発表年:1992年
ez的ジャンル:内省系シカゴハウス
気分は... :孤高を楽しむ...
僕のとっておきの1枚、Mr. Fingers『Introduction』(1992年)です。
何を隠そう、90年代に僕が最も多く聴いたアルバムは、本作『Introduction』でシタ。
そんなにキャッチーな作品ではないので、自分でも意外といえば意外な気もしますが。
振り返ると、90年代前半の僕は、本作とAlison Limerick『And Still I Rise』(1992年)というオカズ2品あれば、他のオカズは一切なくてもメシ何杯もおかわりできる状態でしたね。
Mr. FingersことLarry Heard(1960年生まれ)は、シカゴハウスのオリジネイターの一人ですね。彼の音楽キャリアのスタートはキーボード奏者。その時の鍵盤さばきから“Mr. Fingers”というニックネームが付けられました。
1983年末にRobert Owensと意気投合したLarry Heardは伝説のユニットFingers Inc.を結成する(後にRon Wilsonを加わり、3人ユニットに)。「Mystery Of Love」、「Washing Machine」、「Can You Feel It?」といったハウス・アンセムをドロップしまシタ。
Fingers Inc.の魅力は、キーボード奏者でもあるLarry Heardが作り出す、浮遊感漂うクールなサウンドに尽きると思いマス。DJ的感覚で制作されたハウスとは明らかに異なる肌触りがありますね。また、そのサウンドとRobert Owensのアシッドなヘタウマ・ボーカルがやけにマッチするんですよねぇ。
Fingers Inc.に興味がある方はアルバム『Another Side』(1988年)をどうぞ!と言いつつ、今では入手がなかなか困難だとは思いますが...
さて、本作『Introduction』はFingers Inc.解散後に発表した、Mr. Fingersとしてのメジャー1stアルバムです。よく『Amnesia』という作品を1stアルバムとして紹介している記事を見ますが、正式なかたちでリリースされたものではないようなので、本作を実質的な1stアルバムと考えてよいと思いマス。
初めて聴いた時には、こんなにジャズ/フュージョン色の強くて、しかも踊るためではなく、聴くためのハウスがあったのか?と驚きましたね。
アルバムに加え、「Closer」、「On A Corner Called Jazz」、「On My Way」、「What About This Love?」という4枚のシングルについても、リミックス・バージョンが欲しくて、全てCDシングルで買い直しまシタ。
それまで12インチ・シングル中心だったハウス・ミュージックも、90年代に入ってからアルバム単位で完成度の高い作品が続々と発表されまシタ。
我が家のCD棚のハウス・コーナーに並ぶ、Robert Owens『Rhythms in Me』(1990年)、Blaze『25 Years Later』(1990年)、Ten City『State Of Mind』(1990年)、Lil' Louis & The World『Journey With The Lonely』(1992年)、Jamie Principle『The Midnite Hour』(1992年)といった作品は、今聴いても素晴らしいものばかり!残念ながら入手困難なものが多いので、本ブログでも紹介しづらいのですが...
クラブとかハウス・ミュージックに無縁な人が、家の部屋で聴いても全然違和感のないアルバムだと思いマス。
オススメ曲を紹介しときやす。
「Closer」
シングルとしてクラブでもヒットしたオープニング曲。ラテン・タッチのミッド・チューンだけど全然陽気じゃない。夜中の薄暗い部屋でマッタリと聴きたいよね。もっとも、クラブ仕様でガッツリ聴きたいという方はSashaやFrankie Foncettによるリミックスをどうぞ!
「On A Corner Called Jazz」
アルバムで一番好きなジャジー・ハウス。Mr. Fingersの真骨頂とも言うべき、フュージョン/クロスオーバー感覚のお洒落な浮遊感がたまりませんね。E-Smoove、James McMillan、The Brand New Heavies等のリミックスもあります。James McMillanのリミックスが一番好きかなぁ。
「On My Way」
哀愁のミッド・チューン。内省的なLarryのボーカル入りのこのナンバーにも当時かなりハマっていましたね。ただし、この曲はアルバム・バージョン以上にリミックス・バージョンの方が秀逸ですね。僕はFrankie Foncettのリミックスが一番好きだったなぁ。Tony Humphriesのリミックスも彼らしい仕上がりで、なかなか楽しめマス。
「Survivor」
アフターアワーズにピッタリの癒し系の1曲。このまま深い眠りにつきたいカンジですね。
「We Can Work It Out」
なかなか心地良いダンサブルなアッパー・チューン。アッパーといっても、この人の場合はあくまでクールです。
「Empty」
「Dead End Alley」
盟友Robert Owens参加の2曲。やっぱり、この二人の組み合わせはサイコーだと思いマス。「Empty」はRobert Owensらしいロンリー・ヴォイスが光る1曲。「Dead End Alley」は一番フツーのハウス・チューンってカンジですな。
「Waves Against The Shore」
「Alright」
ハウスというよりも、クラブ・テイストのフュージョンというカンジの2曲。「Waves Against The Shore」はサウダージ気分になるインスト曲。「Alright」はトロピカルな雰囲気がいいですね。女性コーラスが盛り上げてくれマス。
「What About This Love?」
クールでメロウなミッド・チューン。キーボードとLarryのボーカルのヒンヤリ感がたまりませんなぁ。。シングルにはアッパーなリミックスやMasters at Workによるリミックスも収録されていマス。
「Children At Play」
戯れる子供の声の効果音が微笑ましいインスト・ナンバー。ただし、子供が遊んでいるのは近未来の異空間ってカンジでしょうか?不思議なトリップ感のある曲ですな。
本作に続き発表された『Back To Love』(1994年)もいいですよ。
本作のようなインパクトには欠けるけど、とても聴きやすい仕上がりっす。
さっき、Jamie Principle『The Midnite Hour』(1992年)を久々に聴いたけど、当時よりもよく聴こえたなぁ。こちらもAmazonで扱われるようになったら、紹介しますね。
☆???さん
ありがとうございます。
お名前の欄にコメントを入力してしまったようですね。
Jamie Principle、Robert Owensあたりはハウスらしいヴォーカリストでしたよね。