発表年:1971年
ez的ジャンル:偉大なる南アフリカ黒人女性シンガー
気分は... :インビクタス/負けざる者たち!
今回は南アフリカ出身の偉大な黒人女性シンガーMiriam Makebaが1971年にリリースした『Keep Me In Mind』です。
Miriam Makeba(1932-2008年)は南アフリカ、ヨハネスブルグ出身の黒人女性シンガー。"Mama Africa"と呼ばれたアフリカを代表する偉大な女性シンガーです。
南アフリカのジャズ・グループManhattan Brothersのヴォーカルとして活動した後、女性ヴォーカル・グループThe Skylarksを結成します。
1956年には代表曲となる「Pata Pata」をヒットさせ、1959年にはミュージカル『King Kong』に出演、1966年にはMiriam Makeba & Harry Belafonte名義でグラミー賞を受賞し、国際的な名声を高めました。また、数年ですが南アフリカを代表するジャズ・ミュージシャンHugh Masekelaと結婚していた時期もありました。
そんな名声を得たMiriam Makebaでしたが、反アパルトヘイト活動により、1967年に南アフリカを追放されてしまいます。しかし、それに屈することなく、晩年まで偉大なMama Africaとして演奏活動を続けました。
今回紹介する『Keep Me In Mind』(1971年)は今日再評価の高い1枚ですね。
ソロ転向直後のVan Morrisonを手掛けたLewis Merensteinがプロデュースしたファンキー&グルーヴィーなソウル作品に仕上がっています。
グラミー受賞のMiriam Makeba & Harry Belafonte『An Evening with Belafonte/Makeba』(1965年)はフォーキーなエスニック作品でしたが、本作『Keep Me In Mind』はソウルフルなMiriam Makebaを満喫できます。
楽曲の半分は、Van Morrison、Buffalo Springfield、Beatles、CCRといったロック・アーティストのカヴァーなので、入りやすい作品だと思います。
とは言っても、南アフリカのアイデンティティを忘れたわけではなく、程良いバランスでアフリカン・テイストが散りばめられています。
全曲紹介しときやす。
「Lumumba」
A. Makeba作。本作らしいファンキーな味わいを満喫できるソウル・チューンです。迫力のあるMakebaのヴォーカルに圧倒されます。
https://www.youtube.com/watch?v=W0GPm1azbZI
「For What It's Worth」
Buffalo Springfieldのカヴァー(Stephen Stills作)。オリジナルは『Buffalo Springfield』(1966年)に収録されています。ここでは味わい深いソウル・チューンでカヴァーしています。実にコクのある「For What It's Worth」を聴くことができます。
https://www.youtube.com/watch?v=PuHLyiWaOmY
「Brand New Day」
Van Morrison作。オリジナルな名盤『Moondance』(1970年)に収録されています。僕の一番のお気に入りです。アパルトヘイトと戦っていたMakebaが高らかにBrand New Dayを歌い上げるというのは実に感動的です。
https://www.youtube.com/watch?v=JSSJWPkYOdE
「I Shall Sing」
Van Morrison/Vanessa Richards作。引き続きVan Morrison作品。この曲はArt Garfunkelもカヴァーしていました。開放的かつリズミックな仕上がり。どことなくエスニックな香りがします。
https://www.youtube.com/watch?v=xE8TuBObEYc
「Kulala」
Miriam Makeba作。アフリカン・テイストのソウル・チューンですが、過度にエスニック寄りになっていないのがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=9JB1H_kzhCY
「In My Life」
Beatlesの名曲カヴァー( Paul McCartney/John Lennon作)。味わい深くコクのあるソウルフルな「In My Life」は実に感動的です。
「Down on the Corner」
Creedence Clearwater Revival(CCR)のカヴァー(John Fogerty作)。オリジナルは『Willy And The Poor Boys』(1969年)に収録されています。オリジナルの雰囲気を受け継いだ開放的な仕上がり。軽くエスニックなフレイヴァーも効いている感じが本作らしいのでは?
「Ibande」
Miriam Makeba作。この曲もアフリカン・ソウルといった趣ですね。開放的な雰囲気に包まれています。
「Measure the Valley」
Judd Woldin作。凛としたMakebaのソウルフル・ヴォーカルが感動的です。ソウル好きの人も満足する1曲だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=9upayhhnSrU
「Tululu」
Miriam Makeba作。ラストは南アフリカのアイデンティティを感じる1曲で締め括ってくれます。
Miriam Makebaの過去作品もチェックを!
『Miriam Makeba』(1961年)
Miriam Makeba & Harry Belafonte『An Evening With Belafonte/Makeba』(1965年)
『An Evening With Belafonte/Makeba / The Magnificent Miriam Makeba』(1966年)※2in1CD
『Pata Pata』(1967年)
『Sangoma』(1988年)
『Welela』(1989年)