発表年:1974年
ez的ジャンル:フィリーソウル系ブルーアイド・ソウル
気分は... :ありそうでない1枚
今日はAOR的なブルーアイド・ソウルが聴きたい気分☆
ということで、Soul Survivors『Soul Survivors』(1974年)をセレクト。
Soul Survivorsはメキシコ系移民のIngui兄弟を中心に結成され、1966年にデビューしたブルーアイド・ソウル・グループ。数枚のシングルを発表しましたがヒットに恵まれませんでした。そんな彼らに声をかけたのが後のフィリーソウルの大物ソングライター/プロデューサー・チームGamble & Huff(Kenneth Gamble & Leon Huff)。
フィラデルフィアに拠点を移した彼らは、Gamble & Huffのバックのもとシングル「Expressway to Your Heart」を発表し、全米ポップチャート第4位、R&Bチャート第3位の大ヒットとなりまシタ。しかし、その勢いを継続することができず、1969年にはシーンから姿を消してしまいます。
そんな彼らが5年のブランクを経て、1974年にPhiladelphia International傘下のTSOP(The Sound Of Philadelphia)から新作を発表します。それが本作『Soul Survivors』です。プロデュースはGamble & HuffとSoul Survivorsが担当していマス。
新生Soul Survivorsのメンバーは、Charles Ingui(vo)、Richard Ingui(vo)、Neil Larsen(key)、Fred Beckmeier(b)、Steve Beckmeier(g)、Mike Zieglar(g)、John Dzubak(ds)という7人編成です。Ingui兄弟以外は全て新加入のメンバーっす。
特に、目立つのは本ブログでも紹介したLarsen-Feiten Bandやその前身グループFull MoonのメンバーだったNeil Larsenの参加ですかね(Fred BeckmeierもFull Moonのメンバー)。
あとはこれら7人に加えて、フィリーソウルを支えたミュージシャン軍団MFSBからLarry Washington(per)やストリングス隊&ホーン隊が参加しているのも注目ですね。さらにアレンジにはJohn Davis、Bobby Martin、Lenny Pakula とまさにフィリー三昧といったところでしょうか。
中身の方は、フィリーソウル仕込みのブルーアイド・ソウルにFull Moon仕立てのクロスオーバーなスタイリッシュさが加わったというカンジでしょうか。
なかなかあるようでない1枚だと思いマス。
オススメ曲を紹介しときやす。
「What It Takes」
出だしは典型的なフィリーソウルですが、途中からクロスオーバーなカンジが加わってくる、このグループらしい1曲。
「Everything's Changing」
まさに「フィリーソウル+Full Moon仕立てクロスオーバー」といったカンジの超カッチョ良い1曲。軽くラテン・フレイヴァーの効いたメロウ・グルーヴです。Larry WashingtonのパーカッションとNeil Larsenのピアノが印象的ですね。Larsen-Feiten Bandにも通じる1曲ですね。僕のイチオシです!
「City Of Brotherly Love」
シングルにもなったブルーアイド・ソウルらしいミディアム・スロウ。Ingui兄弟のソウルフルなボーカルと、フィリーらしいストリングス&ホーンの絡みがいいカンジですね。タイトル(これはフィラデルフィアの街を意味する)通りのフィリー好きにはたまらん1曲。
「Virgin Girl」
AORファン向けのロマンティックなナンバー。浜辺で夕陽を眺めながら聴くとピッタリな1曲ですな。
「Beedo」
これはブラック・フィリーング溢れるファンキー・グルーヴ。女性コーラスとカッチョ良いギターが盛り上げてくれマス。
「Start All Over」
この曲もフィリーソウルとクロスオーバーがうまく融合していますね。個人的には「Everything's Changing」や本曲のような、フィリーとFull Moonの折衷タイプの曲が一番好きですね。Neil Larsenのキーボードが入るだけで、やけにスタイリッシュに聴こえてしまうのが不思議ですね。
「Over My Head」
「Lover To Me」
ソウル・ファンが喜ぶブルーアイド・ソウル2曲。「Over My Head」はラテン・フレイヴァーのグルーヴ感がいいカンジですね。「Lover To Me」はじっくり聴かせるバラッドです。
「Best Time Was The Last Time」
初期〜中期Steely Danを彷彿させるような1曲。Ingui兄弟のボーカルって、少しDonald Fagenと似ているかもしれませんね。
「Soul To Soul」
フィリーソウル系の曲の中では、ライト感覚ながらもノリのいいこの曲が一番好きですね。
フィリーソウル・ファンも、ブルーアイド・ソウル好きも、AORファンも、フリーソウル・リスナーも楽しめる、案外間口の広い1枚だと思いマス。