発表年:1979年
ez的ジャンル:Hancock流ディスコ/ファンク
気分は... :トップランナーは賛否両論巻き起こす!
今回はスーパー・ピアニストHerbie Hancockが1979年にリリースした『Feets Don't Fail Me Now』です。
これまで紹介したHancock作品は以下の8枚(録音年順)。
『Inventions And Dimensions』(1963年)
『Empyrean Isles』(1964年)
『Maiden Voyage』(1965年)
『Speak Like A Child』(1968年)
『The Prisoner』(1969年)
『Fat Albert Rotunda』(1969年)
『Thrust』(1974年)
『Sunlight』(1978年)
本作『Feets Don't Fail Me Now』(1979年)は、『Sunlight』(1978年)でヴォコーダー・ヴォーカルを披露し、時代の潮流に合わせたアプローチを示したHancockがヴォコーダー・ヴォーカルと共にディスコ・サウンドを前面に打ち出したアルバムです。
昔も今も賛否が真っ二つに分かれるHancock作品かもしれませんね。大雑把にいえば、正統派ジャズ・リスナーからは否定され、ディスコ/ファンク好きからは支持が高いといった構図なのでは?
Hip-Hopを採り入れた『Future Shock』(1983年)のリリース時もそうでしたが、世間に賛否両論を巻き起こす問題作を提示しながら、ジャズを現在進行形にアップデートするのが、ジャズ界のトップランナーHerbie Hancockのやり方であり、その意味ではディスコにアプローチした本作も実にHancockらしいのでは?
プロデュースはHancock本人とDave Rubinson & Friends Inc.
レコーディングにはHerbie Hancock(key、vo)以下、James Gadson(ds)、Eddie Watkins(b)、Ray Obiedo(g)、Bill Summers(per)、The Waters(Julia Tillman Waters/Maxine Willard Waters/Oren Waters/Luther Waters )(back vo)、Ray Parker, Jr.(g、ds)、Coke Escovedo(timbales)、Sheila Escovedo(congas)、James Levi(ds)、Freddie Washington(b)、Wah Wah Watson(g)、Bennie Maupin(sax)等のミュージシャンが参加しています。
Robert Glasper Experimentのようなジャズの枠を飛び越えた"今ジャズ"が評価される時代だからこそ、その先駆けでジャズの枠に囚われない立ち位置のHancock作品が再評価されるべきだと思います。
全曲紹介しときやす。
「You Bet Your Love」
Herbie Hancock/David Rubinson/Allee Willis/Jeffrey Cohen作。『Sunlight』に収録されていた人気曲「I Thought It Was You」をディスコ調に発展させたようなオープニング。Hancockのヴォコーダー・ヴォーカルとThe Watersのバック・ヴォーカルの掛け合いが実にキャッチーです。華のあるディスコ・ファンクは本作のハイライトでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=EQObvsw84Y4
本曲はThe Groovelines「Got to Dance Disco」、The Phantom's Revenge「French Cheese Funk」、Motor City Drum Ensemble「Send a Prayer Pt.2」でサンプリングされています。
「Trust Me」
Herbie Hancock/David Rubinson/Allee Willis作。メロウ路線がお好きな方には本曲がオススメ。少し切ない哀愁のメロディをヴォコーダー・ヴォーカルで歌い上げるメロウ・フュージョンです。
https://www.youtube.com/watch?v=aljgI-JSqh0
本曲はサンプリング・ソースとしても人気であり。Casual「Later On」、Lord Bean「I Veri Criminali」、Jesse Boykins III「Trust」、Fritz Da Cat feat. Lordz of Vetra「Interludio (Lordz of Vetra)」、Koushik「In a Green Space」、J Doe feat. James Fauntleroy「Don't Need Those」でサンプリングされています。
Casual「Later On」
https://www.youtube.com/watch?v=asfH2R8aojM
Lord Bean「I Veri Criminali」
https://www.youtube.com/watch?v=iz4EdVkBwIo
Jesse Boykins III「Trust」
https://www.youtube.com/watch?v=KTMcFytpPRU
「Ready or Not」
Ray Parker, Jr./Jeffrey Cohen作。80年代ディスコ・ファンク/ブラコンがお好きな人であれば、気に入るであろうダンス・チューン。Zapp「Dance Floor」あたりにも通じるファンク・グルーヴですね。Coke Escovedo、Sheila Escovedo(Sheila E.)によるラテン・フレイヴァーのスパイスも僕好み。Alex Gopher「Super Disco」でサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=JVea516qq6M
「Tell Everybody」
Herbie Hancock/David Rubinson/Bruce Good/Jeffrey Cohen作。ブラジリアン・フレイヴァーも散りばめたファンキー・グルーヴ。Bill Summersの活躍が目立ちます。ここでもThe Watersのバック・ヴォーカルが華やかに盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4MMlQxqeTGw
「Honey From the Jar」
Herbie Hancock/Jeffrey Cohen作。アルバムの中でいいアクセントになっています。少しレイジーなリラックス感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=5-IkxQ6Vyis
「Knee Deep」
Herbie Hancock/Melvin Ragin作。曲名からFunkadelicのP-Funk名曲を連想しますが同名異曲です。この曲だけ演奏メンバーが他曲と異なるせいか、アルバムの中では少し浮いているかも?それでも格好良いファンク・グルーヴにはグッときます。ブレイクもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=LGFSSho8aZg
Herbie Hancock作品の過去記事もご参照下さい。
『Inventions And Dimensions』(1963年)
『Empyrean Isles』(1964年)
『Maiden Voyage』(1965年)
『Speak Like A Child』(1968年)
『The Prisoner』(1969年)
『Fat Albert Rotunda』(1969年)
『Thrust』(1974年)
『Sunlight』(1978年)
ありがとうございます。
Hancock流ヴォコーダー・ディスコいいですよね。
ヴォコーダー大好きの僕にはたまりません!