2014年10月09日

Taylor Eigsti『Daylight at Midnight』

Becca Stevensを大きくフィーチャーした新世代ジャズ・ピアニスト作品☆Taylor Eigsti『Daylight at Midnight』
デイライト・アット・ミッドナイト
発表年:2010年
ez的ジャンル:非ブラック・ミュージック系新世代ジャズ・ピアノ作品
気分は... :美しき進化・・・

今回は新世代ジャズ・ピアニストTaylor Eigsti『Daylight at Midnight』(2010年)です。今月に入って初めてのJazz The New Chapter関連作品です。

Taylor Eigstiは1984年カリフォルニア州メンローパーク生まれのジャズ・ピアニスト。

これまで『Taylor's Dream』(2001年)、『Resonance』(2003年)、『Lucky to Be Me』(2006年)、『Let It Come to You』(2008年)、『Daylight at Midnight』(2010年)といったリーダー作をリリースしています。

また、サイドメンとしてJulian Lage『Sounding Point』(2009年)、Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)、Kendrick Scott『Conviction』(2013年)等の作品にも参加しています。

本作『Daylight at Midnight』(2010年)は、『Jazz The New Chapter』"非ブラック・ミュージックとしてのジャズ"を示した作品として紹介され、再注目されているアルバムです。

レコーディング・メンバーはTaylor Eigsti(p、el-p、mellotron)、Eric Harland(ds、per)、Julian Lage(g)、Harish Raghavan(b)、Becca Stevens(vo、charango、ukulele)。

アルバムの聴きどころは2つ。1つ目はアルバムの約半数を占めるロック/シンガー・ソングライター系アーティストのカヴァーです。あえてブラック・ミュージック系のカヴァーをセレクトしていない点が本作の大きな特徴です。

2つ目はJTNC注目の女性アーティストBecca Stevensが5曲でフィーチャーされている点です。無名であった(今でもメジャーではないですが)Becca Stevensという才能にスポットライトを当てたアルバムと呼べるかもしれません。

他の進化形ジャズ作品のように、ドラムが目立つリズミックな楽曲は少ないですが、新世代ジャズ・ピアニストによる美しき進化を感じさせてくれる1枚です。

これからの季節にもフィットする1枚だと思います。

全曲紹介しときやす。

「Daylight」
オープニングはColdplayのカヴァー(Guy Berryman/Jon Buckland/Will Champion/Chris Martin作)。Coldplayのオリジナルはアルバム『A Rush of Blood to The Head』(2002年)に収録されています。最初はColdplayの曲だとわからないかもしれませんが、しばらくすると「Daylight」らしくなってきます。ジワジワと盛り上がってくる本曲はジャズ向きなのかもしれませんね。Taylorの鍵盤を盛り上げるHarish RaghavanとEric Harlandによるリズム隊の好サポートもいいですね。Coldplayのカヴァーを最初に持ってくるあたりに、本作におけるEigstiのねらいが見えてくるのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=HgjcRWMUkhA

「Magnolia」
Taylor Eigsti/Becca Stevens作。Becca Stevensをフィーチャーした1曲目。ミステリアスな美しさ持つ1曲に仕上がっています。Beccaが静と動のヴォーカルで曲全体の表情を豊かにしてくれます。Julian Lageのギターも気が利いていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=3ktfwLMivUw

「The Art Teacher」
90年代後半から活躍する男性SSW、Rufus Wainwrightのカヴァーです。オリジナルは『Want Two』(2004年)に収録されています。僕の場合、デビュー作『Rufus Wainwright』は所有していますが、それ以降はフォローできていないアーティストです。今回初めてオリジナルを聴きましたが、本作の世界観にフィットした曲だと思います。ここでのTaylorはピアノ+フェンダー・ローズで、この美しいメロディを奏でます。

「The Water」
カナダ人女性SSW、Feistをカヴァー。Apple iPodのCMに登場していた女性SSWと説明するとわかりやすいかもしれませんね。オリジナルは『The Reminder』(2004年)に収録されています。Becca Stevensフィーチャーの2曲目。Beccaの参加を意識したセレクトだと思いますが、BeccaのヴォーカルとTaylorのリリカルなピアノ・タッチの絡みがいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=vM_r0M2VB4I

「Pink Moon」
UKフォークのカルト・ヒーローNick Drakeのカヴァー。オリジナルは『Pink Moon』(1972年)に収録されています。オリジナルと同じく、ギターと鍵盤による音世界をTaylorとJulian Lageが奏でます。オリジナルをご存知の方はグッとくるカヴァーなのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=LD3N3AmUt5I

「Little Bird」
グラミー受賞もあるUK出身のSSW、Imogen Heapをカヴァー。オリジナルは『Ellipse』(2009年)に収録されています。Becca Stevensフィーチャーの3曲目。TaylorのローズとBeccaのヴォーカルが織り成す音世界は、シンプルながらも両者の魅力が際立ちます。進化形ジャズらしい演奏だと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=nsV_TumGUAE

「Secreto」
バルセロナ出身のコンポーザー/ピアニストFederico Mompouの作品をカヴァー。Taylorの美しいピアノ独奏を楽しむ1曲です。

「Chaos」
USオルタナティヴ・ロック・バンドMutemathのカヴァー。オリジナルは『Mutemath』(2006年)に収録されています。Jazz The New Chapter好きの人向けの演奏ですね。Eric Harlandの"人力ドラムンベース"なドラムが炸裂します。

「Between the Bars」
その死後も根強い人気を持つUSシンガー・ソングライターElliott Smithをカヴァー。オリジナルは『Either/Or』(1997年)に収録されています。Becca Stevensフィーチャーの4曲目。このカヴァーはTaylorとBeccaの共演が見事にハマった感じですね。同時にElliott Smithのソングライティングの素晴らしさを再確認できます。進化形ジャズという雰囲気ではありませんが、Becca参加曲ではコレが一番好きかも?『Free Soul〜2010s Urban-Mellow Supreme』でもセレクトされていました。
https://www.youtube.com/watch?v=uU5y9Mocquw

「Speaking Song」
Taylor Eigsti作。アルバムで最も長尺の演奏です。Taylor、Harish、Ericによるトリオ演奏を心行くまで満喫できます。

「Midnight After Noon」
Taylor Eigsti/Becca Stevens作。Becca Stevensフィーチャーの5曲目。Daylightで始まったアルバムの最後はMidnightで締め括ってくれます。Becca Stevens好きの人には、グッとくる1曲であり、Taylorも随所で素敵なピアノタッチを聴かせてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=QAw6kTAs5Fk

Taylor Eigstiの他作品や彼の参加作品もチェックを!

『Resonance』(2003年)
Resonance

『Lucky to Be Me』(2006年)
Lucky to Be Me

『Let It Come to You』(2008年)
Let It Come to You

Julian Lage『Sounding Point』(2009年)
Sounding Point

Gretchen Parlato『The Lost And Found』(2011年)
Lost & Found

Kendrick Scott『Conviction』(2013年)
コンヴィクション
posted by ez at 05:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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