発表年:2012年
ez的ジャンル:ミナス系静かなる音楽
気分は... :ミナスの森の楽団・・・
昨晩は突然の豪雨で隅田川の花火が途中で中止になったのは残念でしたね。
遠くからでしたが、僕もホロ酔い状態で眺めていたのですが、あの終わり方だと酔うに酔えない感じでしたね。と言いつつ、その後調子に乗って日本酒をガンガンいってしまいましたが(笑)
さて、久々に"静かなる音楽"を・・・ミナスの若き才能Alexandre Andresの2ndアルバム『Macaxeira Fields』です。
昨年リリースされたアルバムですが、日本に本格流通するようになったのは今年なので、今年の新作扱いでここ1〜2ヶ月愛聴しています。
Alexandre Andresはミナス出身のシンガー/コンポーザー/フルート奏者。現在の年齢は多分23歳前後だと思います。Alexandreの父はブラジルの創作楽器集団として知られるUaktiのフルート奏者Artur Andresです。
今回紹介する『Macaxeira Fields』は、『Agualuz』(2011年)に次ぐ2ndアルバムとなります。
『Agualuz』と同様に、詩人で哲学者のBernardo Maranhaoがすべての作詞を、Alexandre自身がすべての作曲を手掛けています。
レコーディングには、ブラジルの若手No.1ジャズ・ピアニストAndre Mehmari、当ブログでも2ndアルバム『So』を紹介したサンパウロ出身のマルチ奏者/コンポーザーAntonio Loureiro、昨年リリースした最新作『Motivo』が素晴らしかったミナス出身のピアニストRafael Martiniといった"静かなる音楽"好きには興味深いミュージシャンが参加しています。さらには父Artur AndresやUaktiのメンバーも参加しています。Andre Mehmari、Rafael Martini、Artur Andresはアレンジも手掛けています。
※Rafael Martini『Motivo』については、ぜひ当ブログでも紹介したい作品なのですが、未だにAmazonでの扱いがない状態なので保留にしたままです。
ゲスト・ヴォーカル陣も僕にとっては興味深いです。アルゼンチン・ネオ・フォルクローレを代表する鍵盤奏者Andres Beeuwsaertとの共作アルバム『Aqui』を当ブログでも紹介したサンパウロ出身の女性シンガーTatiana Parra、そのAndres Beeuwsaertも所属するAca Seca TrioのメンバーであるJuan Quintero、素晴らしいサンバ・アルバムであったデビュー作『Brigador - Ilessi Canta Pedro Amorim E Paulo Cesar Pinheiro』を当ブログでも紹介したIlessi、昨年のマイ・ベスト・アルバムCarlos Aguirre『Orillania』でもフィーチャーされていたサンパウロの新世代MPBシンガーMonica Salmaso等が参加しています。
こういった参加ミュージシャンの顔ぶれを眺めただけで、"静かなる音楽"好きの方は「間違いない作品」と確信できるのでは?
芸術的かつ美しいストリングスを織り交ぜながら、大自然の息吹のする音世界を満喫することができます。かといって難解ではなく、カラフルな雰囲気もあって結構聴きやすいです。
ミナスの若き才能が、同じく才能豊かな新世代ミュージシャンらと共に創り上げた壮大な音世界は、好き/嫌いを抜きに聴く者を魅了すると思います。
美しきミナスの森の楽団が、音の魔法で心を豊かなにしてくれるはずです。
全曲紹介しときやす。
「Um Som Azul」
繊細なAlexandreのヴォーカルと美しいストリングスの調べが美しいミナス・ワールドへと誘ってくれます。Andre MehmariのピアノやAlexandreのフルートも加わった豊かな音世界に引きずりこまれるはずです。
http://www.youtube.com/watch?v=1fcMdIw1LMM ※ライブ音源
「Aguaceiro」
Tatiana Parraのヴォーカルをフィーチャー。Andre Mehmariの繊細かつ美しいタッチのピアノをバックに、Tatianaが澄み切った歌声を聴かせてくれます。Antonio Loureiroのドラム、Alexandreのフルート、さらにはAlexandreとMehmariによるコーラス等も加わり、ミナスの大地の音世界を満喫できます。Andre Mehmariのアレンジが冴え渡ります。
「Macaxeira Fields」
タイトル曲はRafael Martiniのアコーディオンと共に始まります。Alexandreのヴィオラン、Martiniのアコーディオン、Joana Queirosのクラリネットのアンサンブルが絶妙です。聴いていると旅人モードになる曲です。
http://www.youtube.com/watch?v=-Bu5IWa281U ※ライブ音源
「Menino」
Monica Salmasoのヴォーカルをフィーチャー。AlexandreとArturによる親子フルート共演を聴くことができます。さらにはUaktiのメンバーも加わり、親子共演を盛り上げてくれます。Andre Mehmariの美しいピアノも含めて、すべてが感動的です。
http://www.youtube.com/watch?v=bTwN1_KvLQ4
「Ala Petalo」
Alexandreのヴォーカル&ヴィオランを、Andre Mehmariアレンジによる華のあるストリングス&ホーンが盛り上げてくれます。「花びらの翼」という邦題がぴったりです。
http://www.youtube.com/watch?v=OgDjP8zx6Lc
「A Meu Velho」
Ilessiのヴォーカルをフィーチャー。アコースティックな響きをバックに、IlessiとAlexandreが味わい深いヴォーカルを聴かせてくれます。終盤は徐々に厚みを増していく美しいストリングスが感動を大きくしてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=f56MKP-0hEs ※ライブ音源
「O Canto da Formiga」
チェロで参加しているFelipe Joseがアレンジを担当しています。美しいストリングスのアンサンブルがAlexandreの繊細なヴォーカルに豊かな深みを与えてくれます。
「Entre Aguas」
Leonora Weismannのヴォーカルをフィーチャー。Felipe JoseアレンジのストリングスとUaktiによるパーカッションの融和が独特の音世界を構築しています。
「Nina」
Juan Quinteroのヴォーカルをフィーチャー。Antonio Loureiroのドラムが牽引しながら、ジワジワと躍動していく展開がいいですね。
「Em Brancas Nuvens」
この曲もAlexandreとArturによる親子フルート共演です(アレンジも親子二人)。歌詞には♪いつの日か♪僕は見たい♪日本の空を♪なんて一節もあります。そのせいか、和のエッセンスを感じる音も織り交ぜられているように聴こえます。
「A Voz de Todos Nos」
この曲も親子でアレンジを手掛けています。「僕らみんなの声」という邦題のように、終盤には参加メンバーが大挙してコーラスに参加しています。
http://www.youtube.com/watch?v=DN1iboJd0T4 ※ライブ音源
「Sem Fim」
ラストは本作の功労者の一人であるAndre Mehmariが美しい鍵盤のみならずヴォーカルも披露してくれます。ここでは主役をMehmariに譲り、Alexandreは脇役に徹している感じです。
『Agualuz』(2011年)