発表年:2013年
ez的ジャンル:Build An Ark系クロスオーヴァー・ジャズ
気分は... :楽園モードの感動が・・・
今回はBuild An Ark系のクロスオーヴァー作品Dexter Story『Seasons』です。
Dexter StoryはCarlos Ninoを中心としたL.A.のミュージシャン集団Build An Arkや、Carlos Ninoとのジョイント・ユニットThe Life Force Trio等の活動で知られるプロデューサー/コンポーザー/マルチ奏者/シンガー。また、裏方として音楽レーベルのマーケティング・ディレクターなども手掛けるマルチな才能の持ち主。
僕の場合、Dwight Trible & The Life Force Trio『Love Is the Answer』(2005年)なども愛聴していますが、正直Carlos Ninoの名前ばかり気になり、Dexter Storyの名をきちんとインプットできていませんでした。
本作『Seasons』は、Dexter Storyにとっての初ソロ・アルバムとなります。
Dexter Story本人とCarlos Ninoがプロデュースを務めています。
レコーディングには、Miguel Atwood-Ferguson(violin、viola)、Mark De Clive-Lowe(syn)、i_Ced(vo)、Gaby Hernandez(vo)、Jimetta Rose Smith(vo)、Erik Rico(vo、g)、Allakoi Peete(per)、Damon Aaron(CFO efx)、Surya Botofasina(p)、Derf Reklaw(bottle flute)、Alan Lightner(steel pan、marimba)、Dwight Trible(vo)、Waberi Jordan(vo)、Nichelle Monroe(vo)、Kamasi Washington(ts)、Seymour Liberty(vo)、Turn On The Sunlight(Carlos Nino、Jesse Peterson)(vo)、Jimetta Rose(vo)等Build An Ark周辺をはじめとする多彩なミュージシャンが参加しています。
Build An Ark系ミュージシャンらしく、さまざまな音楽のエッセンスを詰め込んだ壮大な音絵巻を聴いている気分になります。個人的にはスティール・パンの音色が目立つ曲が多いせいか、楽園モードのクロスオーヴァー作品といった印象を受けます。ピュアでヒューマン・タッチな愛に溢れた感じにグッときます。
殆どの曲がヴォーカル入りなので、その意味では案外聴きやすいかもしれません。オープニングの「Underway (Love Is...)」のキャッチーさで確認できると思います。
個々の楽曲というよりもアルバム全体の流れの素晴らしさ、美しさに感動する1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Underway (Love Is...)」
オープニングはアルバムを象徴するキャッチーなメロウ・ソウル風の仕上がり。よく言われるように、Ramsey Lewis『Sun Goddess』やEarth, Wind & Fireの諸作を彷彿させます。Alan Lightnerのスティール・パンをはじめ、楽園のメロウ・ソウルといった雰囲気がたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=G1VHlNxhFVQ
「Suijin」
Erik Ricoをフィーチャーした小曲。
「Into The Hour」
I, Ced(Cedric Norah)をフィーチャー。近未来的な雰囲気の漂うクロスオーヴァー・ソウル。Erik Ricoのギター・ソロ、Mark De Clive-Loweのシンセ・ソロも印象的です。
「Bloop Drip」
トライバル&スピリチュアルなジャズ・チューン。Alan LightnerのマリンバやKamasi Washingtoのテナー・サックスも目立っています。
「God Sun」
Dwight Trible、Waberi Jordanをフィーチャー。Build An Arkあたりに通じる壮大なスケールを感じさせる仕上り。Miguel Atwood-Fergusonの素晴らしいストリングスを堪能できます。
「As Is」
冒頭のMark De Clive-Loweのシンセ・ソロがいい感じのスピリチュアル・ソウル・チューン。
「Gyre Song」
Dexter StoryとMiguel Atwood-Fergusonの共演によるアブストラクトな仕上がりのインスト。不思議な音空間に惹き込まれます。
「Paddle Boat (Interlude)」
ドリーミーなインタールード。
「Water Bearer」
楽園的ビューティフル感が魅力の仕上り。スティール・パンやハープの音色が感動的な音空間を演出します。
「Underneath It All」
アコースティックなメロウネスにグッとくる仕上がり。ヒューマン・タッチでピュアな雰囲気がたまりません。「Water Bearer」からの流れは実に感動的です。
「Love Force Trio, Pt. 1」
タイトルの通り、愛に溢れた仕上がり。ここでもAlan Lightnerのスティール・パンが印象的です。
「Seasons (Make The Most)」
マーチ風のリズムにのったポップ&ドリーミーな仕上がり。童心に戻れそうな雰囲気です。
「Spring」
美しいアコースティック・チューン。春の訪れがすぐ目の前まで迫ってきているような気分を味わえます。
「Underway (Love Is,,,) Reprise」
ラストはJimetta Roseをフィーチャーした「Underway (Love Is...)」のリプライズ。
ご興味がある方はThe Life Force Trioのアルバムあたりもチェックすると楽しいのでは?
Dwight Trible & The Life Force Trio『Love Is the Answer』(2005年)
The Life Force Trio『Living Room』(2006年)