発表年:1964年
ez的ジャンル:ブルージー&ボッサ系ジャズ・ヴァイヴ
気分は... :モラトリアム!
今回はジャズ・ヴァイヴのパイオニアMilt Jacksonの『Jazz 'N' Samba』(1964年)です。
Modern Jazz Quartet(MJQ)のメンバーとしても活躍したヴァイヴ奏者Milt Jackson(1923-1999年)の紹介は、『Sunflower』(1972年)、Wes Montgomeryとの共演作Milt Jackson & Wes Montgomery『Bags Meets Wes』(1961年)に続き3回目となります。
Impulse!からリリースされた本作『Jazz 'N' Samba』(1964年)は、タイトルの通りボッサ・ジャズが魅力の1枚です。ただし、全面ボッサ・ジャズという訳ではなく、オリジナルLPのA面はブルージーなジャズ、、B面はボッサ・ジャズという構成です。この1枚で2度美味しい感じも本作の魅力です。
レコーディング・メンバーは、Milt Jackson(vibe)、Jimmy Heath(ts)、Tommy Flanagan(p)、Richard Davis(b)、Connie Kay(ds)、Barry Galbraith(g)、Howard Collins(g)、Joe E. Ross(vo)、Lillian Clark(vo)です。
ボッサ・ジャズなB面では「Jazz 'n' Samba」が有名ですが、個人的には「I Love You」、「Kiss & Run」、「Jazz Bossa Nova」の3曲がオススメです。また、A面の「Big George」、「Blues For Juanita」も僕のお気に入りです。
普段ジャズを聴かない人でも、バグスのヴァイヴのダンディな魅力を実感できる聴きやすい1枚です。
全曲紹介しときやす。
「Blues For Juanita」
Milt Jackson作。ブルージーなオープニング。バグスのヴァイヴとJimmy Heathのテナーをはじめ、演奏全体の落ち着きがシブくていいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=UboCIegyBeE
「I Got It Bad And That Ain't Good」
Paul Francis Webster/Duke Ellington作。Duke Ellington作のジャズ・スタンダードをカヴァー。当ブログではDonald Byrdのカヴァーも紹介済みです。バグスのリリカルなプレイを堪能できるバラードに仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=b7GlRabE0tc
「Big George」
Milt Jackson作。小粋なスウィンギー感が僕のお気に入り。バグスのヴァイヴの軽やかな響きに加え、Tommy Flanaganのピアノもいい感じです。
「Gingerbread Boy」
Jimmy Heath作。当ブログでも紹介したMiles Davis『Miles Smiles』での演奏が有名な曲ですね。当ブログではDonald Byrdのカヴァーも紹介済みです。ここでは小気味良い演奏が印象的です。
ここまでがLPのA面です。
「Jazz 'n' Samba」
ここからがLPのB面のボッサ・ジャズ・パートです。1曲目はAntonio Carlos Jobim/Vinicius de Moraes作。お馴染みのボサノヴァ名曲「So Danco Samba」をカヴァー。Lillian Clarkの女性ヴォーカルをフィーチャー。少しレイジーなヴォーカルとギターが醸し出すボッサ・サウンドに、バグスのメロウ・ヴァイヴの響きがよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=svQL1DmXwCQ
本曲に関して、当ブログではSergio Mendes & Brasil'66、Wanda Sa(Wanda De Sah)、Tamba Trio、Roberto Menescal、Gimmicks、Jazzlife Sextet、Stan Getz & Luiz Bonfaのカヴァーを紹介済みです。
「The OO-OO Bossa Noova」
Manny Albam作。Joe E. Rossの掛け声がユーモラスなボッサ・ジャズ。この掛け声も一応ヴォーカルということになるんですかね(笑)。
https://www.youtube.com/watch?v=OmgT5ylvDkw
「I Love You」
Cole Porter作。オリジナルは1944年のミュージカル『Mexican Hayride』挿入歌。当ブログではAnita O'Dayのカヴァーも紹介済みです。ロマンチックなボッサ・サウンドにのって、バグスのヴァイヴが全面フィーチャーされています。
「Kiss & Run」
Jack Ledru/Rene Denoncin/William Engvick作。再びLillian Clarkをフィーチャー。全体のバランスという点では、このメロウ・ボッサが僕の一番のお気に入り。
「Jazz Bossa Nova」
Milt Jackson作。ラストはバグスならではのリズミック&ブルージーなボッサ・グルーヴで締め括ってくれます。
60年代半ば〜後半のMilt Jackson作品もチェックを!
『Vibrations』(1964年)
『In a New Setting』(1965年)
『Born Free』(1967年)
『Milt Jackson and The Hip String Quartet』(1968年)
Milt Jackson with the Ray Brown Big Band『Memphis Jackson』(1969年)
Milt Jacksonの過去記事もご参照下さい。
Milt Jackson & Wes Montgomery『Bags Meets Wes』(1961年)
『Sunflower』(1972年)