発表年:2013年
ez的ジャンル:コンテンポラリーR&B/モダン・ソウル
気分は... :いろいろ要望はありますが...
今回は人気男性R&BシンガーJohn Legendの最新作『Love In The Future』です。
グラミー賞9冠に輝く実力派男性R&BシンガーJohn Legendについて、当ブログでこれまで紹介した作品は以下の3枚。
『Once Again』(2006年)
『Evolver』(2008年)
John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
The Rootsとの共演によるカヴァー・アルバムとなった前作『Wake Up!』は企画アルバムの色彩もあったので、純然たるオリジナル・アルバムということでは『Evolver』(2008年)以来5年ぶりということになります。
新作の制作に際して、John Legendには、所属レーベルG.O.O.D. MUSICのオーナーKanye Westのように流行りのサウンドを巧みに取り込んだエレクトロ/クロスオーヴァー路線と、1st『Get Lifted』(2004年)、2nd『Once Again』のように歌やメロディを大切にするソウル路線という選択肢があったと思うのですが、どうやらJohnは"Great Modern Soul Album"を目指して後者の路線を選択したようです。
本作ではKanye West、Dave Tozer、John Legendがエグゼクティヴ・プロデューサーを務め、彼ら3人をはじめ、88-Keys、Ali Shaheed Muhammad、Bink!、Boogz、David L. Anderson II、Doc McKinney、Da Internz、Darhyl Camper、Hit-Boy、Jon David Anderson、Ken Lewis、Malay、Mark Williams、Nana Kwabena、The Runners、The Twilite Tone、Q-Tipといった多彩なプロデューサーが制作に携わっています。
今回Kanye Westは直接的なトラック制作には関与せず、サウンドの方向性を提案する役割に徹していた模様です。
愛をテーマにアルバムだけあって、愛に満ちた楽曲が目白押しです。
特に終盤の壮大な構成は"最強のラブアルバム"という謳い文句に相応しいものです。
個人的にはJohnがモダン・ソウル作品を目指した方向性は大歓迎です。
一方で、『Once Again』収録の「Heaven」のようなアーバン・メロウな楽曲が入っていないのは残念ですね。
"Great Modern Soul Album"を制作するのに、G.O.O.D. MUSICに所属することや、今回のようなプロデューサー陣の起用が功を奏すのか疑問に思う点もありますが、John Legendならではの素晴らしいR&B作品に仕上がっていることには違いありません。
次の伝説(レジェンド)にも期待したく思います!
全曲紹介しときやす。
「Love in the Future (Intro)」
愛に満ちたアルバムのプロローグ。Dave Tozerプロデュース。
「The Beginning...」
Sara Bareilles「Winter Song」の美しいメロディをサンプリングした感動のビューティフル・ソング。Hit-Boy/Kanye West/Dave Tozerプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=lyeTgkL3tyw
「Open Your Eyes」
Bobby CaldwellのAOR名曲をカヴァー。Common「The Light」のサンプリング・ソースとしてもお馴染みですね。オリジナルは当ブログでも紹介した『Cat In The Hat』(1980年)に収録されています。オリジナル自体が大好きなので個人的には大歓迎のカヴァーです。ここではDetroit Emeralds「You're Getting a Little Too Smart」のビートをサンプリングしつつ、オリジナルの魅力を受け継いだ王道カヴァーで聴かせてくれます。Johnのヴォーカルも何処となくBobby Caldwell風ですね。Darhyl Camper/Kanye West/Dave Tozer/Boogzプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=Yp6X_r62zNY
「Made to Love」
Lil' Louis「The Original Video Clash」をサンプリング・ソースに使った壮大なスケール感を持った大きなミッド・グルーヴ。ニュージーランド出身の白人女性シンガーKimbra(Kimbra Lee Johnson)のユニークなコーラスが独特の雰囲気を醸し出しています。彼女はソングライターの一人としてもクレジットされています。Dave Tozer/Nana Kwabena/Kanye West/Da Internzプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=nRpjsFcb2uo
「Who Do We Think We Are」
アルバムからのリード・シングル。Rick Rossをフィーチャー。John Legendらしいソウル・チューンです。Rick Rossの存在感のあるラップや、Jean Knight「Mr. Big Stuff」をはじめ、Marvin Gaye「If I Should Die Tonight」、Lenny Kravitz「Let Love Rule (Live in Boston) 」をサンプリングした声ネタでアクセントをつけています。Bink!/Dave Tozer/Kanye West/The Twilite Tone/Nana Kwabenaプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=-LfRNzgH62c
「All of Me」
John Legendらしいスケールの大きなバラード。真摯なJohnの歌声が胸の奥まで響き渡ります。Dave Tozer/John Legendプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=u7cid83zMuU
「Hold on Longer」
ジェントルなヴァイヴに包み込まれたバラード。88-Keys/Dave Tozer/Kanye Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=z34a08DziUE
「Save the Night」
苦境を救うメッセージ!といった趣の仕上がり。闇の中なかに一筋の光明を見出させてくれるようなヴァイヴを与えてくれます。The Runners/Dave Tozer/Jon David Anderson/David L. Anderson II/Kanye West/John Legend/Mark Williamsプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=_H8tOZz8T8w
「Tomorrow」
Q-Tipプロデュース。いきなりDr. John「Glowin'」のサンプリングと共にスタートする温もりのソウル・チューン。Q-TipらしさとJohn Legendのソウル魂が上手く調和しているのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=BJnrF3oum_4
「What If I Told You? (Interlude)」
ソウルフルなインタールード。The Twilite Tone/Kanye West/Dave Tozer/Ken Lewisプロデュース。
「Dreams」
Darhyl Camper/John Legend/Kanye West/Dave Tozerプロデュース。美しいピアノ弾き語りによるバラード。オートチューンも駆使して甘く儚い夢の世界を歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=pYHNcMJ3hGw
「Wanna Be Loved」
傷ついた心を癒して欲しいときに聴きたくなりそうな"愛"のメッセージ。Johnらしいソウル・ヴァイヴを堪能できる1曲なのでは?Doc McKinney/Ali Shaheed Muhammadプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=eMDYSHD_h9A
「Angel (Interlude)」
Anita Baker、1983年のシングルをJohn LegendとStacy Bartheでデュエットしたインタールード。Darhyl Camper/Kanye Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=vqqhhL9OHIE
「You & I (Nobody in the World)」
二人だけの愛の世界を歌ったラブソング。少し仰々しいですが、照れずに実直に歌い上げてしまうところがいいですね。Malay/Dave Tozer/John Legendプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=yX1vtnJoYKU
「Asylum」
二人だけの愛はさらに愛の聖域へ・・・。前曲からの流れで聴くとドラマチックな流れになっています。Dave Tozer/Kanye West/Mark Williamsプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=0FY246MsJD8
「Caught Up」
本編のラストもそれまでの2曲の流れを受け継ぎ、愛にどっぷり浸ったラブソングで締め括ってくれます。Hit-Boy/Dave Tozer/Kanye Westプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=IY7Jp8kz21s
国内盤CDには以下の5曲のボーナス・トラックが追加収録されています。
「So Gone」
The Dells「Always Together」をサンプリングした正統派ソウル・チューン。 Bink!プロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=CUQKt6hMMfg
「We Loved It」
Sealをフィーチャー。切々と訴えかけるかのように二人が歌い上げます。Kanye West/Jeff Bhasker/Dave Tozer/Travis Scottプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=J03Ti7DPhpU
「Aim High」
しっとりとしたジャジー感覚のメロウ・バラード。Pharrell Williams/John Legendプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=Oy7K_aFfLMI
「For the First Time」
ピアノの弾き語りをバックに、力強く歌い上げるバラード。John Legend/Dave Tozerプロデュース。
http://www.youtube.com/watch?v=1Fsa5FH1cdA
「Made To Love (Benny Benassi Remix)」
「Made To Love」のリミックス。フロア仕様のEDMチューンに仕上がっています。正直、僕はこの手のサウンドには興味がありませんが・・・
John Legendの過去記事もご参照下さい。
John Legend『Once Again』(2006年)
John Legend『Evolver』(2008年)
John Legend & The Roots『Wake Up!』(2010年)
久々のオリジナルアルバム、本当にうれしいです。
MTVで"Who Do We Think We Are"のミュージックビデオを見た瞬間、「あ、CD出たんだな」と。早速買いに走りましたよ。
このミュージックビデオがゴージャスですごいですが、映像が無くても最高の一曲ですね。
最近は"Aim High"を繰り返し聴いています。Pharrell Williamsの曲、好きです。Pharrell Williams最近いろいろ出てますね。
そうそう、John Legend結婚されたそうですね。そんな充実感漂うアルバムです。
ありがとうございます。
「Aim High」のしっとり感はいいですね。
Pharrellっぽくはない気もしますが。
僕はベタですが「Open Your Eyes」が好きですね。
結構を機に、Johnにますます創作意欲が湧き出ることを期待します!