
発表年:2003年
ez的ジャンル:ジャンル超越系女性ベーシスト/ヴォーカリスト
気分は... :鳥のように自由に・・・
今回はジャンルを超越した音楽性でシーンにインパクトを与えてきた女性アーティストMe'Shell Ndegeocelloの『Comfort Woman』(2003年)です。
Me'Shell Ndegeocello(Meshell Ndegeocello)(本名:Michelle Lynn Johnson)は1968年旧西ドイツ、ベルリン生まれ、ワシントンD.C.育ちのアメリカ人ベーシスト/ヴォーカリスト/ソングライター。アーティスト名の"Ndegeocello"はスワヒリ語で"鳥のように自由に"を意味します。
これまで『Plantation Lullabies』(1993年)、『Peace Beyond Passion』(1996年)、『Bitter』(1999年)、『Cookie: The Anthropological Mixtape』(2002年)、『Comfort Woman』(2003年)、『The Spirit Music Jamia: Dance of the Infidel』(2005年)、『The World Has Made Me the Man of My Dreams』(2007年)、『Devil's Halo』(2009年)、『Weather』(2011年)、『Pour une Ame Souveraine: A Dedication to Nina Simone』(2012年)、『Comet, Come to Me』(2014年)といった作品をリリースしています。
ファンク、R&B、Hip-Hop、ジャズ、ロック、レゲエ/ダブ等ジャンルを超越した多様な音楽性とスピリチュアルな側面が相俟った独自の音世界が魅力の女性アーティストですね。
ファンク/R&B好きの人には『Plantation Lullabies』(1993年)、『Peace Beyond Passion』(1996年)、『Cookie: The Anthropological Mixtape』(2002年)あたりが人気でしょうし、静のNdegeocelloが好きな人は『Bitter』(1999年)、『Weather』(2011年)あたりがお気に入りかもしれません。
あるいはレゲエ/ダブ色の強い『Comfort Woman』(2003年)、ジャズ・ミュージシャンMe'Shell Ndegeocelloを前面に打ち出した『The Spirit Music Jamia: Dance of the Infidel』(2005年)、彼女の持つ多様性がよく反映された最新作『Comet, Come to Me』(2014年)あたりを推す人もいるでしょう。
僕もファンク/R&B系アーティストのイメージが強い人だったのですが、昨年『Jazz The New Chapter』を読んでからは、ジャズ・ミュージシャンとしての彼女にも注目するようになり、同書でセレクトされていた『Comfort Woman』(2003年)、『The Spirit Music Jamia: Dance of the Infidel』(2005年)の2枚をよく聴いています。
特に『Comfort Woman』(2003年)は、今年に入りJulie Dexter『Dexterity』(2002年)とセットでよく聴いています。共にレゲエ/ダブ色が強いR&B/ソウル作品ですが、今年の僕はそういったサウンドを欲しているようです。
レゲエ/ダブ色が強い『Comfort Woman』が『Jazz The New Chapter』でセレクトされたのは、"今ジャズ"の肝である進化形ドラマーの代表格であるChris Dave(元Robert Glasper Experiment)が全曲でドラムを叩いているためです。
前作『Cookie: The Anthropological Mixtape』(2002年)がそれまでのNdegeocello<サウンドの集大成的なアルバムとなったので、一度リフレッシュする意味で、あえて脇道に入りたかったのかもしれませんね。それがレゲエ/ダブ色の強い本作やジャズ・アルバムの次作『The Spirit Music Jamia: Dance of the Infidel』といったアプローチになったのだと思います。
本作のプロデュースはMe'shell NdegeocelloとAllen Cato。レコーディングにはMe'shell Ndegeocello(b、vo、additional instrumentation)、Allen Cato(g、talk box、drum programming)、Oren Bloedow(g)、Doyle Bramhall II(g)、Chris Dave(ds)が参加しています。
多様なMe'Shell Ndegeocello作品の中では脇道的な1枚かもしれませんが、今聴き直すとChris Daveの全面参加も含めてかなり面白い1枚だと思います。
クール&ダビーなサウンドが今の僕にはフィットします。
全曲紹介しときやす。
「Love Song #1」
Me'shell Ndegeocello作。本作らしいレゲエ/ダブ色が前面に出たクールなオープニング。淡々としたレゲエ/ダブ・サウンドが実に心地好いです。
https://www.youtube.com/watch?v=kVU0f6h2Puo
「Come Smoke My Herb」
Me'shell Ndegeocello作。クールな音世界で貫かれています。ジャジー・ソウル好きの人も気に入るのでは?
https://www.youtube.com/watch?v=1T7T9bCcuHs
「Andromeda & the Milky Way」
Me'shell Ndegeocello/Allen Cato作。Chris Daveのドラム目当ての人であれば、本曲の演奏なんかは進化形ドラマーの片鱗を垣間見ることができるのでは?その意味でJTNC好きの人はこのミディアム・グルーヴを気に入ると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=fnwliozCBPs
「Love Song #2」
Me'shell Ndegeocello作。子供の声と共に始まります。クールなドリーミー感はNdegeocelloにしか出せない雰囲気かもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=ktbubASeTZM
「Body」
Me'shell Ndegeocello作。彼女のオルタナな側面を楽しめます。特にギターが80年代ニュー・ウェイヴっぽいところが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=TWMItlj76AU
「Liliquoi Moon」
Me'shell Ndegeocello作。アコースティック・ギターが印象的なアーシーな展開から一転し、終盤はロッキンなギター唸りを上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=R2TAbuwmECI
「Love Song #3」
Me'shell Ndegeocello/Doyle Bramhall II作。Doyle Bramhallのギターとスペイシーなサウンドが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=QYc0eGlMwEQ
「Fellowship」
Me'shell Ndegeocello作。クールな軽快感がいい感じのレゲエ・チューン。レゲエ・クラシックThe Wailers「Get Up, Stand Up」の歌詞が引用されています。
https://www.youtube.com/watch?v=H4BAGpbbgSs
「Good Intentions」
Me'shell Ndegeocello/Chris Dave作。ソングライティングにもChris Daveが参加している注目曲であり、「Andromeda & the Milky Way」と並ぶ僕のお気に入り。レゲエ・ビートをNdegeocelloとChris Daveの感性で独自の音世界に昇華させている感じが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=9W24nlpXoIU
「Thankful」
Me'shell Ndegeocello作。ラストはコズミック&スピリチュアルなNdegeocelloらしい音世界で締め括ってくれます。本作らしいダビーなスパイスも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=YYrouJezF34
Me'Shell Ndegeocelloの他作品もチェックを!
『Plantation Lullabies』(1993年)

『Peace Beyond Passion』(1996年)

『Bitter』(1999年)

『Cookie: The Anthropological Mixtape』(2002年)

『The Spirit Music Jamia: Dance of the Infidel』(2005年)

『The World Has Made Me the Man of My Dreams』(2007年)

『Devil's Halo』(2009年)

『Weather』(2011年)

『Pour une Ame Souveraine: A Dedication to Nina Simone』(2012年)

『Comet, Come to Me』(2014年)

とりあえず「Plantation Lullabies」
から購入してみたいと思います・・・
ありがとうございます。
ジャンルの枠に囚われないのが彼女の魅力です。
その意味で作品毎に個性があるので、それを楽しむといいと思います。