2007年02月24日

Donny Hathaway『Everything Is Everything』

記念すべきデビュー・アルバム!ここから新しいソウルの道が開けた☆Donny Hathaway『Everything Is Everything』
Everything Is Everything
発表年:1970年
ez的ジャンル:知的エモーショナル系ニューソウル
気分は... :今日は真面目に!

数日前、紹介しようと思ってスルーしてしまったDonny Hathawayの紹介っす。

Donny Hathawayは本ブログ2回目の登場デス。
前回はライブアルバム『Live』(1972年)を紹介しましたが、今回はスタジオ作の中からデビュー・アルバム『Everything Is Everything』(1970年)を紹介しマス。

子供の頃からゴスペル・グループで活動すると同時に、クラシックを学んでいたDonny Hathawayは、黒人大学の名門ハワード大学へ進む。ハワードでは、後に共演アルバムを制作するRoberta Flackとクラスメイトであり、本作でも数曲で共作しているLeroy Hutsonとルームメイトであった。

その後、Donnyはシカゴへ向かい、Curtis Mayfieldが設立したばかりのCurtomへ入社する。そこでアレンジャーとして活躍したDonnyは、King Curtisの紹介でアトランティックとの契約に成功し、デビュー作となる本作『Everything Is Everything』を発表した。

以前にも書いたが、Marvin GayeStevie WonderCurtis MayfieldDonny Hathawayというニューソウル四天王の中で、Donny Hathawayを聴く頻度が圧倒的に少ない。前回紹介した『Live』(1972年)だけは例外的に頻繁に聴きますが。

Donnyの音楽の最大の魅力は、意識的にポップでダンサブルな要素を排した音作りによる圧倒的な重量感だと思う。僕はその重さが決して嫌いな訳ではない。

ただし、ジャズにおけるJohn Coltraneと同じで、その重さをしっかり受け止めて聴きたいので、他のアーティストよりは聴く機会を選んでしまう。結果として、聴く頻度が少なくなってしまうのであろう。

『Live』を除くと、Roberta Flackとのデュエットアルバム『Roberta Flack & Donny Hathaway』(1972年)を聴く回数が一番多いかなぁ。でも、今回は『Everything Is Everything』を紹介しマス。振り返ると、やっぱりこのデビュー作にDonnyの魅力が凝縮されていると思いマス。

一般的には『Extension of a Man』(1973年)を最高傑作として紹介されるケースが多いけど、普段グルーヴ感のあるソウル/R&Bを聴いている人にとっては、『Extension of a Man』よりは『Everything Is Everything』の方がしっくり来るのでは?

全曲紹介しときヤス。

「Voices Inside (Everything Is Everything) 」
Donnyによる新しきソウルの道は、Richard Evans/Philip Upchurch/Ric Powell作のエモーショナルなナンバーで始まった。確かに同年代のソウル・アルバムとは異なる肌触りであることが、この1曲でわかりますね。ホーンセクションが印象的っす。

「Je Vous Aime (I Love You) 」
DonnyとLeroy Hutsonの共作曲。ジワジワと胸に響く感動に充ちた1曲。このジャズとゴスペルが融合したソウル・フィーリングというのはDonnyならではの味わいですね。「The Ghetto」を除けば、この曲が一番好きかも?

「I Believe to My Soul」
Ray Charlesのカヴァー。なかなかファンキーな仕上がり。Donnyの場合、カヴァー曲でさらにその魅力が増すのがスゴイですね。

「Misty」
お馴染みのジャズ・スタンダード。ジャズ・ピアニストの Erroll Garnerがシカゴに向かう飛行機の中から見た霧深い景色にインスパイアされて作曲したというこの曲は、まさにDonnyらしい選曲かもしれませんね。

「Sugar Lee」
ジャム・セッション風のインスト曲。重い雰囲気のイメージが先行するDonnyですが、実に楽しそうにヒートアップするDonnyの様子が窺えマス。

「Tryin' Times」
DonnyとLeroy Hutsonの共作曲。ジャジーでブルージーな味わいが実に洒落ている1曲。

「Thank You Master (For My Soul) 」
Donnyらしい崇高で、ずっしりとした重量感のあるゴスペル・フィーリングに溢れたバラード。中盤でのDonnyのピアノもなかなか素敵デス。

「The Ghetto」
DonnyとLeroy Hutsonの共作。シングル・カットもされまシタ。ラテン風味のクール・ファンクは、Donnyの重さが苦手という方も納得のグルーヴだと思いマス。僕もやっぱり本作ではこの曲を聴く頻度が圧倒的に多いですね。Ric PowellとHenry Gibsonのパーカッションがいいカンジっす。この路線を拡大していればDonny Hathawayというアーティストの印象もかなり変わっていたのでは?

Leroy Hutsonのバージョンはアルバム『The Man』で聴くことができマス。

「To Be Young, Gifted and Black」
Nina Simone作の黒人差別に対するプロテスト・ソング。本ブログでは以前にAretha Franklinのバージョンを紹介しましたね。Donnyの唱法やアレンジが実に曲とマッチしていますね!

Donnyの歌を聴きながら、今日は真面目に過してみようかな?
posted by ez at 08:59| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なるほど、ダニー・ハザウェイとコルトレーンって同じ匂いがしますよね。「あんまり根詰めないでくださいね。」って周りが心配したくなるような感じが。
僕も四天王の中ではダニーが一番聴くのにパワーがいる気がします。実際頻度も少ない。
その中では2ndの「Donny Hathaway」が一番好きです。(一般的にはあまり評価は高くないのでしょうか?) カバー曲でしかもバラードばかりなのですが、だからこそダニーの魅力が引き出されている気がします。
Posted by スペース・カウボーイ at 2007年02月24日 12:21
☆スペース・カウボーイさん

ありがとうございます。

『Donny Hathaway』は、Donnyの持つゴスペル・フィーリングと、
スピリチュアルな魅力を堪能できる1枚ですね。

個人的には「A Song for You」が好きです。
Leon RussellのオリジナルとDonnyバージョン、Carpentersバージョン
の三点セットで聴くのがお気に入りです。
Posted by ez at 2007年02月25日 16:09
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