発表年:2014年
ez的ジャンル:カリスマ系R&B/Soulシンガー
気分は... :瞑想するカリスマ・・・
今回は最新R&B/Soulアルバムからカリスマ的存在感を放つ男性アーティストJesse Boykins IIIの2ndアルバム『Love Apparatus』です。
Jesse Boykins IIIは1985年生まれのR&B/Soulシンガー/ソングライター。
シカゴで生まれ、ジャマイカ〜マイアミで育ち、高校卒業後はN.Y.のニュースクール大学に進学し、それ以降ブルックリンを拠点に活動しているようです。
ニュースクール大学で大学の先輩であるBilalと出会い、Bilalから多くのことを学んだようです。また、Bilalを介してRobert Glasperも紹介されたそうです。またもやJazz The New Chapterか?という感じもしますが、今回は少し違うかな(笑)
2008年にデビューEP『Dopamine: My Life On My Back EP』およびデビュー・アルバム『The Beauty Created』をリリースします。それらの作品のジャジー・サウンドやそれまでの経歴から"ネオソウルの新星"として扱われましたが、Jesse本人はそうした位置づけを嫌がっていたようです。
その後はエレクトリック・サウンドのEP『Way Of A Wayfarer』(2011年)をリリースしたり、N.Y.出身のDJ/プロデューサー/ラッパーMelo-Xと共同名義のアルバム『Zulu Guru』をリリースしています。また、US以外も含めて様々なアーティストとコラボしています。
当ブログで紹介した作品でいえば、Various Artists『LTYS-Listen To Your Soul』(2010年)、The Foreign Exchange『Authenticity』(2010年)、Zo!『SunStorm』(2010年)、The Internet『Feel Good』(2013年)でJesse Boykins IIIがフィーチャーされています。特にOdd Futureの注目ユニットThe Internet『Feel Good』(2013年)への参加は記憶に新しいですね。
『The Beauty Created』以来の2ndアルバムとなる本作『Love Apparatus』の話題は、エレクトロの奇才Machinedrum(本名Travis Stewart)が殆どのプロデュースを手掛けている点です。レコーディングの大半は2010年頃までに終えていましたが、Machinedrumが拠点をベルリンに移したことでミックスに時間を要し、リリースまでさらに4年の歳月を要したようです。
アルバムには、Kanye Westがエグゼクティヴ・プロデューサーを務める新作が話題のラッパーTheophilus Londonや、The Foreign ExchangeのPhonteがゲスト参加しています。
ここまで挙げてきたJesse Boykins III、Melo-X、Machinedrum、Theophilus London、Phonteといったアーティストがまとめて紹介されていたコンピが前述の『LTYS-Listen To Your Soul』(2010年)です。
"次世代Hip-Hopをコンパイルした超強力コンピ"として当ブログで紹介したアルバムでしたが、これら次世代アーティストたちの存在感は着実に増していますね。
本作『Love Apparatus』に話を戻すと、Machinedrumの起用でエレクトリック色が強まっていますが、そこにヒューマンな温もりも上手く織り交ぜているのが、「愛」と「装置」を意味するアルバム・タイトルに相応しいですね。
ダウンテンポの曲が多く、ジワジワと変化する音像が印象的です。そこに内省的で繊細なJesseのヴォーカルが加わると、独特の世界が展開されます。多少、アルバムのメリハリに欠ける部分はありますが、ミックスに時間を掛けた美しい音空間に魅了されます。
Jesse Boykins III、今後も要注目のアーティストです。
全曲紹介しときやす。
「Greyscale」
浮遊するエレクトリック・サウンドに、Jesseの憂いを帯びたヴォーカルが溶け込んでいくダウンテンポなオープニング。
「B4 The Night Is Thru」
アルバムのリード曲。メロウ・ブギー調のミディアム・グルーヴ。シンセベースのうえに幾層にもシンセ、ヴォーカルが重なっていく感じがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=4JHZvzeH0lA
「Created Beauty」
ゆったりとエレクトリック・サウンドの中にJesseのヴォーカルが溶け込み、美しい音世界が展開されます。温もりのエレクトリック・ソウルといった感じがいいですね。
「I Wish」
この曲はJesse Boykins III/J.Mostによるプロデュース。生ギター、ピアノも入った美しいサウンドをバックに、Jesseが切なる声で歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=x98tjjcKrPE
「Tell Me」
Theophilus Londonをフィーチャー。MachinedrumによるフューチャリスティックなトラックとJesseのヴォーカル、Theophilus Londonのラップがよく調和しています。
http://www.youtube.com/watch?v=juy6SnANaAY
「Show Me Who You Are」
壮大なエレクトリック・サウンドな中にローズやトランペットの音色で温かみを加えているのが印象的です。
http://www.youtube.com/watch?v=CSeKTygVFWQ
「Live In Me」
ダブステップ調のサウンドがMachinedrumとのコラボらしくていいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=cEJZaggkF4c
「4 U 2 B Free」
巧みな音空間の創りに魅了されるビューティフル・バラード。美しい音世界の中へ吸い込まれそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=eGEN0kvC6pg
「The Wonder Years」
メロウな味わいを重視した1曲。タイプ的には僕好みの仕上がりです。
「Plain」
ハウス調のキャッチーなアッパー・チューン。キャッチーですが、他の曲ほど刺激はないかも?
http://www.youtube.com/watch?v=9AtLOG_1Ojk
「A Matter Of The Heart」
Phonteをフィーチャー。じんわりと広がる美しい音世界をバックに、Phonteが彼らしいフロウを披露してくれます。Jesse Boykins III/Phantom Lover/S.Wyremanによるプロデュース。
「4 Ever No More」
フューチャリスティックでダンサブルなエレクトリック・ソウル。Jesseのセクシー・ヴォーカルが引き出されていて個人的にはかなり好きな1曲。
「Make Believe」
ジャケのような神秘的なムードに包まれた1曲。瞑想の世界へ・・・
「Heavenly Eyes」
ラストはJesse自身のプロデュースによるアンビエントな雰囲気の仕上がり。
http://www.youtube.com/watch?v=2Ce_Nx-ZJ4Y
国内盤には「Molly’s Refuge」、「Our Tonight Is Mine」、「Show Me Who You Are (starRo Remix)」の3曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。日本人プロデューサーstarRoによるリミックスは要チェックです。
1st『The Beauty Created』(2008年)やMeLo-Xとのコラボ作『Zulu Guru』(2012年)もチェックを!
『The Beauty Created』(2008年)
Jesse Boykins III & MeLo-X『Zulu Guru』(2012年)