2014年09月28日

Bebel Gilberto『Tudo』

コスモポリタンなブラジリアン・シンガー、5年ぶりの新作☆Bebel Gilberto『Tudo』
Tudo!
発表年:2014年
ez的ジャンル:コスモポリタン系ブラジリアン・ミュージック
気分は... :5年待った甲斐があった!

今回はコスモポリタンなブラジル人シンガーBebel Gilberto、待望の新作『Tudo』です。

ブラジル音楽界の巨人Joao GilbertoとMiuchaの娘Bebel Gilbertoについて、これまで4枚のオリジナル・アルバムをすべて紹介済みです。

 『Tanto Tempo』(2000年)
 『Bebel Gilberto』(2004年)
 『Moment』(2007年)
 『All In One』(2009年)

新作『Tudo』は、前作『All In One』(2009年)以来、約5年ぶりのアルバムとなります。そんなにインターバルがあったんですね。

ちなみに前作『All In One』は、年末恒例の『ezが選ぶ2009年の10枚』にセレクトしたほどのお気に入り作品でした。

ブラジル音楽を基盤としつつも、コスモポリタンな感性でコンテンポラリーな音世界を創り出していた『All In One』は、Bebel Gilbertoというアーティストの成長を感じる1枚でした。

Sony Music移籍第一弾アルバムとなる本作『Tudo』は、実にリラックスした印象を受ける1枚であり、円熟味を増したBebelを感じることができる1枚です。

Bebel GilbertoJoao Franklinがエグゼクティブ・プロデューサーとなり、Bebel作品ではお馴染みのMario Caldato, Jr.(Mario C)がメイン・プロデューサーを務めています。また、2曲でKassin/Liminhaがプロデュースしています。

Seu Jorgeがゲスト参加し、レコーディングにはMasa Shimizu(g、sitar、tres)、Joey Altruda(b、g、marimba)、Miguel Atwood-Ferguson(viola、violin、string arr)、John Roggie(p)、Leo Costa(ds、congas、per)、Mauro Refosco(ds、congas、bongos、per、berimbau)、Kassi(b、g、key、programming)、Liminha(b、g)、Cezar Mendes(g)、Gabriel Moura(g)、Andre De Sanatanna(b)、Brazilian GirlsDidi Gutman(p、el-p、org、syn)、Guilherme Monteiro(g)、Danny Frankel(background music)、Pedro Baby(programming、g)、Satch Hoyt(fl)、Stuart Wylen(fl)、Magrus Borges(ds)、Marcos Suzano(programming、shaker、special effects、udu)、Marcel Carmargo(g)、Eddie Ruscharp(programming、effects、syn)といったミュージシャンが参加しています。

今月はJazz The New Chapter(JTNC)強化月間ということでJTNC関連作品を集中的に取り上げていますが、それらのエントリーの中で度々名前が登場するL.A.シーンの重要ミュージシャンMiguel Atwood-Fergusonが本作にも参加しています。JTNCにはブラジル音楽との接点についての言及は少ないですが、こうしたピープルツリーを通じて、その接点を探すのも楽しいのでは?まぁ、本作はJTNCの文脈で聴くような作品ではありませんが・・・

アルバム全体としては、アコースティックな質感を重視し、エレクトロなエッセンスや多彩なパーカッションを上手く隠し味に使うことで、サウンドの深みが増している印象を受けます。そんなサウンドをバックに、Bebelのヴォーカルに全く気負いがないのがいいですね。

5年待った甲斐があったと思える、素敵なBebel Gilbertoに出会えるはずです!

全曲紹介しときやす。

「Somewhere Else」
Bebel Gilberto作。寛いだ雰囲気の開放感が心地好いオープニング。Miguel Atwood-Fergusonの素晴らしいストリングスをバックに、Bebelがリラックスしたヴォーカルを聴かせてくれます。

「Nada Nao」
Bebel Gilberto/Masa Shimizu作。Masa ShimizuはBebel作品ではお馴染みの日本人ギタリスト。クールなアコースティック・グルーヴですが、Leo Costa、Mauro Refoscoによる多彩なパーカッション類がいいアクセントになっています。

「Tom de Voz」
Cezar Mendes/Kito Ribeiro作。Cezar Mendesは前作『All In One』でタイトル曲をBebelと共作したギタリスト。Marisa Monte
TribalistasMarisa MonteCarlinhos Brown、Arnaldo Antunesのユニット)作品にも参加しています。また、Kassin/Liminhaプロデュースの1曲目です。シンプルなフォーキー・チューンに水の効果音やエレクトロなエッセンスで深みをつけるあたりが気鋭のミュージシャンKassinらしいですね。

「Novas Ideias」
Bebel Gilberto/Seu Jorge/Gabriel Moura作。俳優/ミュージシャンとして活躍する人気アーティストSeu Jorgeをフィーチャー。実にキャッチーかつスタイリッシュなメロウ・ボッサ・グルーヴに仕上がっています。共作しているGabriel MouraはFarofa Carioca時代のSeu Jorgeの盟友であり、最近でいえば、当ブログでも取り上げたGilles Petersonのブラジリアン・オールスター・プロジェクトSonzeira『Brasil Bam Bam Bam』Seu Jorgeと共に参加しています。

「Harvest Moon」
Neil Youngのカヴァー。彼のオリジナルは『Harvest Moon』(1992年)に収録されています。2011年に行われたTribute to Neil Young at Carnegie HallでBebelは本曲を歌っており、その流れで本作にも収録されたのでしょう。実に透明感のあるアコースティック・カヴァーに仕上がっています。

「Tudo」
Adriana Calcanhotto/Bebel Gilberto作。タイトル曲は長きに渡り活躍する女性SSW、Adriana Calcanhottoとの共作。Kassin/Liminhaプロデュースの2曲目です。Bebelの円熟味を感じる味わい深い仕上がりです。終盤にはMiguel Atwood-Fergusonがストリングスがドラマティックな演出をしてくれます。

「Saudade Vem Correndo」
Luiz Bonfa/Maria Toledo作。父Joao Gilbertoとも縁が深いLuiz Bonfaの作品をカヴァー。Stan Getz/Luiz Bonfa‎『Jazz Samba Encore!』(1963年) のヴァージョンがお馴染みですかね。コンテンポラリーなアレンジが心地好い軽快なボッサ・カヴァーです。Satch HoytとStuart Wylenのフルートが実に爽快です。ボッサ好きの人にはたまらないはず!
https://www.youtube.com/watch?v=7UvkIhzU4RQ

「Areia」
Pedro Baby/Bebel Gilberto作。Bebel作品ではお馴染みのPedro Babyとの共作。Pedro Babyは、Pepeu GomesとBaby Consueloというブラジルの伝説的グループOs Novos Baianosのメンバー2人を両親に持つミュージシャンです。Mauro Refoscoのビリンバウをはじめ、土着的かつミステリアスな音世界が展開されます。

「Tout Est Bleu」
Andrew Anisere/Allioum Ba/Pascale Hospital作。フランスの男女ユニットAme Strongの1993年シングル曲をカヴァー。クールなダンス・チューンはBebelのイメージにぴったりのカヴァー・セレクトですね。初期のクラブ寄りのBebelがお好きな人にオススメです。効果的なエレピ/シンセは『Moment』での共演も印象的であったBrazilian GirlsのDidi Gutmanです。
https://www.youtube.com/watch?v=YdEf5zV5c_Q

オリジナルのAme Strongヴァージョンもオススメです。
Ame Strong「Tout Est Bleu」
 https://www.youtube.com/watch?v=AommFCk7wnw

「Lonely in My Heart」
Joey Altruda/Bebel Gilberto作。タイトルの通り、ロンリー・モードの哀愁チューンです。Marcos Suzanoによるリズム・アンサンブルにも注目です。

「Vivo Sonhando」
Vinicius de Moraes/Antonio Carlos Jobim作。当ブログではWanda Sa(Wanda De Sah)Diane Denoir/Eduardo Mateoのカヴァーを紹介済みです。Jobim作品を自然体でカヴァーしています。寛いだ雰囲気がいいですね。

「Inspiracao」
Bebel Gilberto/Mario Caldato, Jr./Eddie Ruscharp作。本編のラストは波の効果音と共に始まるエレクトロ色の強いサウンドで締め括ってくれます。ある意味"Mario C"らしい締め括り方かもしれませんね。

「It's All Over Now」
国内盤ボーナス・トラック。Bebel Gilberto作。シンプルな弾き語り曲ですが、胸に込み上げてくる感動的な仕上がりです。輸入盤にするか迷ったのですが、国内盤買って良かった!

Bebel Gilbertoの過去作品もチェックを!。

『Tanto Tempo』(2000年)
タント・テンポ

『Bebel Gilberto』(2004年)
Bebel Gilberto

『Moment』(2007年)
モメント

『All In One』(2009年)
All in One
posted by ez at 03:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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