発表年:1998年
ez的ジャンル:L.A.チカーノ・ソウル/ロック
気分は... :やはり70年代チカーノ・サウンドがいい!
今回はL.A.のチカーノ・バンドMestizo L.A.の1stアルバム『Mixing It Up』(1998年)です。
Mestizo L.A.は70年代半ばからイーストL.A.で活動しているチカーノ・バンド。今年10年ぶりの新作『After All These Years』をリリースしたことで注目を浴びているグループです。
それ以前に『Mixing It Up』(1998年)、『As Promised』(2004年)といったオリジナル・アルバムをリリースしています。
1983年にリリースされたRuben Guevaraコンパイルのチカーノ・グループのコンピ『Los Angelinos (The Eastside Renaissance)』(1983年)には、本作のオープニングを飾る「What Am I Going To Do?」が収録されています。Ruben Guevaraは70年代にFrank Zappaプロデュースの下、Ruben & The Jets名義でアルバムをリリースしているチカーノ・ロッカーです。
今日紹介する1stアルバム『Mixing It Up』は1998年のリリースですが、先に挙げた「What Am I Going To Do?」をはじめとする4曲は80年代前半にレコーディングされたもののようです。しかしながら、2014年の今聴いてもメロウネスと躍動感を併せ持つラテン・サウンドは実に魅力的です。
本作におけるメンバーは、Albert Balderas(tp)、Roberto Ceja(key、vo)、Tony Fernandez(ds、congas)、Rudy Garcia(b)、Mickey Gonzalez(vo、per)、Steve Lang(as、ts、fl、vo)、Ron Solarzano(g、timbales、vo)、David Vidaurrazaga(g、vo)という8名。
70年代モードのラテン・ソウルとラテン・ロックとラテン・ジャズが絶妙のバランスで融合している感じですかね。
要は、Azteca、Malo、Sapo、Courtial With Errol Knowles、Coke Escovedo、Pete Escovedo、Aposento Alto、Jorge Santanaといった西海岸チカーノ・サウンドがお好きな人は、絶対に気に入ると思います。
正直、1998年から25年位前にタイムスリップしているかのようなチカーノ・サウンドですが、それこそが本作の最大の魅力です。これが1998年仕様のアップデートされすぎたサウンドであれば、僕が本作を購入することは無かったでしょう。
自分の70年代ラテン・ソウル/ラテン・ロック好きを再確認できた1枚です。
楽曲はすべてメンバーのDavid VidaurrazagaもしくはRon Solarzanoのペンによるものです。
全曲紹介しときやす。
「What Am I Going To Do?」
前述のコンピ『Los Angelinos (The Eastside Renaissance)』にも収録されていたグループの魅力が凝縮されたオープニング。MaloやAztecaがお好きな人はグッとくるであろうフリーソウル的な仕上がりです。ラテン・リズムにのった軽快なメロウ・グルーヴは実に心地好いです。ソウルフルなハイトーン・ヴォーカルやキレのあるホーン隊がいい感じです。
https://www.youtube.com/watch?v=65wJZYV4KtE
「Locura En Primavera」
緩急をつけたラテン・リズムと素晴らしいホーン・アンサンブルが楽しめます。インストと思いきや終盤にヴォーカルが入ります。
「Morenita」
チカーノ・バンドらしいホーン・アンサンブルとアタッキングなピアノが格好良いですね。ヴォーカル・パートも70年代ラテン・ソウル/ロックの香りがしていいですね。
「Want Your Love」
メロウなラテン・ソウルは黄昏モードにピッタリです。ソウルフルなリード・ヴォーカルとメロウ・サウンドにウットリです。
https://www.youtube.com/watch?v=YgTOwLZsRCQ
「Un Sueno」
レトロ感のラテン・ソウル。そのレトロ感のあるサウンドが逆にいい味出しています。サックス、トランペットのソロが盛り上げてくれます。
「Lead The Way」
スピーディーに疾走します。70年代チカーノ・サウンドに90年代ならではのエッセンスを薄っすら加味した躍動感がたまりません。
「Dia Azul」
伸びやかなホーン・サウンドを前面に打ち出したインスト・チューン。
「Picture」
この曲は90年代サウンド感が出たチカーノ・ロックに仕上がっています。正直、アルバムの中では少し浮いているかも?
「Don't You Know?」
The Doobie Brothers「Long Train Runnin'」あたりと一緒に聴きたくなる曲ですね。軽快に駆け抜けます。
「Mestizo」
ラストはグループ名を冠した哀愁ラテン・グルーヴで締め括ってくれます。ラテン・サウンドって何故こんなにレトロな雰囲気がマッチするんですかね。
ご興味がある方は2nd『As Promised』(2004年)、3rd『After All These Years』(2014年)もチェックを!
『As Promised』(2004年)
『After All These Years』(2014年)