発表年:2014年
ez的ジャンル:Brainfeeder系最新形ジャズ
気分は... :最新形ジャズには気鋭のドラマーあり!
今回は新作ジャズ・アルバムから最新形ジャズを聴かせてくれる話題作Taylor McFerrin『Early Riser』です。
Taylor McFerrinは「Don't Worry, Be Happy」の大ヒットでも知られる人気の黒人ジャズ・シンガーBobby McFerrinの子息である男性シンガー/ビートボクサー/DJ/プロデューサー/キーボード奏者/マルチプレイヤー。
2008年に1stEP『Broken Vibes EP』をリリース。2010年にはJose James『Blackmagic』、2011年にはDego『A Wha' Him Deh Pon?』といった話題作に参加し、注目されるようになります。
2011年にはLAビート・ミュージックの牽引者Flying Lotusが主宰するBrainfeederと契約し、本作のプロローグ的なEP『Place In My Heart』をリリース。その後約3年の歳月をかけて創り上げたデビュー・アルバムが本作『Early Riser』です。
Brainfeeder作品らしく、ビートミュージック、Hip-Hop、ネオソウル、エレクトロニカと融合した最新形ジャズ・サウンドを堪能できる1枚に仕上がっています。
ヴォーカリストとしても活動しているTaylorですが、本作では自らの歌は封印し、演奏、トラックメイクに専念しています。その代わり、ヴォーカル曲ではNai Palm(Hiatus Kaiyote)、Emily King、Ryat(Christina Ryat)、実父Bobby McFerrinがヴォーカルを務めています。
それ以外にも、世界で最も注目されている先鋭ジャズ・ピアニストRobert Glasper、Brainfeederのレーベル・メイトである天才ベーシストThundercat、ブラジルの国民的歌手であった故Elis Reginaの公私のパートナーであったCesar Camargo Mariano、新進ジャズ・ドラマーMarcus Gilmore、Taylorを以前から支えるベーシストJason Fraticelliといった気鋭のミュージシャンがレコーディングに参加しています。
特にドラムのMarcus Gilmoreの貢献が大きいですね。"最新形ジャズには気鋭のドラマーあり"というのが最近の傾向ですね。
本作に合わせて、5月にはFlying Lotus、Thundercat等のBrainfeederファミリーと共に来日公演も行いました。
Brainfeeder作品なので、必ずしも聴きやすいアルバムではありませんが、最新形ジャズにご興味がある方はぜひチェックを!
全曲紹介しときやす。
「Postpartum」
Taylor、Marcus Gilmore、Jason Fraticelliが創り出す圧倒的な音世界で惹きつけるオープニング。
http://www.youtube.com/watch?v=5CEocRDSXn8
「Degrees Of Light」
サウンドスケープのような美しさとアブストラクトなエッセンスが交錯するインスト。
http://www.youtube.com/watch?v=Hb_RQFpst_E
「The Antidote」
Hiatus KaiyoteのNai Palmをフィーチャー。ハイブリッドなフューチャー・サウンドが話題となったデビュー・アルバム『Tawk Tomahawk』(2013年)を当ブログでも紹介したHiatus Kaiyote。その紅一点で個性的なヴォーカルを聴かせてくれたNai Palm。ここではNai Palmのミステリアスでコケティッシュなヴォーカルを活かしたポストロック/エレクトロニカ的なサウンドを聴かせてくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=B9EK1YOJYis
「Florasia」
この曲はヴォーカル、演奏すべてをTaylorがこなしています。D'AngeloやJ Dillaなんかが好きな人は気に入るネオソウル的な仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=07fwW1S82_0
「4 AM」
Marcus Gilmoreのドラミングを満喫する小曲。
http://www.youtube.com/watch?v=HnUYkBafXGE
「Stepps」
Taylorの鍵盤とMarcus Gilmoreのドラムが織り成すサウンドスケープ的な演奏です。
http://www.youtube.com/watch?v=t67_he60G_M
「Already There」
Robert Glasper(p)、Thundercat(b)をフィーチャー。さらにTaylor(syn)、Marcus Gilmore(ds)が加わった演奏は、まさに最新形ジャズ!本作のハイライト的なサウンドを堪能できます。 Gilmoreのドラムを中心に4人のプレイヤーの生み出す最新ジャズ・ビームがビンビン伝わってきます。
http://www.youtube.com/watch?v=vY-MZ0bL1Gc
「Decisions」
デビュー・アルバム『East Side Story』(2007年)がグラミーにもノミネートされていた女性シンガー・ソングライターEmily Kingをフィーチャー。彼女はJose James『No Beginning No End』(2013年)にも参加していたし、意外に最新ジャズとの接点があるアーティストですね。ここではBrainfeederらしいアブストラクトなエレクトロ・サウンドで、Emilyの哀愁ヴォーカルを支えます。
http://www.youtube.com/watch?v=MbIFP9fchIg
「Blind Esthetics」
サウンドスケープ的なインタールード。
http://www.youtube.com/watch?v=g_bRWn3aKpo
「Place In My Heart」
Brainfeederのレーベル・メイトでもある女性アーティストRyat(Christina Ryat)をフィーチャー。この曲はアルバムに先駆けてリリースされていたEP『Place In My Heart』にも収録されています。Ryatをコケティッシュなヴォーカルの魅力を活かした北欧クロスオーヴァー・ジャズ的な仕上がりです。
http://www.youtube.com/watch?v=coBm1GyUp58
「Invisible/Visible」
父Bobby McFerrin(vo)とブラジル人ミュージシャンCesar Camargo Mariano(p)という大先輩ミュージシャン2人をフィーチャー。リラックスしたオーセンティックな作品になると思いきや、ミステリアスな雰囲気の最新ジャズを貫いています。
http://www.youtube.com/watch?v=hyGenYmwcTY
「Pls Dnt Lstn」
ラストはTaylor(el-p、syn)、Marcus Gilmore(ds)、Jason Fraticelli(b)によるエキサイティングな演奏で締め括ってくれます。特にGilmoreのドラムとFraticelliのベースがたまりません。
http://www.youtube.com/watch?v=rog5N95gxK8
「My Queen」
国内盤ボーナス・トラック。Vincent Parkerのヴォーカルをフィーチャー。ディープなVincent Parkerのヴォーカルがいい感じです。
CDを購入したら、特典で『Place In My Heart』収録曲である「Awake To Youn」のCDが貰えました。
「Awake To Youn」
http://www.youtube.com/watch?v=N0t_zqHXkRU
本作の流れで本作参加のBrainfeeder所属アーティストの作品をチェックするのも楽しいのでは?
Thundercat『The Golden Age of Apocalypse』(2011年)
Thundercat『Apocalypse』(2013年)
Ryat『Totem』(2012年)