
録音年:1977年
ez的ジャンル:Lee‘Scratch’Perry系ラヴァーズ
気分は... :間口の広いラヴァーズ作品!
今回はレゲエ界の伝説的プロデューサー/エンジニアLee‘Scratch’Perryが手掛けた幻のラヴァーズ作品Candy McKenzie『Lee‘Scratch’Perry Presents Candy McKenzie』(1977年)です。
50年代後半から活躍し、60年代後半からThe Upsettersと活動し、70年代に入ると伝説的スタジオThe Black Arkを拠点に、数々のレゲエ作品を世に送り出したレゲエ史上の重要人物かつダブのオリジネイターの1人であるLee‘Scratch’Perry。
そんなLee‘Scratch’Perryが絶頂期の1977年にプロデュースしたものの、お蔵入りとなっていた幻のアルバムが本作Candy McKenzie『Lee‘Scratch’Perry Presents Candy McKenzie』です。収録曲のうち、「Disco Fits」と「Breakfast In Bed」は12"でリリースされていたようですが、アルバム・リリースとまではいかなかったようです。
2011年にアナログ再発、2012年にCD再発が実現し、この幻のラヴァーズ作品を堪能できるようになりました。
本作の主役であるCandy McKenzieはUK出身の女性シンガー。そのキュートで伸びやかなヴォーカルはレゲエ・ファン以外にもアピールできると思います。
Lee‘Scratch’PerryのThe Black Arkレコーディング作品ということで考えれば、素直すぎて毒が足りない曲が多いのかもしれませんが、裏を返せばそれだけ聴きやすい作品だということなのでは?
なぜお蔵入りになったのかは知りませんが、時代が一回りしてレゲエ・シンガーらしからぬ伸びやかなヴォーカル、The Black Arkレコーディング作品らしからぬ聴きやすさ、という本作の特徴がリスナーから受け入れられやすくなったのかもしれませんね。
レゲエ以外の夏向けメロウ・チューンと一緒に聴いても、さほど違和感がない間口の広いラヴァーズ作品だと思います。
ジャケの雰囲気が気に入った人は、ぜひチェックしてみてください。
全曲紹介しときやす。
「Disco Fits」
Lee Perry作。タイトルの通り、オープニングは脱力系ディスコ・ファンクといったところでしょうか。僕自身はこういう怪しげなジャンルの際のサウンド大好きです!
http://www.youtube.com/watch?v=V571xOpVL-Q
「Someone To Love Me」
Boris Gardener作。ラブリーなラヴァーズ・ロック。Candyの伸びやかでキュートなヴォーカルの魅力がよく引き出された仕上がりだと思います。
http://www.youtube.com/watch?v=13AgcvYQ5u0
「Breakfast In Bed」
Donnie Fritts/Eddie Hinton作。まるでいちごカレーのような(?)The Black ArkのプロダクションとCandyのヴォーカルの組み合わせの妙に納得してしまう極上ラヴァーズ。
http://www.youtube.com/watch?v=hecfFD_D_pU
「Waling In The Sun」
Jeff Barry作。あくまでCandyのヴォーカルありきで、サウンド・プロダクションは控えめなのが逆にいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=IF5pJcuBDNU
「Jah Knows」
Candy McKenzie作。切々とうたうCandyのキュート・ヴォーカルにグッときてしまいます。
http://www.youtube.com/watch?v=eAg16LFWGCI
「Ice Cream」
Lee Perry作。Lee‘Scratch’PerryらしさとCandyの魅力を両立させるという意味では、この曲が際立っているのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=joLF1yxvBx4
「Sky At Night」
Candy McKenzie作。メロウなラヴァーズが聴きたい、ということであれば、この曲はピッタリなのでは?
http://www.youtube.com/watch?v=89TPXk6AoFA
「Keep Him Strong」
Candy McKenzie作。黄昏モードの哀愁のメロディにグッとくる1曲。聴き重ねるたびに好きになっていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=ot0nffv4uaY
「Tell Me A Lie」
Lee Perry/Mikey Backins作。この曲は名曲の雰囲気が漂いますね。Candyのヴォーカルも実に活き活きしています。
http://www.youtube.com/watch?v=adYa6uBWKWU
「When The Big Day」
Candy McKenzie/Lee Perry作。ラストはLee‘Scratch’Perry色を出したサウンドで締め括ってくれます。
http://www.youtube.com/watch?v=U21KnrT7s7w
本作と同時期にThe Black Arkでレコーディングされ、本作の主役であるCandy McKenzieもバック・ヴォーカルで参加しているThe Congos『Heart Of The Congos』(1977年)あたりもチェックしてみては?
The Congos『Heart Of The Congos』(1977年)
