発表年:2013年
ez的ジャンル:ブラジリアン・テイスト女性ジャズ・ヴォーカル
気分は... :木漏れ日のように・・・
今回は新作アルバムから女性ジャズ・ヴォーカリストStacey Kentの最新作『The Changing Lights』です。今月になって僕が最も頻繁に聴いているアルバムです。
キュートな歌声の女性ジャズ・ヴォーカリストStacey Kentの紹介は、『Raconte Moi』 (2010年)、『Breakfast On The Morning Tram』 (2007年)に続き3回目です。
最新作『The Changing Lights』はParlophone Franceからのリリースです。元々ブラジル志向の強いStacey Kentでしたが、本作はアルバム全編ブラジリアン・テイストの内容となっています。
本作でも公私のパートナーとなるサックス奏者の夫Jim Tomlinsonがプロデュース&アレンジを手掛け、二人三脚でアルバムを制作しています。
レコーディング・メンバーはStacey Kent(vo、g)、Jim Tomlinson(ts、ss、fl)、 Graham Harvey(p、el-p)、 Jeremy Brown(b)、Roberto Menescal(g)、John Parricelli(g)、Matt Home(ds)、Joshua Morrison(ds)、Raymundo Bittencourt(ganza)です。
スタジオ前作『Raconte Moi』 (2010年)は全曲フランス語ヴォーカルに挑戦したアルバムでしたが、本作では英語、ポルトガル語、フランス語で歌われています。
全13曲中7曲がボサノヴァ等の名曲カヴァー、6曲がオリジナルです。オリジナル曲では『Breakfast On The Morning Tram』 でも作詞を手掛けていたロンドン在住の日系イギリス人作家であるKazuo Ishiguroが3曲で作詞を担当しています。
アルバム全体を貫く、木漏れ日のような柔らかい空気が聴く者に安らぎを与えてくれる1枚です。
『The Changing Lights』 Official Teaser
http://www.youtube.com/watch?v=W0ydJkAujjM
全曲紹介しときやす。
「This Happy Madness」
Antonio Carlos Jobim/Vinicius de Morais作の「Estrada Branca」をカヴァー(英語詞Gene Lees)。僕の一番のお気に入り曲。心が浄化されるオープニングです。しっとりとしたジャズ・バラードの序盤と爽快ボッサ・ジャズへ展開する中盤以降のコントラストがいいですね。Jim Tomlinsonがサックスで盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=eX60Gj2lGH4
本曲について、当ブログではDiana Pantonのカヴァーも紹介済みです。
「The Summer We Crossed Europe In The Rain」
Kazuo Ishiguro/Jim Tomlinson作。柔らかい雰囲気の中にもちょっぴりセンチメンタルな気分に浸りたくなってしまうバラード。John Parricelliが素敵なギター・ソロを聴かせてくれます。
「One Note Samba(Samba De Una Nota So)」
Newton Mendonca/Antonio Carlos Jobim作。お馴染みの名曲を軽快なジャズ・サンバで聴かせてくれます。Staceyの透明感のあるヴォーカルが栄えます。Jim Tomlinsonの爽やかなフルートも盛り上げてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=gZNErPix7gU
本曲について、当ブログではNara Leao、Sergio Mendes & Brasil'66、Trio 3D、Chris Montez、Nico Gomez & His Afro Percussion Inc.のカヴァーも紹介済みです。
「Mais Uma Vez」
Antonio Ladeira/Jim Tomlinson作。Graham Harveyのピアノ導かれ、ポルトガル語で歌われる哀愁モードのバラード。
「Waiter, Oh Waiter」
Kazuo Ishiguro/Jim Tomlinson作。Jobim作品あたりと勘違いしそうなJim Tomlinsonによる軽快なテンポのジャズ・サンバ作品。
「O Barquinho」
Roberto Menescal/Ronaldo Boscoli作の名曲「小舟」をカヴァー。作者Roberto Menescal自身がギターで参加し、アレンジも手掛けています。そのMenescalのギターをバックにStacyがキュートなヴォーカルを聴かせてくれます。Jim Tomlinsonによるムーディーなサックスも盛り上げてくれます。
本曲について、当ブログではElis Reginaの『Elis, Como e Porque(Como & Porque)』、『Elis Regina in London』、『Aquarela Do Brasil』収録の3ヴァージョンやO Quartetoのカヴァーを紹介済みです。
「The Changing Lights」
Kazuo Ishiguro/Jim Tomlinson作。タイトル曲は木漏れ日のような柔らかい雰囲気のボッサ・ジャズ。さり気なさがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=GzVUEYGFsmU
「How Insensitive」
Vinicius De Moraes/Antonio Carlos Jobim作の名曲をカヴァー。Stacy自身がギターを弾くしっとりとサウダージ・モードのボサノヴァに仕上がっています。
本曲について、当ブログではTriste Janero、Duke Pearson、Oscar Peterson、Earl Okinのカヴァーを紹介済みです。
「O Bebado E A Equilibrista/Smile」
Aldir Blanc/Joao Bosco作の「O Bebado E A Equilibrista」とCharles Chaplinの名作映画『モダン・タイムズ』で使われた名曲「Smile」(Charlie Chaplin/Geoff Parsons/John Turner作)のメドレー。「O Bebado E A Equilibrista」は当ブログでも紹介したElis Reginaの感動的な歌声でお馴染みの社会派ソングです。
ここでは「O Bebado E A Equilibrista」はJim Tomlinsonの素敵なソプラノサックスをフィーチャーしたインストで聴かせ、Stacyの歌は「Smile」から登場します。秋空が似合う秋ジャズに仕上がっています。
「Like A Lover」
Dori Caymmi/Nelson Motta/Alan Bergman/Marilyn Bergman作。当ブログではSergio Mendes & Brasil'66のカヴァーも紹介済みの楽曲です。「This Happy Madness」と並ぶ僕のお気に入り。Stacyの優しいヴォーカルが聴く者を包み込んでくれます。
「The Face I Love」
Marcos Valle/Paulo Sergio Valle/Carlos Pingarilho作。当ブログではAstrud Gilberto、The Girls from Bahiaのカヴァーも紹介済みの楽曲です。ここではワルツ調の素敵ななカヴァーで聴かせてくれます。
「A Tarde」
Antonio Ladeira/Jim Tomlinson作。この曲もRoberto Menescalが参加。Menescalのボッサ・ギターをバックに、Stacyが少し寂しげなヴォーカルを聴かせてくれます。
「Chanson Legere」
Bernie Beaupere/Jim Tomlinson作。ラストはフランス語で歌います。フランス語の語感でフィットする落ち着いた雰囲気のボッサ・ジャズで締め括ってくれます。
他のStacey Kent作品もチェックを!
『Close Your Eyes』(1997年)
『Love Is...The Tender Trap』(1998年)
『Let Yourself Go: Celebrating Fred Astaire』(2000年)
『Dreamsville』(2000年)
『In Love Again: The Music of Richard Rodgers 』(2002年)
『The Boy Next Door』(2003年)
Jim Tomlinson Feat. Stacey Kent『The Lyric』(2005年)
『Breakfast On The Morning Tram』 (2007年)
『Raconte Moi』 (2010年)
『Dreamer in Concert』(2011年)