発表年:2008年
ez的ジャンル:現行MPB系女性SSW
気分は... :蒼の魅力・・・
今回は現行MPBを代表する女性シンガー・ソングライターAdriana Calcanhottoが2008年にリリースした『Mare』です。
Adriana Calcanhottoは1965年、ブラジルリオグランデ・ド・スル州ポルト・アレグレ生まれの女性シンガー・ソングライター。
1990年にデビュー・アルバム『Enguico』をリリースして以降、コンスタントに作品をリリースし続ける現行MPBを代表する女性シンガー・ソングライターです。
『Adriana Partimpim』(2004年)をはじめとするAdriana Partimpim名義で子供向けのアルバムもリリースしています。
今回紹介する『Mare』(2008年)は、印象的なメイクを施したジャケと、Arto Lindsayプロデュースという点で関心を持ったアルバムです。
Arto LindsayとAdriana Calcanhotto本人とプロデュースを務めています。
アルバムにはMarisa Monte、Gilberto Gilという大物2人がゲスト参加しています。
Adriana Calcanhotto(vo、g、ds)、Arto Lindsay(g、ds)以下、Moreno Veloso(vo、g、cello、congas)、Domenico Lancellotti(ds、per)、Kassin(el-p、g)という+2諸作でお馴染みの新世代トリオ、さらにはRodrigo Amarante(key)、De Palmeira(b)、Jorge Helder(b)、Jards Macale(g)、Alberto Continentino(g、b)、Marcelo Costa(pandeiro)、Bidu Cordeiro(tb)、Marlon Sette(tb)といったミュージシャンがレコーディングに参加しています。
派手さはありませんが、ジャケ・イメージのような蒼く、深淵な現行MPBを楽しめます。サウンド面ではMoreno Veloso、Domenico Lancellotti、Kassinの貢献が目立ちます。さり気なさの中に軽くエッジを効かせているのが心憎いですね。
主役であるAdrianaのヴォーカルには、透明感の中にキュートさと凛とした力強さが同居している点に魅力を感じます。
聴き重ねるほどに味わいが増す1枚です。
蒼の魅力に浸ってください。
全曲紹介しときやす。
「Mare」
Moreno Veloso/Adriana Calcanhotto作。タイトル曲はMoreno VelosoとDomenicoがバックを固めています。シンプルながらも先鋭的なサウンドと凛としたAdrianaのヴォーカルでシャキっとした気分になります。
http://www.youtube.com/watch?v=QLq7o3hP050
「Seu Pensamento」
De Palmeira/Adriana Calcanhotto作。ここではMoreno Veloso、Domenico、Kassinが揃い組。作者De Palmeiraも加わり、Adrianaの哀愁ヴォーカルを透明感のあるサウンドで支えます。
http://www.youtube.com/watch?v=HY0yIHpQrxc
「Tres」
Antonio Cicero/Marina Lima作。ここでもMoreno Veloso、Domenico、Kassinが揃い組。さり気ないですが、新世代トリオらしいエレガントかつ先鋭的なサウンドを堪能できます。+2諸作がお好きな人であれば気に入るはず!
http://www.youtube.com/watch?v=VJQ__20pFuI
「Porto Alegre (Nos Bracos De Calipso)」
Pericles Cavalcanti作。Marisa Monteフィーチャー曲。少しノスタルジックな雰囲気の漂う軽快な仕上がり。MarisaとAdrianaの共演曲は実に楽しげです。
http://www.youtube.com/watch?v=zkjAYh3zobI
「Mulher Sem Razao」
Bebel Gilberto/Cazuza/De作。アルバム『Burguesia』に収録された作者の一人Cazuzaのヴァージョンがオリジナルですかね?Adrianaのオリジナルではありませんが、個人的には一番のお気に入り。Adrianaのヴォーカルにグイグイと惹き込まれていきます。
http://www.youtube.com/watch?v=GgIWWP8nrpU
「Teu Nome Mais Secreto」
Waly Salomao/Adriana Calcanhotto作。Jards Macaleの哀愁ヴィオランとMoreno Velosoのチェロが織り成す哀愁サウンドがいいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=8NcJCDR79fc
「Sem Saida」
Augusto De Campos/Cid Campos作。深遠なミステリアス感が印象的です。深く深く潜っていきます(笑)
http://www.youtube.com/watch?v=RKDXwzc7r9Y
「Para La」
Arnaldo Antunes/Adriana Calcanhotto作。Arto Lindsayがノイジーを聴かせてくれる哀愁アヴァンギャルド・チューン。
http://www.youtube.com/watch?v=4RrSs4UEDt4
「Um Dia Desses」
Kassin/Torquato Neto作。本作と同じ年にリリースされたAlexia Bomtempo『Astrolabio』あたりと一緒に聴きたくなるアコースティック・チューン。Adrianaのヴォーカルに寄り添うMoreno Velosoのコーラスがいい感じです。
http://www.youtube.com/watch?v=a256KfKGg-8
「Onde Andaras」
Caetano Veloso/Ferreira Gullar作。Caetanoのオリジナルは『Caetano Veloso』(1968年)に収録されています。また、当ブログではMaria Bethaniaのカヴァーも紹介済みです。本作参加のMarisa Monteもカヴァーしていましたね(コンピ作品『Cafe Brasil』収録)。本カヴァーはさり気ないメロウネスにグッときます。一人マッタリとしながら聴きたいですね。
http://www.youtube.com/watch?v=0wPS_32JSAw
「Sargaco Mar」
Dorival Caymmi作。Gilberto Gilがギターで参加。Gilberto Gilのギターをバックに、Adrianaが寂しげな声でしみじみと歌い上げます。
http://www.youtube.com/watch?v=-Up1CldTsr0
Adriana Calcanhottoの他作品もチェックを!
『Enguico』(1990年)
『Senhas』(1992年)
『A Fabrica do Poema』(1994年)
『Maritmo』(1998年)
『Publico』(2000年)
『Cantada』(2002年)
Adriana Partimpim『Adriana Partimpim』(2004年)
Adriana Partimpim『Partimpim II』(2009年)
『O Microbio do Samba』(2011年)
『Olhos De Onda-Ao Vivo』(2014年)