発表年:2013年
ez的ジャンル:伊達男系男性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :伊達男の新しい魅力も楽しめます!
今回はイタリア人男性ジャズ・シンガーMario Biondiの最新作『Sun』です。
2メートルを超えるイタリア人の巨漢シンガーMario Biondiの紹介は、話題となった前作『Handful Of Soul』(2006年)、『If』(2009年)に続き3回目となります。
クラブジャズ・シーンで絶大な支持を集めるMario Biondiですが、Sony Music移籍第1弾となる最新作『Sun』はクラブジャズの枠を超えた話題作となりそうです。
何といってもIncognitoのJean-Paul "Bluey" MaunickがBiondi本人と共に全面プロデュースしている点が最大のポイントです。Blueyが後押しするMario Biondiの世界進出第1弾アルバムというのが本作の位置づけだと思います。
アルバムにはLeon Ware、Al Jarreau、Chaka Khan、Omar、James Taylor(JTQ)といったソウル、ジャズ・ファンクの人気アーティストが参加しています。Leon Wareに至ってはMinnie Riperton等への楽曲提供で知られるRichard Rudolphとの強力コンビで2曲を提供しています。
さらにレコーディングには、Matt Cooper、Vanessa Haynes、Pete Ray Biggin、Ski Oakenfull等の新旧Incognitoメンバーが大挙参加しています。
こうした参加メンバーを踏まえて、発売元は"ソウル・シンガー"として売り出したいようですが、。Blueyプロデュースということで従来にはないジャズ・ファンク色が強くなっているのは事実ですが、やはり基本はジャズ・アルバムだと思います。
どう考えても、ソウル/R&B売場ではなくジャズ売場に陳列されるべき作品ですからね。事実、僕も本作を某CDショップのジャズ売場で本作を購入しました。
『Handful Of Soul』(2006年)でクラブジャズにのめり込むようになった僕としては、劇的にソウル寄りになってしまったら嫌だな!と危惧していたのですが・・・それは杞憂でした。
確かに従来のアルバムとは明らかに異なる印象を受けますが、それでもジャズに本籍を置くシンガーのアルバムだと思います。Incognito色の強いジャズ・ファンク・サウンドをバックにしても彼の唯一無二のしわ枯れヴォーカルのスタイルは変わらず、伊達男の国のジャズ・シンガーとして強烈な個性を放っています。
結果として、Bluey色が強く出た曲、豪華ゲスト陣との共演曲、従来路線の曲という3タイプが上手くバランスした構成になっている感じですね。その意味ではBlueyはいい仕事をしたと思います。
数週間前に紹介したKhari Simmons『Sun Flower』(2013年)もBlueyが制作に大きく関与してしましたが、自身のソロ作リリースも含め彼の活動の充実ぶりが目立ちますね。
伊達男シンガーの世界進出を応援します!
全曲紹介しときやす。
「Intro – Ladies and Gentlemen Introducing Mario Biondi」
全世界に向けてMario Biondiを紹介するといった趣のイントロ。
「Shine On」
Massimo Greco/Jan Kincaid/Mario Biondi作。アルバムからの先行シングルにもなりました。イタリア人ミュージシャンMassimo Greco、The Brand New Heavies等の活動で知られるJan Kincaidとの共作です。従来からのMario Biondiの魅力を継承した、晴れやかなクラブジャズ・チューンに仕上がっています。Giovanni Amatoのトランペット・ソロもキマっています。
http://www.youtube.com/watch?v=qWKq1dzfjxU
「Come To Me」
Marco Bianchi/Daniel Richards/Mario Biondi作。Paolo Fedreghini And Marco BianchiやThe Invisible Sessionで知られるMarco Bianchiらとの共作です。僕の好きなワルツ調のエレガントなジャズ・チューン。この曲に限ってはバックをイタリア人ミュージシャンで固められており、伊達男の国のクラブジャズを存分に堪能できます。厚みのあるストリングス&ホーン隊もグッド!
http://www.youtube.com/watch?v=b0D4iDnzajU
「What Have You Done To Me」
Jean-Paul Maunick/Davide Florio/Mario Biondi作。この曲は本作らしいジャズ・ファンクなメロウ・グルーヴに仕上がっています。Incognitoの曲にMario Biondiがフィーチャーされているような印象ですね。春から夏にかけて重宝しそうな1曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=9RgWAGY99i0
「Woman Woman」
Kenny Rankin/Jack Siegel作。Kenny Rankinのオリジナルは『After The Roses』に収録されています。男臭いBiondiのヴォーカルでオリジナルとは一味違う「Woman Woman」を聴かせてくれます。なかなかの名カヴァーだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=0s0B947JpRg
「Never Stop」
Jean-Paul Maunick/Ski Oakenfull/Omar作。UKソウルのベテラン男性シンガーOmarをフィーチャー。軽くラテン・フレイヴァーの効いたミッド・チューン。全体としてはOmarの色が強く出たUKソウル寄りの仕上がりですね。
http://www.youtube.com/watch?v=E3mxANP3Epg
「Deep Space」
Mario Biondi/Raffaele Scoccia作。James Taylor Quartet(JTQ)のJames Taylorのオルガンをフィーチャー。フロア仕様の仕上りです。このあたりの抜けのいいダイナミックな音創りはBlueyらしいかもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=rWcpXeZWQnE
「Catch the Sunshine」
Leon Ware/Richard Rudolph作。Leon Ware本人がヴォーカルで参加しています。メロウ大王とイタリアの伊達男の共演というだけで期待は膨らみますね!そんな期待を裏切らないアダルティなメロウ・チューンにウットリです。
http://www.youtube.com/watch?v=WLUR95xwhVw
「La Voglia La Pazzia L'idea」
Mario Biondi作。英語の歌詞が殆どの本作ですが、やはりイタリア語の曲も聴きたいですね。そんなイタリア語の語感がフィットするボッサ調のジャズ・チューンです。クラブジャズ好きとしては、こういった曲に惹かれるなぁ。
http://www.youtube.com/watch?v=-GkcqRav1VE
「Light To the World」
Jean-Paul Maunick/Richard Bull作。BlueyとRichard BullというIncognitoコンビの作品です。Al Jarreauをフィーチャーしたライトタッチのメロウ・チューン。聴く前は「Al Jarreauのハイ・トーン・ヴォーカルとBiondiのしわ枯れ低音ヴォーカルの組み合わせってどうなるんだろう?」と思いましたが、案外マッチしています。
http://www.youtube.com/watch?v=6Yhv1OOnWfE
「Girl Blue」
Stevie Wonder & Yvonne Wright作。Stevieのオリジナルは『Music of My Mind』に収録されています。Brian Auger's Oblivion Express等で知られるJim Mullenの素敵なギターで幕を開けるIncognitoモード全開のライト・グルーヴに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=vyxiyple00o
「I Can't Read Your Mind」
Jean-Paul Maunick/Mario Biondi作。Biondiのしわ枯れ低音ヴォーカルが栄える大人のラブソングに仕上がっています。僕の密かなお気に入り曲です。BlueyとBiondiのタッグらしい仕上りなのでは?この曲でもJim Mullen
http://www.youtube.com/watch?v=esJOcQK9jcs
「There's No One Like You」
Leon Ware/Richard Rudolph作。メロウ大王作品の2曲目。激シブの哀愁メロウ・チューンに仕上がっています。
http://www.youtube.com/watch?v=kaUsdmRBsyw
「Lowdown」
Boz Scaggs/David Paich作。Boz Scaggs『Silk Degrees』に収録されたAORクラシックをカヴァー。ここではChaka Khanをフィーチャーし、パンチを効かせつつ、Blueyプロデュースらしいお洒落な「Lowdown」を聴かせてくれます。Blueyのギター・プレイも冴え渡っています。フルート音色が実に心地好いです。
http://www.youtube.com/watch?v=d2DxAWCeY9k
「Outro」
ゲスト陣の紹介も交えたジャジーなアウトロ。
Mario Biondiの過去記事もご参照下さい。
『Handful Of Soul』(2006年)
『If』(2009年)
ありがとうございます。
確かにスキンヘッドの風貌や低音ヴォーカルはIsaac Hayesっぽいかもしれませんね。