発表年:1977年
ez的ジャンル:レア・グルーヴ系ジャズ・ドラマー
気分は... :戦わずして勝つ!
今回はレア・グルーヴ方面で人気のファンキー・ジャズ・ドラマーLes DeMerleの『Transfusion』(1977年)です。
Les DeMerleは1946年N.Y.ブルックリン生まれのジャズ・ドラマー。ファンキーなドラミングでBuddy Richの後継者と評されたこともあったようです。
Les DeMerle名義で『Spectrum』(1970年)、『Transfusion』(1977年)、『Concerts By The Sea』(1978年)、The Les DeMerle Transfusion名義で『Transcendental Watusi!』(1979年)といったアルバムをリリースしています。
このうち、『Transfusion』、『Concerts By The Sea』、The Les DeMerle Transfusion名義で『Transcendental Watusi!』の3枚は『Rare Groove A to Z』でセレクトされています。『Rare Groove A to Z』で3枚も作品がセレクトされているアーティストは僅かであり、そうした点からもLes DeMerleがレア・グルーヴの人気ドラマーであることを確認できます。
今日紹介する『Transfusion』(1977年)は彼にとって2枚目のソロ・アルバムとなります。
レコーディング・メンバーはLes DeMerle(ds)、Robby Robinson(p、el-p、org、syn)、Rex Robinson(b)、Doug Norwine(sax、fl)、John Phillips(ss、as、fl)、Danny Brin(g)、Onike(vo)。さらにゲストとして、Raul De Souza(b)、John B. Williams, Jr.(b)、Milcho Leviev(p)、Nolan Smith(tp、flh)、Emmett Chapman(electric stick)が参加しています。
Les DeMerleのダイナミックなドラミングが牽引するファンキーな演奏がズラリを並びます。純粋に演奏自体がファンキーな格好良さに溢れているのがいいですね。
ハイライトはファンキー・ブレイクが炸裂する「Moondial」ですが、アフロ・ラテン・モードの「Bacchanal」、ボッサ・フュージョンで疾走する「Kaballa」も僕の超オススメです。
昨年の『Jazz The New Chapter』以降、新進ジャズ・ドラマーが脚光を浴びるようになっていますが、そんな流れでLes DeMerleのドラミングを聴いてみるのも楽しいと思います。
全曲紹介しときやす。
「Moondial」
Robby Robinson作。Les DeMerleのファンキー・ブレイクと共に始まる本作のハイライト。うねるフェンダー・ベース、ファンキーにブロウするホーン隊も暴れまくるご機嫌なジャズ・ファンクです。De La Soul「Stone Age 」、DJ Shadow「Entropy」、Jurassic 5「Lesson 6 (The Lecture)」、Greyboy「Triple X Groove」等のサンプリング・ソースとなっています。
https://www.youtube.com/watch?v=pvMFuR_mmwA
「Canned Heat Suite」
Robby Robinson作。シンセが飛び交うコズミック・サウンドの前半と美しい後半のコントラストが印象的な演奏をDeMerleのドラムが牽引します。
「My Woman」
ゲスト参加のMilcho Leviev作。そのMilchoのピアノと同じくゲストのRaul De Souzaのトロンボーンが印象的な美しい演奏です。ここではDeMerleのドラムも抑え気味です。
「Bacchanal」
Robby Robinson作。僕の一番のお気に入り。Onikeのスキャットも入ったアフロ・ラテン・モードのファンク・チューンです。演奏全体の完成度も高いし、DeMerleのドラムも好調です。特にスピードアップした終盤のテンションはかなり高いです。
https://www.youtube.com/watch?v=ub-lelkv8lA
「Kaballa」
Rick Davis作。この演奏も僕好み。ボッサ・フュージョン・テイストながらも骨太感があります。中盤以降はドラムンベースに似た疾走感を感じます。このあたりが再評価が高い要因なのかも?
https://www.youtube.com/watch?v=kqZjC-KtBzk
「Funk It! If You Can't Take A Joke」
Les DeMerle作。ラストは自作のファンキー・チューンでジャズ・ドラマーらしい演奏を聴かせてくれます。
ご興味がある方はLes DeMerleの他作品もチェックを!
『Spectrum』(1970年)
『Concerts By The Sea』(1978年)
The Les DeMerle Transfusion『Transcendental Watusi!』(1979年)