発表年:1978年
ez的ジャンル:稀代のメロディ・メイカー系MPB
気分は... :ドルフィンズ散る・・・
アメフトのNFLでは我がマイアミ・ドルフィンズが逆転勝利したものの、最終週を待たずプレイオフ消滅が確定してしまいました。勝ち越しているだけに残念ですね。
スケジュールを眺めると、敗れたのは今シーズン好調のチームばかりで対戦相手が厳しいシーズンであった点も否めないですが、プレイオフ進出にはチーム全体の安定感が欠けていたことも事実だと思います。あともう一歩ですね。来シーズンに期待します!
今回はMPBの稀代のメロディ・メイカーIvan LinsによるEMI4部作の1枚、『Nos Dias De Hoje』(1978年)です。
MPBを代表する男性シンガー・ソングライターIvan Linsについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Modo Livre』(1974年)
『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
『Novo Tempo』(1980年)
本作『Nos Dias De Hoje』(1978年)は、『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)、『A Noite』(1979年)、『Novo Tempo』(1980年)と並ぶEMI4部作の1枚であり、その第2弾作品となります。
言うまでもなく、EMI4部作はどれもIvan Linsのキャリアを代表する作品群であり、どのアルバムも惚れ惚れする出来栄えですね。
本作『Nos Dias De Hoje』について、Ivanが警察に逮捕された犯人に扮したジャケからは社会メッセージ性が強調されてしまうかもしれませんが、それ以上に本作で印象的なのはサウンドの巧みさです。
他の4部作と同様、Ivan Lins本人、作詞家Vitor Martins、キーボード奏者Gilson Peranzzettaの3人による強力トライアングルの素晴らしい仕事ぶりを満喫できます。
また、本作ではGilson Peranzzetta(key)を中心に、Fredera(g)、Freddy Barbosa(b)、Joao Cortez(ds)によるバック・バンドModo Livreの存在が強調されています。。
稀代のメロディ・メイカーが素晴らしいバック・バンドを従え、さらにその音世界を昇華させた印象を受ける1枚です。
歌、メロディ、サウンドを三位一体で楽しみたい1枚ですね。その意味では対訳付きの国内盤で入手できるようになったのは有難いですね。
全曲紹介しときやす。
「Cantoria」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「歌声」。抑圧への抵抗を高らかに歌い上げるメッセージ・ソングでアルバムは幕を開けます。Stevie Wonder調のクラヴィネットの響きとピースフルなコーラスも印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=m5xbGPDpN_M
「Guarde Nos Olhos」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「瞳に隠して」。優しさの中に秘めた決意のようなものを感じるヴォーカルと美しいメロディが実にいいですね。さらにMauricio Einhornのハーモニカが味わい深さを増してくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=aSXgALIktWQ
「Bandeira Do Divino」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「神の旗」。神の旗の下での自由、平等を歌います。サウンドは美しく穏やかですが、コーラス・パートが民衆の声のように聴こえ、ジワジワと高揚してきます。
https://www.youtube.com/watch?v=Cj2I8_Cqpz0
「Forro Do Largo」
Ivan Lins/Vitor Martins作。街角の雰囲気を醸し出すGilson Peranzzettaのアコーディオンの音色が印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=FOUD3esfqDw
「Cartomante」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「カード占い師」。Elis Reginaが当ブログでも紹介した『Elis (1977)』で取り上げたことでも知られる楽曲です。これぞIvan Lins!といった美しいメロディと堪能できる名曲ですね。終盤の鍵盤の響きが本作らしいかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=ReCkMiUsL2s
「Quaresma」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「四旬節」。コンテンポラリーなアレンジがいい感じです。邦題にある四旬節について理解が深まるとさらに味わい深く聴けるのでしょうね。
https://www.youtube.com/watch?v=joMzj5aYE34
「A Visita」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「訪れ」。メロウなエレピの音色と少し憂いを帯びたIvanのヴォーカルが印象的です。こういう哀愁メロディのIvanも味わい深いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=ssf1vp0ZLQo
「Temporal」
Ivan Lins/Vitor Martins/Gilson Peranzzetta作。邦題「嵐」。個人的には一番のお気に入り。メロウかつドラマティックなアレンジは、大好きな「Quadras de Roda 」(『Somos Todos Iguais Nesta Noite』収録)あたりと一緒に聴きたくなります。
https://www.youtube.com/watch?v=DGtJEFXSalE
「Esses Garotos」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「少年たち」。Gilson Peranzzettaの雰囲気たっぷりのアコーディオンが活躍します。この曲(「少年たち」)と次曲(「息子たちへ」)をラスト2曲に配しているところに、Ivanの思いが込められている気がします。
https://www.youtube.com/watch?v=oAlLJ18CZQI
「Aos Nossos Filhos」
Ivan Lins/Vitor Martins作。邦題「息子たちへ」。ラストは子供たちに向けたメッセージで締め括ってくれます。美しいメロディと共に、Ivanの思いの丈を歌い上げます。歌詞、メロディ、サウンドが一体化した感動的な曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=Lp__DsVTZPs
Ivan Linsの過去記事やEMI4部作の他作品もチェックを!
『Modo Livre』(1974年)
『Somos Todos Iguais Nesta Noite』(1977年)
『A Noite』(1979年)
『Novo Tempo』(1980年)