2014年12月07日

Submotion Orchestra『Alium』

さらに緻密なサウンドの完成度が高まったUKソウル・コレクティブの3rd☆Submotion Orchestra『Alium』
Alium [帯解説・ボーナストラック1曲収録 / 国内盤] (BRC448)
発表年:2014年
ez的ジャンル:UKソウル・コレクティブ/クロスオーヴァー
気分は... :美学を貫く・・・

今回はUKのソウル・コレクティブSubmotion Orchestraの最新3rdアルバム『Alium』です。

実はここ数ヵ月ほど彼らの1stアルバム『Finest Hour』(2011年)をブログで取り上げようと思っていたのですが、タイミングを逸している間に最新作となる本作がリリースされたので、こちらを先に取り上げることにしました。

Submotion Orchestraは、2009年にリーズで結成。リーダーのDom Howardを中心とした教会での生演奏ダブステップ・ライブがグループ結成のきっかけとなりました。

メンバーはRuby Wood(vo)、Simon Beddoe(tp、flh)、Taz Modi(p、key、org)、Chris Hargreaves(b)、Danny Templeman(per)、Tommy Evans(ds)、Dom Howard(producer、engineer)という7名。

これまで『Finest Hour』(2011年)、『Fragments』(2012年)という2枚のアルバムをリリースしています。

生演奏と電子音を巧みに融合させたサウンドに、紅一点Ruby Woodのヴォーカルが絡む独自サウンドは、Gilles PetersonをはじめとするDJからも高い評価を得ています。

The Cinematic OrchestraJames Blake等が引き合いに出され、ダブステップやUKソウルの文脈で説明されることも多い彼らですが、僕自身は熱心なダブステップのリスナーでもないので、あまりダブステップ云々は意識せずに聴いています。

個人的にはUKクラブミュージックにソウル、ジャズを融合させたクロスオーヴァー・ユニットというイメージですね。特に生演奏の比重が高いバンドなのでジャズ視点で聴くのも楽しいと思います。

3rdアルバムとなる本作では、さらに緻密なサウンドが構築されています。立体的な音のメリハリや拡がりを巧みに使い、さらなる高みに到達している印象があります。また、ジャズを強く意識した演奏も多くなり、ジャズ視点で聴く楽しみも増したのでは?

Submotion Orchestraらしい美学で貫かれた素晴らしい作品です。

全曲紹介しときやす。

「Awakening」
重厚なシンセ・サウンドにトランペットが絡むインストでアルバムは幕を開けます。

「Time Will Wait」
Ruby Woodの透明感のあるヴォーカルが人力ベース・ミュージック調のサウンドと絡む美しくも深遠な仕上がり。SMOの静の魅力が詰まっています。
https://www.youtube.com/watch?v=PgORr4ZWT1g

「City Lights」
前曲「Time Will Wait」が静の魅力であれば、本曲はSMOの動の魅力が詰まったダンサブルかつドラマティックな仕上がり。Ruby Woodのクール・ビューティーなヴォーカルとスケール感の大きなステッパー・サウンドがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZeaA7mJZne4

「Victim Of Order」
ダビー&ジャジーな音空間に変則リズムと木霊のようなRubyのヴォーカルが響き渡ります。このグループのジャズ/クロスオーヴァーな側面を堪能できる1曲です。聴き重ねるほどに惹き込まれている1曲ですね。

「Chrome Units」
ダウナーなエレクトリック・サウンドをダビーなエッセンスで引き締めたインスト・チューン。ダイナミックな音空間を楽しめます。

「Rust」
エフェクトのかかったRuby WoodのヴォーカルとTommy Evansのヴォーカルに、生音と電子音を融合させたサウンドでゆったりと流れていく音風景を見事に構築した感動的な仕上がり。お見事!としか形容できません。

「Life After」
美しくも儚いRubyの切ないヴォーカルが際立ちます。薄っすらとしていた音のレイヤーが気づくと重厚なものになっています。

「The Hounds」
ダビー&クロスオーヴァー・ジャズなインスト。SMO的ジャズを楽しめます。

「Trust/Lust」
高揚感に包まれたエレクトリック・ソウル。序盤は淡々としていますが、終盤にかけてエキサイティングに盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Zck3wHWKAvA

「Swan Song」
美しきウインター・ソングといった趣の仕上がり。Ruby Woodの透明感のあるヴォーカルが胸の奥に響きます。
https://www.youtube.com/watch?v=cuOiCPP1NQ0

「Bring Back The Wolf」
生演奏主体のバンドとしての心意気が伝わってくる変拍子を交えたインスト・チューン。ここでもSMO的ジャズを楽しめます。

「Worries」
ラストは心の葛藤、揺らぎを見事にヴォーカル、サウンドで表現した感動曲で本編は締め括られます。

「Forever」
国内盤ボーナス・トラック。本編とは雰囲気を異にするフロア仕様のダンス・チューン。クラブ・ミュージック好きの人は間違いなく気に入るはず!

Submotion Orchestraの他作品もチェックを!

『Finest Hour』(2011年)
ファイネスト・アワー [ボーナス・トラック付き]

『Fragments』(2012年)
フラグメンツ
posted by ez at 00:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 2010年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]


この記事へのトラックバック