発表年:2013年
ez的ジャンル:リゾート系クロスオーヴァー/ジャズ・ファンク
気分は... :サウンドもピープルツリーも僕好み!
今回は新作アルバムの中からメロウなクロスオーヴァー作品Khari Simmons『Sun Flower』です。
Khari Simmons(Khari Cabral Simmons)はUSのベーシスト/プロデューサー。
10代前半からベースを演奏し始め、アトランタの音楽大学で本格的に音楽を学んだようです。その後結成したグループにはIndia.Arieも在籍していました。
これまでクロスオーヴァーなソウル/ジャズ・ユニットJivaやUK出身の女性R&BシンガーJulie Dexterとの共同名義で作品をリリースしています。また、Karl InjexとのユニットTauriva名義でリミックスなども手掛けています。
今回紹介する『Sun Flower』は、昨年本国アメリカでリリースされた『Clementine Sun』に新曲やリミックスを追加したアルバムです。『Clementine Sun』を日本向けに新装したアルバムと位置づければ良いでしょう。
『Clementine Sun』(2012年)
その『Sun Flower』ですが、ソウル、ジャズ、ブラジル音楽がブレンドしたメロウなクロスオーヴァー作品に仕上がっています。全体的にはブラジリアン・フレイヴァーが印象的です。
某CDショップのソウル/R&Bにコーナーで本作を見つけましたが、どのコーナーに置くべきか迷う作品でしょうね。歌モノが多いことやIndia.Arieつながりでソウル/R&Bのコーナーに置いたのでしょうが、個人的にはブラジリアン・グルーヴ好き向けの内容だと思うのでジャズかブラジル音楽売場の方がフィットするように思いますが・・・
アルバムにはIndia.Arie、Monday Michiru(MONDAY満ちる)、Incognito、Sabrina Malheirosといった興味深いゲスト・アーティストが参加しています。
個人的にはMonday Michiru(MONDAY満ちる)とSabrina Malheirosにグッときます。かつての渋谷系ディーヴァMONDAY満ちる(現在はN.Y.を拠点に活動)は当時大好きなアーティストでした。当時の彼女の作品は殆ど持っています。当ブログでも作品を紹介しているブラジル人女性シンガーSabrina Malheiros(AzymuthのベーシストAlex Malheirosの娘)は僕のイチオシ・アーティストの1人です。
また、IncognitoのJean-Paul "Bluey" Maunickはアルバム全体のミックスも手掛けています。
こうした有名アーティスト以外にも、『Moon Bossa』で共演したJulie DexterやThe Foreign ExchangeやZo!のアルバムにも参加している女性シンガーChantae Cann等もヴォーカリストとしてフィーチャーされています。
さらに、『Sun Flower』に追加された「Never In Your Sun」のリミックスはBugz In The AtticのDaz-I-Kueが手掛けています。Jivaの作品でもLouie VegaやTom & Joyce等にリミックスを依頼しており、クラブ・ミュージックとの接点の持ち方も興味深いですね。
この多彩な参加メンバーを眺めただけでも本作のクロスオーヴァー感がわかると思います。アルバム自体もアーティストとして自身の個性を前面に押し出すというより、多彩なメンバーを上手く駆使したトータルなサウンド・プロデュースに重きを置いた作品に仕上がっています。
あまり細かなクレジットなど気にせず、簡単に試聴して音だけで購入を決めたのですが、後からモロに僕好みのピープルツリーであることにビックリしました。
それにしても、こういったクロスオーヴァー作品をUSアーティストがリリースするのは意外ですね。いろいろな意味でも興味深い1枚でした。
これからの季節に向けてピッタリなメロウ作品だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Never In Your Sun」
Stevie Wonderのカヴァー。Stevieのオリジナルは『In Square Circle』(1985年)に収録されています。India.Arieをフィーチャーし、メロウ・ボッサで聴かせてくれます。本作のメロウなクロスオーヴァー感覚を象徴するオープニングです。
http://www.youtube.com/watch?v=ZO6r89eNQtE
「Samara Smiles」
Incognito好きであれば、間違いなく気に入るであろうサマー・モードのジャズ・ファンク・チューン。昔のフュージョン好きの人もグッとくるはず!Khariのベーシストとしての実力も実感できます。
「Get Back」
Chantae Cannをフィーチャー。曲自体はキュートで爽快な欧州テイストのポップ・チューンに仕上がっています。なかなかキャッチーでいいですよ!
http://www.youtube.com/watch?v=vv9IA-BeY7Q
「Clementine Sun」
イントロはインド風の旋律も聴こえてきますが、本編はボッサ・チューンです。メロウなエレピにグッとくると思い、クレジットで確認すると弾いていたのはUKジャズ・ファンク好きにはお馴染みOutsideの活動でも知られるMatt Cooperでした。
「Belle Of Byron Bay」
Monday Michiruをフィーチャー。彼女の素晴らしいスキャットを堪能できるブラジリアン・グルーヴ。Sabrina Malheirosあたりが好きな人であればジャスト・フィットするはず!
「How Can We Go Wrong」
Incognitoをフィーチャー。100%Incognito印のメロウ&グルーヴィーなジャズ・ファンクに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=u9NkDlE4j9A
「Coolamon Waltz」
ヴァイヴの音色が心地好いワルツ調のジャズ・チューンに仕上がっています。Khariのジャズな側面を確認できる仕上りです。
「Major Bossa」
Sabrina Malheirosをフィーチャー。彼女自身のアルバムに収録されていても違和感のないメロウなボッサ・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=jpAfqydKWts
「The Dove」
ジャズ・ファンクな演奏によるインスト・チューン。グルーヴィーなハモンド・オルガンの音色が格好良いですね。
http://www.youtube.com/watch?v=SkNgaVehXI8
「Is It Any Wonder?」
UKのロック・バンドKeaneのカヴァー。意外な選曲ですが、『Moon Bossa』で共演したJulie Dexterのヴォーカルをフィーチャーしたボッサ・フレイヴァーのポップ・チューンで聴かせてくれます。ちなみにJulie Dexterは当ブログで紹介したAngela Johnson『A Woman's Touch Vol.1』
「Ninos」
USのトランペット/トロンボーン奏者Russell GunnとベーシストOteil Burbridgeをフィーチャーしたジャズ・チューン。メイン・ストリームな演奏を聴かせてくれます。
「Never In Your Sun(Daz-I-Kue Remix)」
Bugz In The Attic等で知られるDaz-I-Kueによる「Never In Your Sun」のリミックス。クラブ・ミュージック/クロスオーヴァー好きにはグッとくる仕上がりです。
Khari Simmons関連の他作品もチェックを!
Julie Dexter & Khari Simmons『Moon Bossa』(2006年)
Jiva『Sun & Moon』(2005年)
Jiva『Day Into Night』(2007年)