発表年:1977年
ez的ジャンル:UKブルーアイド・ソウル
気分は... :「ブラジル対アルゼンチン」を観たいけど・・・
W杯はアルゼンチンとオランダが勝ち残り、準決勝で対決することになりましたね。さすがに準々決勝になると、どのチームも負けない試合に徹していましたね。楽しさには欠けるけど、見応えはあるといった感じでした・・・
ここまで来たら決勝は「ブラジル対アルゼンチン」の南米ライバル対決を観たい気もしますが、ネイマール、チアゴ・シウバを欠くブラジル、ディ・マリアを欠くかもしれないアルゼンチンは厳しそうですね。その意味では、「ドイツ対オランダ」の決勝になると予測しています。
今回はUKのホワイト・ソウル・シンガーJess Rodenが1977年にリリースした『The Player Not the Game』(1977年)です。
Jess Rodenは1947年、英国キッダーミンスター生まれのシンガー/ギタリスト。
1967年にThe Alan Bown Setのシンガーとしてデビューを飾りますが、1868年にはグループを脱退してしまいます。その後結成したBroncoで『Country Home』(1970年)、『Ace of Sunlight』(1971年)という2枚のアルバムをリリースしています。
さらにDoorsの残党John Densmore、Robby Kriegerらが結成したThe Butts Bandのメンバーとして活動していた時期もありました。
その後はRobert Palmerと並ぶIsland Records期待のホワイト・ソウル・シンガーとして、ソロおよびThe Jess Roden Band名義で70年代に多くの作品をリリースしています。80年代半ばには音楽業界から離れてしまいますが、断続的に作品を残しています。
今日紹介する『The Player Not the Game』(1977年)は、Allen Toussaintがプロデュースした1stソロ『Jess Roden』(1974年)以来となる2ndソロ・アルバムです。
その間にThe Jess Roden Bandとして、『Keep Your Hat On』(1976年)、『Play It Dirty, Play It Class』(1976年)、『Blowin'』(1977年)といったアルバムをレコーディングしています。
The Jess Roden Bandを解散させたJessは単独で渡米し、Joel Dornプロデュース、L. Leon Pendarvisアレンジの下にN.Y.で制作されたのが本作『The Player Not the Game』です。
レコーディングには、John Tropea(g)、Jeff Mironov(g)、Shirley Scott(key)、Rob Mounsey(key)、Anthony Jackson(b)、Francisco Centeno(b)、Buddy Williams(ds)、Gary Mure(ds)、Erroll "Crusher" Bennett(per)、Rubens Bassini(per)、David Carey(vib)、Harold Vick(sax)、Scott Hamilton(sax)、Arnold McCuller(back vo)、Benny Diggs(back vo)、Delores Hall(back vo)、Michael Lee Gray(back vo)等のミュージシャンが参加しています。
上記の参加メンバーから想像がつくように、N.Y.の一流セッション・ミュージシャン達のバッキングによる都会的なブルーアイド・ソウル作品に仕上がっています。都会的なメロウ・サウンドに合わせるようにJess Rodenのヴォーカルも抑えてトーンでソフトリーな歌声を聴かせてくれます。
オープニングの「Misty Roses」、ラストを飾る「In Me Tonight」の2曲が本作のハイライトですが、「Sensation」、「Woman Across The Water」あたりもオススメです。
セピアな雰囲気のジャケに惹かれた方はぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Misty Roses」
本作のハイライトその1。USフォーク・シンガーのTim Hardin作品をカヴァー。元ZombiesのColin Blunstoneの1stソロ『One Year』でもカヴァーしていた楽曲です。ここではソフトなメロウ・サウンドとJessのジェントル・ヴォーカルに包まれたハートウォーミングーなカヴァーを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=w4qZmHzFzuc
「Sensation」
Jess Roden BandのメンバーであったSteve WebbとJess Rodenの共作。David Careyのヴァイヴとメロウ・エレピが心地好く響くメロウ・バラード。メロウ・サウンドと少し憂いを帯びたJessのヴォーカルとのバランスが最高です。John Tropeaのギター・ソロにもグッときます。
http://www.youtube.com/watch?v=w4JoPmriphk
「Lonely Avenue」
Doc Pomus作。Ray CharlesのR&Bヒットで知られる楽曲をカヴァー。UK白人ソウル・シンガーとしてのパワフルな歌いっぷりの片りんを垣間見ることができるR&Bテイストの仕上がりです。こういう感じが本来のJess Rodenの姿なのかもしれませんね。
「The Quiet Soun Of You And I」
Bruce Roberts/Edgar Bronfman作。哀愁のメロディを切々と歌い上げるビューティフル・バラード。
「The Hardest Blow」
Jess Roden BandのメンバーであったJohn Cartwrightの作品。胸に込み上げてくる感動的なロック・バラードです。ストリングスとアコギ・サウンドの組み合わせがグッド!Harold Vickのサックスも盛り上げてくれます。
「Drinking Again」
Johnny Mercer/Doris Tauber作のポピュラー・スタンダード。スタンダードを野暮ったくなく、都会的なメロウ・サウンドで聴かせてくれるのがいいですね。
「Woman Across The Water」
Jess Roden作。ブルーアイド・ソウルらしいファンキーな隠し味の効いたメロウ・バラード。一気に爆発しそうな雰囲気ながらも、あくまで抑えたトーンなのが本作らしいのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=qwMiJxtyT7Q
「In Me Tonight」
Jess Roden作。「Misty Roses」と並ぶ本作のハイライト。パーカッシヴ・リズムとメロウ・サウンドをバックに、Jessがはつらつとしたヴォーカルで疾走するグルーヴィーなブルーアイド・ソウル。
https://www.youtube.com/watch?v=rkYg7Cf2Fro
ご興味がある方はJess Rodenの他作品もチェックを!
『Jess Roden』(1974年)
The Jess Roden Band『Play It Dirty, Play It Class』(1976年)
『Stonechaser』(1980年)