2013年02月27日

Hugo Montenegro & His Orchestra『Moog Power』

アメリカン・ラウンジ巨匠によるムーグ名盤☆Hugo Montenegro & His Orchestra『Moog Power』
Moog Power
発表年:1969年
ez的ジャンル:ムーグ系ポップス/ロック・カヴァー
気分は... :ムーグ・パワー全開!

アメリカン・ラウンジ巨匠Hugo Montenegro のムーグ名盤『Moog Power』(1969年)です。

Hugo Montenegro (1925-1981年)は数多くの映画音楽やムード音楽を手掛けた作曲家。そんな巨匠が手掛けたムーグ・シンセでポップス/ロックのヒット曲・名曲をカヴァーした作品が本作『Moog Power』(1969年)です。

彼の作品群のなかでは異色作でしょうが、今日では最も再評価の高いアルバムかもしれませんね。

アルバムには「Hair/Aquarius」

インパクト大のジャケも最高です。このケバケバしさはまさにムーグ・パワー全開です(笑)

タイトルとジャケだけからは、ケバケバしいムーグ・サウンドをイメージするかもしれませんが、決して最初にムーグありきのアルバムではなく、ヒット曲・名曲をムーグ・サウンドで引き立てるというスタイルが貫かれています。

その意味では、ムーグ・サウンド云々に関係なく、純粋にポップス/ロックのカヴァー集として楽しめます。また、Classics IV、Joe South、The Spiral Starecase、Harry Nilsson、Tommy Roe、Jimmy Webb等選曲のセンスの良さも光ります。

ヴォーカル曲の数曲ではGene Morfordがヴォーカルを務めています。

Hip-Hop好きの人であれば、「Moog Power」「Dizzy」といった定番曲をはじめ、サンプリング・ソースも数多く収録されています。

いろいろな意味で興味が尽きない1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Hair/Aquarius」
Gerome Ragni/James Rado/Gerome Ragni作。オープニングはブロードウェイ・ミュージカル『Hair』の挿入歌。「Aquarius」は5th Dimensionの大ヒットでもお馴染みですね。本ヴァージョンは「Hair」のイントロでムーグらしさを満喫できます。続く「Aquarius」は5th Dimensionばりのポップな仕上がりにムーグが加わった感じですね。
http://www.youtube.com/watch?v=XGmZCdWiyBA

Mobb Deep「Solidified」のサンプリング・ソースになっています。
Mobb Deep「Solidified」
 http://www.youtube.com/watch?v=lww7CKvj2wM

「Traces」
Buddy Buie/James Cobb/Emory Gordy作。Classics IVの大ヒット曲をカヴァー。哀愁メロディにムーグが絡みますが、純粋なカヴァーとしてもなかなかの出来栄えです。
http://www.youtube.com/watch?v=tpCd9uWd7Bw

Kohfie Konnect「Creme De La Creme」のサンプリング・ソースになっています。
Kohfie Konnect「Creme De La Creme」
 http://www.youtube.com/watch?v=W5f-YjahdAM

「Touch Me」
The Doorsの大ヒット曲をカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『The Soft Parade』(1969年)に収録されています。スペイシー感覚と甘酸っぱい香りが交互する「Touch Me」を楽しめます。Satanicpornocultshop「Lesson Ugh」でサンプリングされています。
http://www.youtube.com/watch?v=aGO_z9iVOMc

「The Greatest Love」
Joe South作品のカヴァー。オリジナルは『Introspect』(1968年)に収録されています。オリジナルの雰囲気のそのまま受け継ぎながら、軽く隠し味程度にムーグが効いています。純粋にポップス好きの人が聴いてグッとくる仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=dyi4QYBkN_I

「More Today Than Yesterday」
The Spiral Starecaseのヒット曲をカヴァー(Pat Upton作)。本カヴァーはいかにもムーグ・カヴァーといったサウンドを楽しめます。オリジナルの爽快さを残したままムーグの布で包み込んだといった雰囲気ですかね。
http://www.youtube.com/watch?v=JJmPT7Uugio

「Don't Leave Me」
Harry Nilsson作。Nilssonのオリジナルは『Aerial Ballet』(1968年)に収録されています。わりと地味であったNilssonのオリジナルと比較すると、かなりポップな仕上がりです。これはかなりの好カヴァーだと思います。ムーグの使い方も自然で決して浮いていません。
http://www.youtube.com/watch?v=hx7v9rOICJI

「Moog Power」
Hugo Montenegro作。本作唯一のオリジナルです。タイトルの通り、ムーグのパワーに漲ったタイトル曲です。ムーグ感を満喫したいのであれば、やはりこの曲」が一番でしょうね。また、ドラム・ブレイクの格好良さもこの曲の魅力を高めることに大きく貢献しています。
http://www.youtube.com/watch?v=STFf3UZRwQs

日本人であれば立花ハジメのカヴァーをお聴きの方もいるのでは?実は僕も収録アルバム『Bambi』(1991年)をリアルタイムで愛聴していたので、立花ハジメ版「Moog Power」をよく聴いていました。その当時はHugo Montenegroのオリジナルは聴いたことがありませんでしたが・・・

本曲はサンプリング・ソースとしても定番です。Malcolm McLaren「Buffalo Gals」、Stetsasonic「Bust That Groove」「Step Troop '88」、Just Too Fresh「Popular Demand」、Just Too Fresh「Popular Demand」、MC Cam「My Daydream」、The Click「Oldschool」、X-Ecutioners「The Turntablist Anthem」、Peanut Butter Wolf「Casio」、Arsonists「Flashback」 、DJ Talkback「The Return of Scratching」、DJ Static「My Definition」等数多くの曲でサンプリングされています。

Malcolm McLaren「Buffalo Gals」
 http://www.youtube.com/watch?v=ckjhFWWlyoY
MC Cam「My Daydream」
 http://www.youtube.com/watch?v=qJzWmGQl1Jk
The Click「Oldschool」
 http://www.youtube.com/watch?v=ze9GbJyFpPA
Arsonists「Flashback」
 http://www.youtube.com/watch?v=j2uKLAycJFc

「Dizzy」
Tommy Roeのヒット曲をカヴァー。ポップなメリハリが効いており、ある意味オリジナル以上に聴きやすいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=MQVsZ8DKll0

「Moog Power」同様、本曲も定番サンプリング・ソースとしてもお馴染みですね。Pete Rock & C.L. Smooth「Carmel City」、Lord Finesse「Hip 2 Da Game (Remix)」、Busta Rhymes feat. Q-Tip「Ill Vibe」、A+ feat. Q-Tip「Me and My Microphone」、Large Professor「Listen (Blast Off)」、Mic Geronimo「Unstoppable」、Indelible MC's「Weight」、7L & Esoteric feat. Inspectah Deck「Speaking Real Words」、Bobby Hughes Experience「Sahara 72」、Ugly Duckling「Dizzy」、Kero One「Keep It Alive!」、Jay-Z「Interlude」、Hubert Daviz「Those Dizzy Days」、Tek「It's Not a Game」、Jehst「Killer Instinct」、Ras Kass feat. Bishop Lamont, Mk Asante and Talib Kweli「Godz N the Hood」等でサンプリングされています。個人的には当ブログでも紹介したKero One「Keep It Alive!」がお気に入り。

Pete Rock & C.L. Smooth「Carmel City」
 http://www.youtube.com/watch?v=dy8mu2_RbzA
Large Professor「Listen (Blast Off)」
 http://www.youtube.com/watch?v=kj0CucG2KnI
7L & Esoteric feat. Inspectah Deck「Speaking Real Words」
 http://www.youtube.com/watch?v=5CIzNlFUpmc
Bobby Hughes Experience「Sahara 72」
 http://www.youtube.com/watch?v=K-HTuLqPKXQ
Ugly Duckling「Dizzy」
 http://www.youtube.com/watch?v=PYE3fviP9E8
Kero One「Keep It Alive!」
 http://www.youtube.com/watch?v=wc5hLaaf2n4
Hubert Daviz「Those Dizzy Days」
 http://www.youtube.com/watch?v=wEmAs3ERQE8

「MacArthur Park (Allegro Part III)」
Jimmy Webb作の名曲をカヴァー。Richard Harris、Donna Summer等数多くのアーティストにカヴァーされています。サウンドの格好良さでいえばアルバムで一番ですね。ムーグの使い方も絶妙です。映画音楽で培ったドラマティックなアレンジもグッド!数ある本曲のカヴァーのなかでも最高峰の1つなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=eNM6187cznE

「You Showed Me」
The Turtlesによってシングル・リリースされたThe Byrds作品(Gene Clark/Jim McGuinn作)。美しいメロディに上手くムーグが絡んでいます。
http://www.youtube.com/watch?v=AnvUM56sgLQ

「My Way」
Claude Francois/Jacques Revaux/Paul Anka作。ラストはポピュラー・スタンダード「My Way」のカヴァー。ムーグを巧みに使い、この曲の仰々しさをうまく中和しているのがグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=A64Lq1VTtCg

本作とは路線が異なるかもしれませんが、Hugo Montenegro の他作品もどうぞ!

『Candy's Theme and Other Sweets 』(1965年)
Candy's Theme

『The Man From U.N.C.L.E 』(1965年)
THE MAN FROM U.N.C.L.E.

『Come Spy With Me 』(1967年)
カム・スパイ・ウィズ・ミー(紙ジャケット仕様)

『Hang 'Em High 』(1968年)
HANG'EM HIGH

『Lady in Cement』(1968年)
Lady in Cement

『Good Vibrations』(1969年)
グッド・ヴァイブレーション

『Mammy Blue』(1971年)
Mammy Blue

『Love Theme from the Godfather (Quadrophonic) 』(1972年)
LOVE THEME FROM THE GODFATHER

『Montenegro Plays A Neil Diamond Songbook』(1973年)
Neil's Diamonds

『Hugo in Wonder-Land』(1974年)
Hugo in Wonder-Land
posted by ez at 13:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 1960年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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