発表年:1974年
ez的ジャンル:Black Jazz系スピリチュアル・ジャズ/ニューソウル
気分は... :終わり良ければすべて良し!
Black Jazz Recordsを代表するアーティストDoug Carnの『Adam's Apple』(1974年)です。
Black Jazz Recordsからリリースされた全20作品のラストを飾ったのが本作『Adam's Apple』です。
1948年フロリダ生まれのジャズ・ピアニストDoug Carnの紹介は、『Revelation』(1973年)に続き2回目となります。
黒人により設立・運営されたジャズ・レーベルBlack Jazz Records。わずか5年程度の活動期間でしたが、その作品群は今日でも大きな輝きを放っています。
そんなBlack Jazz Records作品の大トリを務めたのが、それまで同レーベルから『Infant Eyes』(1971年)、『Spirit of the New Land』(1972年)、『Revelation』(1973年)といった作品をリリースしていたDoug Carnの『Adam's Apple』です。
当時の奥方Jean Carnを伴ったスピリチュアル・ジャズの印象が強い人ですが、本作では男女ヴォーカルをフィーチャーしたニューソウル寄りのサウンドを聴くことができます。ちなみに本作にはJean Carnは不参加です。
レコーディング・メンバーは、Doug Carn(p、el-p、org)、Joyce Greene(vo)、John "Buddy" Conner(vo)、Ronnie Laws(ts、ss)、Thurman Green(tb)、Nathan Page(g)、Calvin Keys(g)、Big Black(per)、Harold Mason(ds)、Darrel Clayborn(el-b)、Gerald Brown(b)です。
プロデュースはGene Russell、Dick Schory。
タイトル曲「Adam's Apple」をはじめ、「Higher Ground」、「Sweet Season」とWayne Shorter、Carole King、Stevie Wonderの有名曲と同タイトルの楽曲が並びますが、これらは同名異曲であり、Doug Carnのオリジナルです。
スピリチュアル・ジャズとニューソウルが融合したスケールの大きなサウンドは、Black Jazz Recordsのフィナーレに相応しいものだと思います。
全曲紹介しときやす。
「Chant」
Big Black/Thurman Green作。ラテン・スピリチュアル・ジャズといった趣のオープニング。男女ヴォーカル入りでニューソウル的な雰囲気もあります。
http://www.youtube.com/watch?v=LK9GnzRYGX4
12拍子のラテン・ソウル・ジャズ“Chant”
「Higher Ground」
Doug Carn作。本作らしい男女ヴォーカル入りジャズ・ファンク・チューン。オルガン・ジャズとしても楽しめます。
http://www.youtube.com/watch?v=pFk8PumdxK8
「Sweet Season」
Doug Carn作。この曲はジャズというよりソウル・チューンと呼ぶ方が相応しいかもしれませんね。Black Jazz流ソウルを満喫しましょう。
http://www.youtube.com/watch?v=HtD28wPPPfc
「Sanctuary」
Wayne Shorter作品をカヴァー。Miles Davis『Bitches Brew』収録曲としてお馴染みですね。ここではミステリアス&スピリチュアルなヴォーカル・チューンで聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=dSw-cwUM8DA
「Mighty Mighty」
Maurice White/Verden White作。Earth,Wind & Fireのヒット曲カヴァー。オリジナルは当ブログでも紹介した『Open Our Eyes』(1974年)に収録されています。本作のハイライトかもしれませんね。EW&Fの人気曲をドライヴ感のある見事なジャズ・サウンドで聴かせてくれる秀逸カヴァーです。そういえば、Doug Carnが初期EW&Fのレコーディングに参加していたのも影響しているセレクトなのでしょうね。
http://www.youtube.com/watch?v=oogxbnFH420
「The Messenger」
Doug Carn作。刺激的な電化ジャズを楽しめるインスト・カヴァー。電脳的グルーヴ感にグッとくるオルガン・インスト・ジャズに仕上がっています。
「Adam's Apple」
Doug Carn作。タイトル曲はファンキーなニューソウルといった雰囲気です。Dougのキーボードの電子的な音色が印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=2TJU2dRPBAs
「To A Wild Rose」
Edward MacDowell/Doug Carn作。Edward MacDowellの有名なピアノ曲「野ばらに寄す」にDoug Carnが歌詞をつけたもの。感動的な男女ヴォーカルによるソウル・チューンとして聴かせてくれます。
「Western Sunrise」
Doug Carn作。スピリチュアル・ジャズ+ニューソウルといった趣の仕上がり。Dougのグルーヴィーなオルガンが駆け巡ります。
http://www.youtube.com/watch?v=1Smwp_ezWPo
Doug Carnの他のBlack Jazz作品もチェックを!
『Infant Eyes』(1971年)
『Spirit of the New Land』(1972年)
『Revelation』(1973年)
他のBlack Jazz Recordsの過去記事もご参照下さい。
Kellee Patterson『Maiden Voyage』(1973年)
Henry Franklin『The Skipper at Home』(1974年)