発表年:2014年
ez的ジャンル:クロスオーヴァー・ソウル/Nu Jazz系ブルガリア人女性シンガー
気分は... :Richard Spavenのドラムに注目!
今回は新作の中からクロスオーヴァー・ソウル/Nu Jazz好きを魅了する1枚、Ruth Koleva『Ruth』です。
Ruth Kolevaは1990年ブルガリア、ソフィア生まれの女性シンガー。
ブルガリアの音楽といえば、80年代後半のワールドミュージック・ブームの頃のブルガリアン・ヴォイスをすぐイメージしてしまいます(笑)。CD棚のどこかにあるはずだけど、多分25年以上聴いていないはず・・・
そんな感じなので、当ブログでブルガリア出身のアーティストを取り上げるのは初めてかと思い、ブログ内を検索したらSylvie Vartanを忘れていました(泣)。まぁ、彼女の場合、ブルガリア出身シンガーというよりもフレンチ・ポップ・シンガーというイメージが強いですが・・・
Ruthの話に戻すと、彼女の父親はモスクワ五輪の重量挙げ銅メダリストなのだとか。その父が引退後は重量挙げのトレーナーとして海外で仕事をしていた関係で、幼少期から海外で過ごすことが多く、若くしてグローバルな感覚を有していたようです。音楽面でもUSソウル、ジャズなどから影響を受けたみたいですね。
アメリカで音楽を学んだ後、ブルガリアに戻り、2011年に自主制作盤『Within Whispers』をリリース。さらに2012年に5曲入りEP『Future Sweet』(2012年)をリリースしています。その過程でMark Ronson、Richard Bona、Frank McComb等数多くのミュージシャンが新世代ヴォーカリストとして彼女を称賛しています。
そんなRuth Kolevaが飛躍を目指す最新作が『Ruth』です。
本作で注目すべきはオランダ人プロデューサー/キーボード奏者Vincent Helbersが全面プロデュースし、売れっ子のイギリス人ドラマーRichard Spavenが全曲でドラムを叩いている点です。
この2人といえば、当ブログで紹介したクロスオーヴァー・ユニットSeravinceのメンバーとしてもお馴染みですね。
Vincent HelbersはFlowriders名義でアルバムもリリースしていますし、Richard Spavenは、Mark De Clive-Lowe、4Hero、Jose James、Flying Lotus等の作品へ参加している人気ドラマーです。
当ブログでも紹介したSeravinceのアルバム『Hear To See』(2012年)は、元ZhaneのRenee Neufvilleをはじめとする女性ヴォーカルをフィーチャーしたフューチャー・ソウル/Nu Jazz作品でしたが、そうしたエッセンスが本作にも感じられます。
Ruth Kolevaのキュート・ヴォーカルは北欧ジャジー・ソウルをイメージさせますね。あるいは、彼女のキュート・ヴォーカルとVincent Helbersらが創り出すクロスオーヴァー・サウンドの組み合わせは、先々月に紹介したRodina『Home』あたりに近いかもしれません。
また、Richard Spavenのドラミングのせいか、Robert Glasper Experimentあたりとの共通点を見出すことができます。Robert Glasper Experimentを聴いていると、Chris DaveやMark Colenburgの叩き出すリズムが新感覚サウンドの要になっていることを実感できますが、本作におけるRichard Spavenのドラムにも同じような印象を受けます。
北欧ジャジー・ソウル/ポップ好き、クロスオーヴァー・ソウル/Nu Jazz好きにオススメですし、Robert Glasper Experimentが気になった人が聴いても楽しめると思います。
やはり、最近の僕の嗜好に最もフィットするのは、こういったクロスオーヴァー作品ですかね。
全曲紹介しときやす。
「What Am I Suppose To」
フューチャリスティックなエレクトリック・ソウル。Vincentの近未来的なシンセの音色とRobert Glasper Experimentあたりのグルーヴに通じるSpavenのドラミングをバックに、Ruthがキュートなヴォーカルを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=kmL-l0mKyt0
「Freak And Fly」
僕の一番のお気に入り。この数週間は僕のiPodヘビロテ中です。爽快に疾走するクロスオーヴァー・ソウル。このあたりはSeravince作品ともオーヴァーラップしてきます。
http://www.youtube.com/watch?v=HnzKbTy6rp0
「Turn This Around」
北欧ジャジー・ソウル調の仕上がり。ミステリアスなのにソフトリーな味わいがあるのがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=DyrPxc98nnM
「Falling Back」
哀愁のフューチャー・ソウル。このあたりの哀愁感は東欧のイメージにフィットしますね。
http://www.youtube.com/watch?v=jqh-xC_24tw
「Dissonant」
少しレイジーなメロウネスがたまりません。Spavenの新世代らしいドラミングも全体を引き締めています。
http://www.youtube.com/watch?v=NAo0j6-aUxs
「Clarity」
ドリーミーに疾走するクロスオーヴァー・チューン。Vincent Helbersらしいクロスーヴァー・センスがよく表れた1曲かもしれません。
http://www.youtube.com/watch?v=e-8an4d8fb4
「Better」
ジャジー&メロウなソウル・チューン。穏やかでさり気ない曲ですが、何か捨て難い魅力があります。
http://www.youtube.com/watch?v=bMW6ZG5PZpE
「Gone」
ドラムンベース・シーンで活躍するStamina Mcのラップをフィーチャー。そんな影響もあってSpavenが人力ドラムンベースでリズムを叩き出します。勿論、Ruthのヴォーカルも超キュートでクロスオーヴァー/クラブミュージック好きの人を虜にするはずでです。
http://www.youtube.com/watch?v=SrDBX_qddyI
「Dizzy Love Affair」
フューチャリスティックなボッサ・グルーヴ。ボッサ好きの僕ですが、こういったフューチャリスティック感のあるボッサって、あるようで意外にない気がします。
http://www.youtube.com/watch?v=NIIzdkUqr_s
「Sista Said No」
新世代らしいクロスオーヴァー・ソウル。聴き手を優しく励ますRuthのキュートなヴォーカルが栄えます。ここでもSpavenのドラミングが効いています。
http://www.youtube.com/watch?v=UZ10QJuH3P0
「4AM」
ラストは夜明けのジャジー・ソウルといった雰囲気で締め括ってくれます。じわっとくる感じがいいでうね。
http://www.youtube.com/watch?v=AZHuIBW7KDY
『Future Sweet』(2013年)
ご興味がある方はSeravinceのアルバムもチェックを!
Seravince『Hear To See』(2012年)