発表年:2014年
ez的ジャンル:カリスマ系男性R&B
気分は... :年末の衝撃!
金曜は年忘れで知人と夕方から翌朝まではしご酒、昨日は二日酔い、睡眠不足のままお世話になっている事務所の大掃除の手伝い・・・気持ち悪くて飯も食えない状態で、昨晩から体調最悪です。
そんな感じで、とても記事を書ける体調ではないのですが、今日はこの衝撃の1枚を紹介せずにはいられず、懸命にエントリーします。
ということで、R&Bのカリスマ14年ぶりの新作D'Angelo & The Vanguard『Black Messiah』です。
R&BのカリスマD'Angeloについて、これまで当ブログで紹介したのは以下の3枚。
『Brown Sugar』(1995年)
『Live At The Jazz Cafe, London』(1996年)
『Voodoo』(2000年)
『Voodoo』以来の新作スタジオ作品が遂に出ちゃいましたね!きっと僕に限らず、R&B系の作品を扱っている音楽ブロガーの人たちが挙って本作の記事をエントリーしていることでしょう。
ここ数年の彼の活動から新作の予感はありましたが、正直それほど期待はしていませんでした。仮に新作が出たところで、ファンの期待値が高すぎて、その要求に応えられるようなレベルのものは出てこないだろうなぁ・・・くらいに思っていました。
ところが、そんな思いを裏切るような素晴らしい作品で復活を遂げたD'Angelo。さすがカリスマはやることが違いますな。
『Black Messiah(=黒い救世主)』というタイトル自体がインパクトありますよね。Afropunkが手掛けた民衆パワーを象徴するようなジャケも含め、政治・社会メッセージ色を感じるはずです。D'Angelo自身は"俺自身が黒い救世主という意味ではなく、俺たちみんなが黒い救世主を志すべきだ"と語っているようです。
当初、2015年リリース予定であった本作のリリースが早まったのは、ミズーリ州セントルイス、ファーガソンでの黒人少年射殺事件(2014年8月に警察官が丸腰の黒人少年を射殺)がきっかけとなったようです。
ただし、アルバムには普通のラブソングも収録されており、あまりに政治・社会メッセージ色を強調しすぎるのは、アルバムの内容を歪曲させてしまうかもしれません。個人的にはそれよりもサウンドを重視して本作を聴きたいですね。
D'Angeloの復帰を後押しするため、Q-Tip(元A Tribe Called Quest)、?uestlove(The Roots)、Pino Palladino、Roy Hargroveといった、かつてのThe Soulquariansのメンバーが集っています。
また、George ClintonのP-Funk All Stars一派の女性シンガーKendra Fosterが約2/3の楽曲の作詞をD'Angeloと一緒に手掛けています。
レコーディングにはD'Angelo(vo、p、org、key、syn、g、b、sitar)、Spanky Alford(g)、Isaiah Sharkey(g、sitar)、元The Time(現Original 7ven)のJesse Johnson(g)、Mark Hammond(g)、Pino Palladino(b、sitar)、Ahmir "?uestlove" Thompson(ds)、元Robert Glasper ExperimentのChris Dave(ds)、James Gadson(ds)、Roy Hargrove(tp、cornet、flh、horn arr)、Gina Loring(spoken vo)、Ahrell Lumzy(back vo)、Jermaine Holmes(back vo)、Kendra Foster(back vo)等が参加しており、名義もD'Angelo & The Vanguardとしています。プロデュースはD'Angelo。
また、本作ではヴィンテージ機材を使用し、レコーディングからミキシングに至るまで完全なアナログ手法で制作されています。CDにも関わらず、Side AとSide Bに分けているのも、そうしたアナログ手法へのこだわりの証でしょう。
1曲1曲がよく練られており、聴き込むほどにいろいろな発見があるアルバムだと思います。Side Aの冒頭3曲ではSly & The Family Stone、Parliament/Funkadelic、Prince殿下あたりの影響を感じますが、その後はジャズ・フィーリングを取り入れた曲が印象的です。
派手さはありませんが、その分凄みと貫録を感じます。
進化して戻ってきたD'Angelo恐るべし!
全曲紹介しときやす。
「Ain't That Easy」
D'Angelo/Kendra Foster/Q-Tip作。重く引きずるようなグルーヴ&高揚感と共にD'Angeloの歌声が戻ってきました。Sly & The Family StoneやParliament/Funkadelicあたりの流れも感じられます。
https://www.youtube.com/watch?v=lZoxdPGu_4E
「1000 Deaths」
D'Angelo,/Kendra Foster作。不穏なタイトル、不穏な空気に包まれた本作を象徴する1曲です。煽動的なグルーヴに脳内が刺激されます。映画『The Murder of Fred Hampton』からのネタもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=t2r5yqjlVrI
「The Charade」
D'Angelo/Kendra Foster/?uestlove作。80年代初め頃のPrince殿下あたりの影響も感じられるロッキン・フィーリングの仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=T3CunfPYkME
「Sugah Daddy」
D'Angelo/Kendra Foster/Q-Tip/James Gadson/Pino Palladino作。このイントロはQ-Tipっぽいですね。勝手にQちゃんのラップを妄想してしまいます(笑)。小粋なジャズ・フィーリングを上手く取り入れています。
https://www.youtube.com/watch?v=vo3RAH0zLlU
「Really Love」
D'Angelo/Kendra Foster作。アルバムからの先行シングルとしてリリースされた曲。スパニッシュ・ギターの響きが印象的なジャジー・テイストのラブソング。Curtis Mayfield「We The People Who Are Darker Than Blue」をサンプリング。
https://www.youtube.com/watch?v=mVsQwJfWzoI
ここまでがSide Aです。
アナログ感を出すために、Side Bの前にはレコード盤に針を落とした時のノイズが入っています。
「Back To The Future (Part I)」
D'Angelo作。美しいストリングスと重心の低いグルーヴがジャズ・フィーリングと相俟って独自の音世界を構築しています。
https://www.youtube.com/watch?v=ISCFeQ7963A
「Till It's Done (Tutu)」
D'Angelo/Kendra Foster作。環境問題に言及した曲ですが、曲調自体は哀愁ポップって雰囲気で案外聴きやすいです。
https://www.youtube.com/watch?v=P4MQRMK6YO4
「Prayer」
D'Angelo作。D'Angeloらしいグルーヴ感を楽しめるカリスマらしい1曲。何故かこの曲を聴いていたら、故J Dillaのことを思い出してしまいました・・・彼が本作に参加していないのは実に残念ですね。
https://www.youtube.com/watch?v=pQ6ADCTmaNA
「Betray My Heart」
D'Angelo作。本作の特徴であるジャズ・フィーリングが最も顕著な仕上がり。気負わずさりげない感じが逆にいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=rejA6QRtrAI
「The Door」
D'Angelo/Kendra Foster作。口笛と共に始まるアーシーな味わいの仕上がり。D'Angeloのソウル魂を実感できます。
https://www.youtube.com/watch?v=kQwBKmYj5WI
「Back To The Future (Part II)」
D'Angelo作。Part Iの続きで、セッションを楽しんでいる様子が伝わってきます。
https://www.youtube.com/watch?v=_UHe7pscl-c
「Another Life」
D'Angelo/Kendra Foster作。ラストは美しいバラードで締め括ってくれます。シタールの音色が全体を引き締めてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=MTAnBM0ZdVI
D'Angeloの過去記事もご参照下さい。
『Brown Sugar』(1995年)
『Live At The Jazz Cafe, London』(1996年)
『Voodoo』(2000年)
というのも2年半前に見たエッセンスフェスでは、彼に対する冷たさを観客から感じていたので。
きちんと作品としては進化、ネガティブな意見があまり聞かれてないので
実力が証明されたって感じですかね。
ありがとうございます。
僕も様子見の気分だったのですが、ショップで試聴したら欲しくなって購入してしまいました。
現在のシーンの中で、本作がどう受け入れられるかは不明ですが、この存在感はやはり特別な気がします。
また、The Soulquariansの仲間たちが多く関わっていることも嬉しいですね。