発表年:1976年
ez的ジャンル:T.K. Records系マイアミ・ソウル
気分は... :ちょいエロ親父のブルージーな世界
今回はブルージーな味わいがグッとくるマイアミ・ソウル作品Latimore『It Ain't Where You Been...It's Where You're Goin'』(1976年)です。
Atlantic R&B Best Collection 1000シリーズ第6弾の中の1枚として、国内初CD化が実現しました。個人的には第6弾発売分の中で最も楽しみにしていた1枚であり、無事手元に置くことができ感無量です。
Latimore(Benjamin Latimore)は1939年テネシー州チャールストン生まれのR&Bシンガー/ピアニスト。
ナッシュビルで活動した後、マイアミに拠点を移します。マイアミでT.K. Recordsの総帥であり、マイアミ・ソウルの親玉であるHenry Stoneの下で、Benny Latimoreの名で数枚のシングルをリリース、さらには本作でもプロデューサーを務めるSteve AlaimoやBard Shapiroと組んだシングルもリリースしています。
1973年にT.K.傘下のGladesレーベルからリリースした「Stormy Monday」(T-Bone Walkerのカヴァー)、「If You Were My Woman」(Gladys Knight & The Pips「If I Were Your Woman」)がR&Bチャートに入ったことで注目を集めます。
1974年にリリースしたシングル「 Let's Straighten It Out」は全米R&Bシングル・チャート第1位、同シングル・チャート31位のヒットとなりました。さらに1975年にリリースしたシングル「Keep The Home Fire Burnin'」も全米R&Bシングル・チャート第5位のヒットとなっています。
Gladesからは『Latimore』(1973年)、『Let's Straighten Out - More, More, More, Latimore』(1974年)、『Latimore III』(1975年)、『It Ain't Where You Been...It's Where You're Goin'』(1976年)、『Dig A Little Deeper』(1978年)、『Getting Down To Brass Tacks』(1980年)といったアルバムをリリースしています。
その後、Malacoに移籍し、『Singing In The Key Of Love』(1982年)、『I'll Do Anything For You』(1983年)、『Good Time Man』(1985年)、『Every Way But Wrong』(1986年)、『Slow Down』(1988年)、『The Only Way Is Up』(1991年)『Catchin' Up』(1993年)といったアルバムをリリースしています。
それ以降の勢力的に活動し、近年もそん健在ぶりを示しています。
僕がLatimoreのアルバムを初めて意識したのは、『Slow Down』(1988年)だったと思います。ただし、音を聴くのではなく、ジャケを目にして「インパクトのあるオッサンやな〜!」という感想を持った程度でした。実際にLatimoreの歌をちゃんと聴いたのは、フリーソウル・ブームの時に聴いた「Jolie」(Al Kooperのカヴァー)だったと思います。
Gladesからの第4弾アルバムとなる本作『It Ain't Where You Been...It's Where You're Goin'』(1976年)は、Latimoreのシブい歌声とマイアミ・ソウルらしいプロダクションが見事にマッチした聴き応え十分の1枚です。
Steve Alaimoがプロデュースし、レコーディングにはLatimore(vo、key)、George "Chocolate" Perry(b)、Ron Peterson(g)、Ron "Tubby" Ziegler(ds)、Richie Puente(per)等が参加しています。
フリーソウル人気曲「Sweet Vibrations」、シングル・ヒットした「Somethin' 'Bout 'Cha」、Millie Jacksonもカヴァーしたバラード「All The Way Lover」、George McCraeのヒット曲カヴァー「I Get Lifted」、T.K.らしいディスコ調の「It Ain't Where You Been」、エロエロ・モード全開の「Let's Do It In Slow Motion」、大人の哀愁バラード「Let Me Go」と充実の全7曲です。
ちょいエロ親父のマイアミ・ソウルをご堪能あれ!
ジャケにグッときた方はぜひゲットを!
全曲紹介しときやす。
「It Ain't Where You Been」
Clarence Reid/Latimore/Steve Alaimo作。Stevie Wonder「Superstition」を少しブルージーな味わいにした雰囲気のファンキー・チューン。ブルージーな中にもディスコなエッセンスが感じられるのがT.K.傘下の作品らしいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=3SfpofKEzTE
「Somethin' 'Bout 'Cha」
Latimore作。シングルとして全米R&Bチャート第8位、同シングル・チャート第37位のヒットとなりました。ビターな中にあるファンキー&メロウな味わいがたまらない1曲。Latimoreの奏でるメロウなエレピの響きもいい感じ!
http://www.youtube.com/watch?v=ZhRSIN32kzI
Reef the Lost Cauze「Thug Fantasy」のサンプリングソースにもなっています。
Reef the Lost Cauze「Thug Fantasy」
http://www.youtube.com/watch?v=TQ3AfAunEEo
「All The Way Lover」
Latimore作。気怠くアーシーな雰囲気がたまらない激シブなバラード。LatimoreのエレピとRon Petersonのギターの絡みがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=FJ9x6gofXeE
Millie Jacksonが1977年にカヴァーしています。また、Brother Ali「Letter From the Government」のサンプリングソースにもなっています。
Millie Jackson「All The Way Lover」
http://www.youtube.com/watch?v=F8HCG_NtqKU
Brother Ali「Letter From the Government」
http://www.youtube.com/watch?v=m59xiuE9fkg
「Sweet Vibrations」
Latimore作。フリーソウルのコンピにも収録されていた官能的なメロウ・チューン。Latimoreらしいヴォーカルを堪能できるビター・スウィートな感じがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=CKXVOywj7T0
J-POP好きの人であれば、UAのカヴァーを聴いたことがある方もいるのでは?また、DMS & The Boneman X「Sweet Vibrations」、Redman「Funkorama (Satrumentalz Remix)」のサンプリングソースとなっています。
Redman「Funkorama (Satrumentalz Remix)」
http://www.youtube.com/watch?v=86srWG32PYI
「Let's Do It In Slow Motion」
Latimore作。ちょいエロ親父(?)モード全開のスロウ。粘度の高いヴォーカルがエロさを増してくれます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=Jo2e82jyTLs
当ブログでも紹介したGang Starr feat. K-Ci & JoJo「Royalty」のサンプリングソースとなっています。
Gang Starr feat. K-Ci & JoJo「Royalty」
http://www.youtube.com/watch?v=hz2DHnEsQpg
「Let Me Go」
Latimore作。ブルージーな大人の哀愁バラード。グラス片手にしながら、真夜中に一人でしんみりと聴きたい雰囲気の曲です。Jay Z「Intro: A Million and One Questions/Rhyme No More」のサンプリングソースになっています。
http://www.youtube.com/watch?v=EiNELVzKo8U
「I Get Lifted」
Harry Wayne Casey/Richard Finch作。George McCrae、1975年のヒット曲をカヴァー。 KC & The Sunshine Bandもレコーディングしていますね。個人的にはKC & The Sunshine Bandのディスコ感満点のヴァージョンが好きですが、テンポを落としたLatimoreヴァージョンも激シブでなかなかいいです。シングルにもなりました。
http://www.youtube.com/watch?v=ri0ZzP5j-98
DSP feat. Pixa「Naplopok Naploja」のサンプリングソースにもなっています。
George McCrae「I Get Lifted」
http://www.youtube.com/watch?v=kBWS3BJSNtQ
KC & The Sunshine Band「I Get Lifted」
http://www.youtube.com/watch?v=NLgHjetRuzo
DSP feat. Pixa「Naplopok Naploja」
http://www.youtube.com/watch?v=HmsJ9lxufkw
「Jolie」収録の『Latimore』(1973年)あたりもCD再発して欲しいですね。
『Let's Straighten Out - More, More, More, Latimore』(1974年)
『Dig A Little Deeper』(1978年)
『Getting Down To Brass Tacks』(1980年)
『The Only Way Is Up』(1991年)
『Catchin' Up』(1993年)