発表年:1967年
ez的ジャンル:試行錯誤のStones
気分は... :何事もやってみないとねぇ...
久々のThe Rolling Stonesです。
『Black And Blue』(1976年)、『Beggars Banquet』(1968年)、『Sticky Fingers』(1971年)、『December's Children (And Everybody's)』(1965年)に続く5回目の紹介は、1967年に発表された『Between the Buttons』デス。
『Between the Buttons』は、数多いStone作品の中でも話題になることが少なく、地味な存在のアルバムですね。でも、侮るなかれ!Stonesの多様性が垣間見れるなかなかのアルバムだと思いますよ。
ただし、注意しなければならないのが、今回紹介するのはあくまでもUS盤『Between the Buttons』です。本作には以前に書いた初期Stonesの困った問題であるUS盤、UK盤の違いがありマス。特に、本作の場合は両者が同タイトル、同ジャケなので一番ややこしいかもしれませんね。
「Let's Spend the Night Together」、「Ruby Tuesday」というシングルにもなった人気曲が収録されているのがUS盤、それら2曲の代わりに「Backstreet Girl」、「Please Go Home」の2曲を収録しているのがUK盤です。ただし、最近のCDはUS盤がベースになっているようですが。
僕の『Between the Buttons』に対する印象は、『Aftermath』で初めて全曲Jagger/Richardのオリジナルで固めたStonesが、自らのアイデンティティを求めて試行錯誤しているアルバムというカンジでしょうか。
Stonesが自らのスタイルを確立したアルバム『Beggars Banquet』(1968年)までの、本作『Between the Buttons』、『Their Satanic Majesties Request』(1967年)という揺れ動くStonesの姿は、振り返るとなかなか興味深いのではと思いマス。
本作が地味な印象を受ける1つの要因にジャケがあると思いマス。とても英国らしい雰囲気があって好きなのですが、フォーカスの中心がCharlie Wattsですからねぇ(笑)
歴史的な名盤ではないけど、肩肘張らず楽しめる1枚だと思いますよ。
全曲Jagger/Richardのオリジナルです。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Let's Spend the Night Together」
「夜をぶっとばせ」の邦題でもお馴染みのStonesの代表曲。前述の通り、「Ruby Tuesday」との両A面でシングル・カットされまシタ。Jack Nitzscheのピアノが印象的な小気味良いロック・ナンバー。ここではKeith Richardsがベースを弾いていマス。David Bowieがカヴァーしていますね(アルバム『Aladdin Sane』収録)。
当時は歌詞がセックスを連想させるということで批判されたみたいですね。かの有名なエド・サリヴァン・ショーに出演時には歌詞を♪Let's Spend Sometime Together♪と変更していまシタ。
「Yesterday's Papers」
Stonesらしからぬストレンジな浮遊感が印象的なサイケ・ナンバー。Brianがビブラフォン、Nitzscheがハープシコードを演奏していマス。ハマるとクセになる1曲ですね。
「Ruby Tuesday」
「Let's Spend the Night Together」との両A面でシングル・カットされ、全米ポップチャートNo.1に輝いた大ヒット・バラッド。哀愁感たっぷりでいいですね。Brianの虚しく響くリコーダーが印象的ですな。
シーナ&ロケッツ、オリジナル・ラヴ、忌野清志郎、Rod Stewart、Julian Lennonなど数多くのカヴァーがありますね。U2のライブ・レパートリーにもなっていましたね。
「Connection」
実質Keithの単独作品。後のソロ・ツアーのレパートリーに加えているくらいなので、かなりお気に入りの作品なのかもね。確かにライブ向きのノリのいい曲ですな。
「She Smiled Sweetly」
Bob Dylanっぽいフォーク調のバラッド。悲しげなMick Jaggerのボーカルが印象的ですね。密かに人気の1曲なのでは?
「Cool, Calm & Collected」
Beatles『Sgt. Pepper's 〜』を先取りしたような ボードヴィル調の1曲。実際のところ、Nicky Hopkinsによるラグタイム調のピアノはKinksの影響らしいですね(HopkinsはKinks『Face to Face』のレコーディング参加直後だった)。終盤気付くとサイケ調になっているところが好きだなぁ。
「All Sold Out」
『Beggars Banquet』以降のStonesを予感させる気だるいムードが魅力的な1曲。
「My Obsession」
Charlie Wattsのドラムが主役の1曲。単調だけどインパクトがありますな。僕の一発芸のようなものかな(笑)
「Complicated」
個人的には一番好きな曲かも?サイケ・テイストのグルーヴ感がカッチョ良いですな。
「Miss Amanda Jones」
抜けのいいストレートなロック・ナンバー。こうしたスカッとした曲も演らないと、フラストレーションたまるしね!
「Something Happened to Me Yesterday」
Keith初のリード・ボーカル作品。「Cool, Calm & Collected」同様のボードヴィル調ナンバー。全然Keithのイメージと合わないところが面白いですな。エンディングがやけに唐突?
『Beggars Banquet』(1968年)、『Let It Bleed』(1969年)、『Sticky Fingers』(1971年)、『Exile on Main St.』(1972年)といった絶頂期の作品はマストですが、本作あたりも堪能できると一歩進んだStonesファンになれるのでは?
加えて、『Emotional Rescue』(1980年)への再評価が高いのが最近の僕のSronesライフです。