発表年:2008年
ez的ジャンル:早熟系女性R&Bシンガー
気分は... :この面構えからして大物!
今回はグラミー賞新人賞にノミネートされた女性R&BシンガーJazmine Sullivanのデビュー・アルバム『Fearless』(2008年)です。
1987年フィラデルフィア生まれの女性R&Bシンガー/ソングライターJazmine Sullivanの紹介は、『Love Me Back』(2010年)に続き2回目です。
最近、新作も含めてヒットしたR&B作品を取り上げることが少なかったですね。元来僕は「ヒット作品は飽きるから賞味期限はせいぜい数年だし、長くは聴かないでしょ!」とヒット作品を毛嫌いする性分ですが、最近はそれに拍車が掛かっている状態です。
しかしながら、今回紹介するJazmine Sullivanのデビュー・アルバム『Fearless』は全米アルバム・チャート第6位、同R&Bチャート第1位のヒット作ですが、今も僕にとって魅力的な1枚です。
ヴォーカリストとして存在感がある点とソングライターとしても優れている点に惹かれます。本作の全曲が彼女のオリジナルです(共作含む)。このデビュー・アルバム時は弱冠21歳でしたが、そんな年齢とは思えない堂々とした歌いっぷりにも感心してしまいます。
お蔵入りとなってしまいましたが、16歳でJiveと契約して幻のデビュー作をレコーディングし、さらに『Fearless』以前からChristina Milian「Say I」、Jennifer Hudson「I'm His Only Woman」、Monica「Everything to Me」などのソングライティングを手掛け、ソングライターとしての才能を示していた実力は只者ではありません。
本作に収録されたMissy Elliottのプロデュースによるデビュー・シングル「Need U Bad」は全米R&Bチャートで4週連続No.1となりました。
そのMissy Elliottをはじめ、Salaam Remi、、Cainon Lamb、Stargate、Carvin & Ivan、Fistcuffs、Anthony Bell、Jack Splashといったプロデューサー陣がJazmineをバックアップしています(Jazmine Sullivan自身も1曲プロデュース)。
多彩なプロデューサーが起用され、さまざまなサウンドの楽曲が雑多に収録されていますが、誰がプロデュースしても彼女の存在感のある歌が中心にあり、決して散漫な印象は受けません。
この面構えからして大物ですね。
全曲紹介しときやす。
「Bust Your Windows」
Salaam Remiプロデュース。「Need U Bad」に続く2ndシングルであり、全米R&Bチャート第4位となりました。21歳とは思えない妖艶な歌いっぷりです。Salaam Remi「Bad Man Waltz」、Soulja Boy「Crank That (Soulja Boy)」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=mOzdfaEPaR0
「Need U Bad」
Missy Elliott/Cainon Lambプロデュース。前述のように全米R&Bチャートで4週連続No.1となった彼女の代表曲です。しかも、Nicholas Taylor「Higher Meditation Riddim Version」とTapper Zukie「Papa Big Shirt」をサンプリングしたレゲエ調というあたりに意表を突かれます。R&Bファンよりもレゲエ・ファンがグッとくる1曲かもしれませんね。
http://www.youtube.com/watch?v=HiFqIVQNM4I
「My Foolish Heart」
Carvin & Ivan(Carvin Haggins、Ivan Barias)プロデュース。Willie Mitchell「Groovin'」をサンプリングしたソウルフルなイントロが印象的です。全体的に少しイナたく摩訶不思議な雰囲気がいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=nkL0wGXutRE
「Lions, Tigers & Bears」
Salaam Remiプロデュース。アルバムからの3rdシングル全米R&Bチャートで第10位となりました。Jazmineのヴォーカリストとしての確かな実力を堪能できます。Salaam Remi「Shila's Playground」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=Uh5mEat46fc
「Call Me Guilty」
Salaam Remiプロデュース。硬質なHip-Hop調トラックをバックに、Jazmineの存在感のあるヴォーカルがグイグイ迫ってきます。
Salaam Remi「Police Theme」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=CbZNK8P6O8w
「One Night Stand」
Fisticuffsプロデュース。60年代ソウル・テストで弾けています。ハモンド・オルガンの音色がいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=Q6ZPi9yOnuQ
「After the Hurricane」
Stargateプロデュース。Stargateらしいサウンドをバックに、Jazmineが哀愁のメロディを力強く歌います。
http://www.youtube.com/watch?v=bawqI6UqKPU
「Dream Big」
Missy Elliott/Cainon Lambプロデュース。アルバムからの4thシングル。Daft Punk「Veridis Quo」をサンプリングしたエレクトリック感が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=K5w85EWZqKE
「Live a Lie」
Salaam Remiプロデュース。The Vibrettes「Humpty Dump」のブレイクを使ったトラックが僕のお気に入り。Jazmineの魅力を堪能できるソウルフル・トラックです。Salaam Remi「The Truth」をサンプリング。
http://www.youtube.com/watch?v=Bas56CvkNHs
「Fear」
Dirty Harryプロデュース。僕の一番のお気に入り曲。Art of Noise「Beat Box (Diversion One)」をサンプリングし、Stevie Wonder「I Was Made to Love Her」を引用したビューティフル・ソウル・チューンです。語り継がれていくべき名曲だと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=C6Cfn9ZtpAw
「In Love with Another Man」
Jazmine Sullivan/Anthony Bellプロデュース。ゴスペル仕込みのヴォーカルを堪能できる感動バラード。聴いているだけで涙腺が緩くなります。
http://www.youtube.com/watch?v=s96nlATQCGU
「Switch!」
Jack Splashプロデュース。ラストはThe Marvelettes「Switch!」をサンプリングした60年代モータウンへのオマージュで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=0kwKvxOxERU
『Love Me Back』(2010年)