen名義でAtlanticから今回紹介するデビュー作『Viva Soul』をリリース。その後Faniaから『The Harvey Averne Dozen』(1968年)、『Brotherhood』(1969年)、さらにHarvey Averne Barrio Band名義で『Harvey Averne Barrio Band』(1971年)をリリースしています。
さらにはプロデューサーとしても活躍し、当ブログで紹介した作品でいえば、Ray Barretto『Acid』(1968年)、Eddie Palmieri『Sentido』(1973年)、Eddie Palmieri『Unfinished Masterpiece』(1975年)は
Harvey Averneのプロデュースです。
そんなHarvey Averneの代表作が本作『Viva Soul』(1968年)です。
本作はAtlanticからのリリースですが、Faniaの創設者の1人Jerry Masucciが
Harvey Averneと共にプロデューサーに名を連ね、同じくFaniaの創設者Johnny Pachecoがレコーディング・ディレクターを務めています。さらにN.Y.ラテンの名アレンジャーMarty Shellerがアレンジを担当しています。
基本的にはラテン・ソウルなアルバムですが、ラテンをあまり聴かないノーザン・ソウル好きの人も楽しめる1枚になっています。
サンプリング好きであれば、Terry Rileyのサンプリング古典「You're Nogood」の元ネタ「You're No Good」、ノーザン・ソウル好きであれば「Think It Over」や「Wishing And Hoping」、サバービア好きであれば「The Micro Mini」、Bob Dylan好きであれば「You Mess My Mind Up」、The Young Rascals好きであれば「Make Out」とラテン・ソウル作品と括りでは収まらない間口の広さを持ったアルバムです。
先入観なしで聴くと、かなり楽しめる1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「You're No Good」
Harvey Averne/Marty Sheller作。本作のハイライトその1。ミニマル音楽の元祖Terry Rileyのサンプリング古典「You're Nogood」のリソースとして有名な曲ですね。フリーソウル風の言い方をすれば、ヤング・ラテン・ソウルといった趣の雰囲気でしね。ヴァイヴの響きが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=RfLJWqH37x4
House of Pain feat. Pete Rock 「Jump Around (Pete Rock's Blood Stain Remix)」、 Zeus「Gracze」、Slaughterhouse「Cut You Loose」、Freeway feat. Musiq Soulchild「Dream Big」のサンプリング・ソースにもなっています。
Zeus「Gracze」
http://www.youtube.com/watch?v=-ZxEJKSf0Ws
Slaughterhouse「Cut You Loose」
http://www.youtube.com/watch?v=aY-AFkrs-zE
Freeway feat. Musiq Soulchild「Dream Big」
http://www.youtube.com/watch?v=SHiwdNd2Qpw
「Think It Over」
Kenny Seymour作。ノーザン・ソウル好きにはマストな1曲。ラテン・ソウル云々を気にせずとも、爽快ノーザン・ソウルとして楽しめる1曲に仕上がっています。小気味良いリズムをバックに男性リードと女性コーラス隊の絡みがサイコーです。
http://www.youtube.com/watch?v=lDierbcfJBo
「Monday Monday」
John Phillips作。The Mamas & The Papasの1966年大ヒット曲をインスト・カヴァー。この名曲とラテン・リズムの相性の良さにサプライズです。
「My Dream」
Harvey Averne/Marty Sheller作。ラウンジ調のムーディーな仕上り。この曲を聴いてStevie Wonder「Don't You Worry 'Bout A Thing」を想起するのは僕だけでしょうか?
http://www.youtube.com/watch?v=dk0gsh7jJbs
「Wishing And Hoping」
Kenny Seymour作。「Think It Over」と共にノーザン・ソウル好きは要チェックの1曲。僕の一番のお気に入り曲でもあります。ノーザン・ソウル+Burt Bacharachといった趣がありますよね。
http://www.youtube.com/watch?v=amyfR3kQmoU
「The Micro Mini」
Harvey Averne/Marty Sheller作。サバービア好きの人はこの曲も要チェックですね。ヴァイヴの音色が心地好いブーガルーなラテン・ソウルに仕上がっています。
「Shake Your Money Maker」
Harvey Averne/Marty Sheller作。小気良さが魅力のノーザン・ソウル+ラテン・ソウルな1曲に仕上がっています。この曲に代表されるR&Bとラテンの接点を見出したところに本作の魅力が凝縮されているのかもしれませんね。
「You Mess My Mind Up」
Harvey Averne/Marty Sheller作。Bob Dylan「Like a Rolling Stone」を援用したラテン・ソウル・チューン。ラテンとソウルとフォーク・ロックの融合というのは何とも興味深いですね。
「The Think Drink Theme」
Richard Boyell作。Mr. T & The Coffeehouse、1967年のシングル曲をインスト・カヴァー。N.Y.ラテン好きにはたまらない格好良さがあります。
「Make Out」
Harvey Averne/Marty Sheller作。The Young Rascals好きはニンマリしてしまう1曲なのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=mnAvygioSnk
「The Word」
The Beatlesのカヴァー。オリジナルは『Rubber Soul』に収録されています。『Rubber Soul』の中でも地味なこの曲が案外ラテンのリズムにマッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=Y4HDdQXVs54
「Free Advice」
John Phillips/Michelle Gilliam作。The Mamas & The Papasのカヴァー2曲目。オリジナルは『Deliver』(1967年)に収録されています。ファンキー&グルーヴィーな仕上がりはソウル/R&B好きにはグッとくるはずです。
他のHarvey Averne関連作品もチェックを!
『The Harvey Averne Dozen』(1968年)
『Harvey Averne Barrio Band』(1972年)
ありがとうございます。
ビッグバンドとのコラボ作品というはビミョーですね。