2013年04月17日

Madlib『Shades Of Blue』

奇才トラックメーカーによるBlue Note音源のリミックス/リメイク☆Madlib『Shades Of Blue』
Shades of Blue
発表年:2003年
ez的ジャンル:奇才トラックメーカー系ジャズHip-Hop
気分は... :Blue Note音源とHip-Hopが不可分な関係!

今回は奇才トラックメーカーMadlibが名門ジャズ・レーベルBlue Noteよりリリースした同レーベル音源のリミックス・アルバム『Shades Of Blue』(2003年)です。ジャケからしてBlue Noteしてますね。

Madlib(本名Otis Jackson Jr.)作品の紹介はTalib Kweliとのコラボ・アルバム『Liberation』(2007年)に続き2回目となります。

企画的要素もあるアルバムかもしれませんが、ジャズ・トランぺッターJon Faddisを叔父に持ち、Yesterday's New Quintet等のジャズ・プロジェクトをはじめ、ジャズ・ミュージシャンに深い憧憬を持つMadlibというトラックメーカーの原点に触れることができるアルバムかもしれませんね。

ジャズとHip-Hopの強固なタッグといった印象を受けます。無理矢理Blue Note音源をHip-Hop仕立てにしているのではなく、MadlibにとってHip-Hopもジャズも不可欠なものとなっているのがよくわかります。

オリジナル音源に対するリスペクトを感じるリミックス/リメイク、オリジナル音源を全く異なるかたちで再構築してしまうリミックスなどMadlibの手腕を存分に満喫できます。リミックスのみならず演奏による(カヴァーというよりも)リメイクも収録されており楽しめます。

オリジナルBlue Note音源と聴き比べるのも楽しいと思います。
当ブログで紹介した作品も多いので、そちらの記事もご参照ください。

オリジナルを知らない方は、こういった作品からジャズ名曲に触れるのも良いかもしれません。

Blue Note音源をMadlibがどのように解釈し、調理するのか楽しみましょう!

全曲紹介しときやす。

「Introduction」
イントロ。

「Slim's Return」
The Three Sounds「The Book of Slim」のリミックス。Gene Harris率いるピアノ・トリオThe Three Soundsの音源に、KRS-One「Krs-One Attacks」、「Sound of Da Police」、「Mortal Thought」、Gang Starr「Just to Get a Rep」ネタが絡む、Blue Note Meets Hip-Hopに相応しい1曲に仕上がっています。Madlibのヴァイヴもいいアクセントになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=apN0AXjJxQE

The Three Sounds『Elegant Soul』(1968年)
Elegant Soul

「Distant Land」
Donald Byrdの未発表をリミックス。Hip-HopビートにのったDonald Byrdのトランペットを楽しめます。Common「The 6th Sense」、Big L「Flamboyant」の声ネタも聴かれます。
http://www.youtube.com/watch?v=EQcuwVLx01o

「Mystic Bounce」
Ronnie Foster「Mystic Brew」のリミックス。オリジナルは『The Two Headed Freap』(1972年)に収録されています。軽やかなオルガン・ジャズが疾走するジャジーHip-Hopに生まれ変わっています。
http://www.youtube.com/watch?v=jCmbHWgkXek

Ronnie Foster『The Two Headed Freap』(1972年)
TWO HEADED FREAP

「Stormy」
Reuben Wilsonによる
Classics IVの名曲カヴァーをリメイク。オリジナルは当ブログでも紹介した『Love Bug』に収録されています。オリジナルはボッサ・テイストのメロウな演奏でしたが、ここではMorgan Adams Quartet Plus TwoというかたちでMadlib、Malcom Cattoのドラムも加わり、強力なHip-Hopビートにのったソウル・ジャズ風の演奏を楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=jMdzOowtKzo

Reuben Wilson『Love Bug』(1969年)
ラヴ・バッグ

「Blue Note Interlude」
ブルー・ノート・ストーリーを語るインタールード。

「Please Set Me at Ease」
Bobbi Humphrey「Please Set Me at Ease」のリミックス。オリジナルは『Fancy Dancer』(1975年)に収録されています。ここではHip-HopビートにのったM.E.D.のヴォーカルをフィーチャーし、オリジナルを解体したうえで見事に再構築しています。
http://www.youtube.com/watch?v=5uO16CLgEgg

Bobbi Humphrey『Fancy Dancer』(1975年)
ファンシー・ダンサー (完全期間限定盤)

「Funky Blue Note」
この曲のみMadlibのオリジナル。「Stormy」同様、Morgan Adams Quartet Plus Two名義による格好良い演奏を楽しめます。ビートの格好良さとしてはこれが一番だったりして・・・
http://www.youtube.com/watch?v=zDqcub0EeRE

「Alfred Lion Interlude」
インタールード。

「Stepping Into Tomorrow」
Donald ByrdによるMizell作品のリミックス。オリジナルの魅力を重視したリミックスにDonald Byrd、Mizell兄弟へのリスペクトが感じられます。
http://www.youtube.com/watch?v=7M1UJmfQ-Kk

Donald Byrd『Stepping Into Tomorrow』(1974年)
ステッピン・イントゥ・トゥモロー (完全期間限定盤)

「Andrew Hill Break」
Andrew Hill「Illusion」を使ったインタールード。

「Montara」
Bobby Hutcherson「Montara」のリミックス。オリジナルは当ブログでも紹介した『Montara』(1975年)に収録されています。本曲のリミックスといえば、『The New Groove (The Blue Note Remix Project Volume 1) 』(1996年)に収録されていたThe RootsによるリミックスThe Roots Remixも有名ですが、その流れを汲んでいる感じですね。Lou Rawls「Lifetime Monologue」ネタのリズムをバックに、DJ Grand Wizard Theodore「Live Convention」、Pete Rock & C.L. Smooth「For Pete's Sake」Gang Starr feat. Nice & Smooth「DWYCK」ネタも使われています。
http://www.youtube.com/watch?v=haTAdQt3FQk

Bobby Hutcherson『Montara』(1975年)
Montara

「Song for My Father」
Horace Silver「Song for My Father」のSound Directions名義によるカヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Song for My Father』(1965年)に収録されています。小粋なオルガン・ジャズで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=Q9Hkhpa87wg

Horace Silver『Song for My Father』(1965年)
ソング・フォー・マイ・ファーザー

「Footprints」
Wayne Shorterの名曲「Footprints」のカヴァー。オリジナルは当ブログで紹介した『Adam's Apple』(1966年)に収録されています。ここではYesterday's New Quintet名義でのミステリアスな雰囲気のカヴァーを満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=YBUxBL4HTqo

Wayne Shorter『Adam's Apple』(1966年)
Adam's Apple

「Peace/Dolphin Dance」
Horace Silver「Peace」とHerbie Hancock「Maiden Voyage」のリメイク。前者のオリジナルは『Blowin' the Blues Away』(1959年)、後者のオリジナルは当ブログで紹介した『Maiden Voyage』(1965年)に収録されています。Joe McDuphrey Experience名義によるMadlibらしい新解釈を満喫できます。
http://www.youtube.com/watch?v=XurCgoiHlzQ

Horace Silver『Blowin' the Blues Away』(1959年)
Blowin' the Blues Away
Herbie Hancock『Maiden Voyage』(1965年)
処女航海

「Outro」
アルバムのアウトロ。

Madlibのジャズ・プロジェクトYesterday's New Quintetあたりもチェックしてみては?

Yesterday's New Quintet『Angles Without Edges』(2001年)
Angles Without Edges

Yesterday's New Quintet『Stevie』(2002年)
Stevie: Instrumental Tribute to Stevie Wonder

Yesterday's New Quintet『Yesterday's Universe』(2007年)
Yesterday's Universe

『Madlib Medicine Show: No. 7 - High Jazz 』(2010年)
Medicine Show No. 7: High Jazz (Yesterday's New Qu
posted by ez at 09:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 2000年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
結構知ってる曲もあって新鮮でした!ブルーノートがリリースとは意外ですね!また最近んアマゾンのオススメにやたらMadvillainのMADVILLAINYというアルバムが出てくるんですがezさんは聞いたことありますか?
Posted by マイマイ at 2021年02月04日 20:59
☆マイマイさん

ありがとうございます。

Madvillainですか、MF Doomとのコラボですね。『Madvillainy』は名盤の誉れ高いアルバムですが、(ネットで試聴したことはありますが)全22トラックで3分以上は3トラックのみという点がネックで購入していません。尺の短いトラックを集めてアルバムの体裁にしているHip-Hop作品は手が出しづらいですね。

Madlibといえば、Karriem Rigginsとの最新ユニットThe Jahari Massamba Unitのアルバムを購入し、明日にでもブログにアップしようと思っていたところです。
Posted by ez at 2021年02月06日 02:57
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