2015年01月12日

Herbie Hancock『Feets Don't Fail Me Now』

ヴォコーダー・ヴォーカルとディスコ・サウンドを前面に打ち出した1枚☆Herbie Hancock『Feets Don't Fail Me Now』
フィーツ
発表年:1979年
ez的ジャンル:Hancock流ディスコ/ファンク
気分は... :トップランナーは賛否両論巻き起こす!

今回はスーパー・ピアニストHerbie Hancockが1979年にリリースした『Feets Don't Fail Me Now』です。

これまで紹介したHancock作品は以下の8枚(録音年順)。

 『Inventions And Dimensions』(1963年)
 『Empyrean Isles』(1964年)
 『Maiden Voyage』(1965年)
 『Speak Like A Child』(1968年)
 『The Prisoner』(1969年)
 『Fat Albert Rotunda』(1969年)
 『Thrust』(1974年)
 『Sunlight』(1978年)

本作『Feets Don't Fail Me Now』(1979年)は、『Sunlight』(1978年)でヴォコーダー・ヴォーカルを披露し、時代の潮流に合わせたアプローチを示したHancockがヴォコーダー・ヴォーカルと共にディスコ・サウンドを前面に打ち出したアルバムです。

昔も今も賛否が真っ二つに分かれるHancock作品かもしれませんね。大雑把にいえば、正統派ジャズ・リスナーからは否定され、ディスコ/ファンク好きからは支持が高いといった構図なのでは?

Hip-Hopを採り入れた『Future Shock』(1983年)のリリース時もそうでしたが、世間に賛否両論を巻き起こす問題作を提示しながら、ジャズを現在進行形にアップデートするのが、ジャズ界のトップランナーHerbie Hancockのやり方であり、その意味ではディスコにアプローチした本作も実にHancockらしいのでは?

プロデュースはHancock本人とDave Rubinson & Friends Inc.

レコーディングにはHerbie Hancock(key、vo)以下、James Gadson(ds)、Eddie Watkins(b)、Ray Obiedo(g)、Bill Summers(per)、The Waters(Julia Tillman Waters/Maxine Willard Waters/Oren Waters/Luther Waters )(back vo)、Ray Parker, Jr.(g、ds)、Coke Escovedo(timbales)、Sheila Escovedo(congas)、James Levi(ds)、Freddie Washington(b)、Wah Wah Watson(g)、Bennie Maupin(sax)等のミュージシャンが参加しています。

Robert Glasper Experimentのようなジャズの枠を飛び越えた"今ジャズ"が評価される時代だからこそ、その先駆けでジャズの枠に囚われない立ち位置のHancock作品が再評価されるべきだと思います。

全曲紹介しときやす。

「You Bet Your Love」
Herbie Hancock/David Rubinson/Allee Willis/Jeffrey Cohen作。『Sunlight』に収録されていた人気曲「I Thought It Was You」をディスコ調に発展させたようなオープニング。Hancockのヴォコーダー・ヴォーカルとThe Watersのバック・ヴォーカルの掛け合いが実にキャッチーです。華のあるディスコ・ファンクは本作のハイライトでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=EQObvsw84Y4

本曲はThe Groovelines「Got to Dance Disco」、The Phantom's Revenge「French Cheese Funk」、Motor City Drum Ensemble「Send a Prayer Pt.2」でサンプリングされています。

「Trust Me」
Herbie Hancock/David Rubinson/Allee Willis作。メロウ路線がお好きな方には本曲がオススメ。少し切ない哀愁のメロディをヴォコーダー・ヴォーカルで歌い上げるメロウ・フュージョンです。
https://www.youtube.com/watch?v=aljgI-JSqh0

本曲はサンプリング・ソースとしても人気であり。Casual「Later On」、Lord Bean「I Veri Criminali」、Jesse Boykins III「Trust」、Fritz Da Cat feat. Lordz of Vetra「Interludio (Lordz of Vetra)」、Koushik「In a Green Space」、J Doe feat. James Fauntleroy「Don't Need Those」でサンプリングされています。
Casual「Later On」
 https://www.youtube.com/watch?v=asfH2R8aojM
Lord Bean「I Veri Criminali」
 https://www.youtube.com/watch?v=iz4EdVkBwIo
Jesse Boykins III「Trust」
 https://www.youtube.com/watch?v=KTMcFytpPRU

「Ready or Not」
Ray Parker, Jr./Jeffrey Cohen作。80年代ディスコ・ファンク/ブラコンがお好きな人であれば、気に入るであろうダンス・チューン。Zapp「Dance Floor」あたりにも通じるファンク・グルーヴですね。Coke Escovedo、Sheila Escovedo(Sheila E.)によるラテン・フレイヴァーのスパイスも僕好み。Alex Gopher「Super Disco」でサンプリングされています。
https://www.youtube.com/watch?v=JVea516qq6M

「Tell Everybody」
Herbie Hancock/David Rubinson/Bruce Good/Jeffrey Cohen作。ブラジリアン・フレイヴァーも散りばめたファンキー・グルーヴ。Bill Summersの活躍が目立ちます。ここでもThe Watersのバック・ヴォーカルが華やかに盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=4MMlQxqeTGw

「Honey From the Jar」
Herbie Hancock/Jeffrey Cohen作。アルバムの中でいいアクセントになっています。少しレイジーなリラックス感がいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=5-IkxQ6Vyis

「Knee Deep」
Herbie Hancock/Melvin Ragin作。曲名からFunkadelicのP-Funk名曲を連想しますが同名異曲です。この曲だけ演奏メンバーが他曲と異なるせいか、アルバムの中では少し浮いているかも?それでも格好良いファンク・グルーヴにはグッときます。ブレイクもキマっています。
https://www.youtube.com/watch?v=LGFSSho8aZg

Herbie Hancock作品の過去記事もご参照下さい。

『Inventions And Dimensions』(1963年)
Inventions & Dimensions

『Empyrean Isles』(1964年)
エンピリアン・アイルズ+2

『Maiden Voyage』(1965年)
処女航海

『Speak Like A Child』(1968年)
スピーク・ライク・ア・チャイルド

『The Prisoner』(1969年)
ザ・プリズナー

『Fat Albert Rotunda』(1969年)
ファット・アルバート・ロトゥンダ<紙ジャケット仕様>

『Thrust』(1974年)
Thrust

『Sunlight』(1978年)
Sunlight
posted by ez at 00:25| Comment(2) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
City Highのページでコメントした者です。このアルバムは本当に素晴らしいですよね♪
Posted by kei at 2015年01月15日 06:57
☆keiさん

ありがとうございます。

Hancock流ヴォコーダー・ディスコいいですよね。
ヴォコーダー大好きの僕にはたまりません!
Posted by ez at 2015年01月16日 01:56
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