発表年:1982年
ez的ジャンル:奇跡のジャズ・ピアニスト
気分は... :偶然を味方にする・・・
今日は"フランス最高のジャズ・ピアニスト"と評されたMichel Petruccianiの『Estate』(1982年)です。
"奇跡のジャズ・ピアニスト"Michel Petrucciani(1962-1999年)の紹介は、代表作『Michel Petrucciani』(1981年)に続き2回目となります。
先天的な骨形成不全症(グラス・ボーン病)という障害を背負って生まれ、身長は1mに満たず普通に歩くことさえ苦労しながら、一度ピアノの前に座ると、信じられない音を奏でたフランス最高のジャズ・ピアニストMichel Petrucciani。
生まれた時から20歳位までの命と告げられ、明日をも知れぬ命の中で演奏してきた彼のピアノの響きには、聴く者の心を揺さぶる特別な何かが宿っていますね。
The Michel Petrucciani Trio名義でリリースされた本作『Estate』(1982年)
レコーディングはMichel Petrucciani(p)、Furio Di Castri(b)、(ds)という編成によりローマで行われました。イタリア系フランス人であるPetruccianiにとって、ローマでのレコーディングは何か特別な意味があったのかもしれませんね。
アルバムにはイタリア人映画監督Pier Paolo Pasoliniに捧げた「Pasolini」、イタリア人ピアニスト/コンポーザーBruno Martinoによる名曲「Estate」など、ローマ録音の影響を感じる楽曲が収録されています。
その一方で、「Tone Poem」、「Samba Des Prophetes」のような夏を感じる演奏が収められているのも本作の特徴です。
勿論、随所で彼ならではの美しく感動的なピアノ・タッチを堪能できます。
Petruccianiの様々な側面に触れることができる興味深く、感動的な1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Pasolini」
Aldo Romano作。前述のように、イタリア人映画監督Pier Paolo Pasolini(1922-75年)に捧げられた楽曲です。美しいメロディとPetruccianiの一音一音に思いの詰まった感動的なピアノ・タッチに聴き惚れます。このオープニングだけでも本作を購入する価値があると思います。
https://www.youtube.com/watch?v=bvhGnZLTSqU
「Very Early」
Bill Evans作。『Moon Beams』(1962年)等のアルバムでEvansの演奏を聴くことができます。Petruccianiが敬愛するEvansの曲を取り上げるのは自然な流れですね。ただし、Evansのような繊細なタッチというより、活き活きとしたタッチで弾くところがPetruccianiならではですね。
https://www.youtube.com/watch?v=MRoQpTvwV-c
「Estate」
タイトル曲は前述のようにイタリア人ピアニスト/コンポーザーBruno Martinoの名曲です。Joao Gilbertoのカヴァーが有名ですね。過ぎ去りし夏を懐かしむかのような憂いを帯びた演奏がいいですね。Petruccianiの美学を感じる演奏です。
https://www.youtube.com/watch?v=ni95fQXMFLM
「Maybe Yes」
Michel Petrucciani作。Romanoのドラム・ソロに続き、Petruccianiがハイテンションで弾きまくります。彼の持つ瞬発的なエナジーを堪能できます。
「I Just Say Hello」
Michel Petrucciani作。Petruccianiのダンディズムのようなものを感じる哀愁バラード。気分は『探偵はBARにいる』・・・
「Tone Poem」
Petruccianiの才能を見出したジャズ・ミュージシャンCharles Lloydの作品。ジャケ・イメージがフィットする夏らしさを感じる爽快な演奏です。Petruccianiの端正なピアノが夏モードの演奏とフィットしています。夏ジャズをお探しの方にオススメです。
「Samba Des Prophetes」
Aldo Romano/Claude Nougaro作。ラストはタイトルの通り、高速ジャズ・サンバで疾走します。きっとこの演奏はクラブジャズ好き、ブラジリアン・グルーヴ好きの人も気に入るはず!
『Michel Petrucciani』(1981年)
Lee Konitz & Michel Petrucciani『Toot Sweet』(1982年)
『Oracle's Destiny』(1983年)
『100 Hearts』(1984年)
The Michel Petrucciani Trio『Live at the Village Vanguard』(1984年)
『Note'n Notes』(1984年)
『Cold Blues』(1985年)
The Michel Petrucciani Trio『Pianism』(1986年)
Michel Petrucciani Featuring Jim Hall & Wayne Shorter『Power of Three』(1987年)
『Michel Plays Petrucciani』(1988年)
『Music』(1989年)
『Playground』(1991年)
Michel Petrucciani & Tony Petrucciani『Conversation』(1992年)
『Promenade With Duke』(1993年)
『Marvellous』(1994年)
Eddy Louiss & Michel Petrucciani『Conference de Presse』(1994年)
『Live』(1994年)
『Au Theatre Des Champs Elysees』(1995年)
Eddy Louiss & Michel Petrucciani『Conference de Presse, Vol. 2』(1995年)
『Both Worlds』(1997年)
『Solo Live』(1998年)
『Concerts Inedits』(1999年)
Michel Petrucciani, Steve Gadd & Anthony Jackson『Trio in Tokyo』(1999年)