発表年:1974年
ez的ジャンル:ジャズ×ソウル/ファンク×AOR
気分は... :ブルドック!
今回は"Dr.Jazz"Ben Sidranの人気作『Don't Let Go』(1974年)です。
これまで当ブログで紹介したBen Sidran作品は以下の3枚。
『Feel Your Groove』(1971年)
『A Little Kiss In The Night』(1978年)
『The Cat And The Hat』(1980年)
本作は『I Lead a Life』(1972年)、『Puttin' in Time on Planet Earth』(1973年)と続いたBlue Thumbでのラスト作となるアルバムであり、ジャズとソウル/ファンク、さらにはAOR的なエッセンスを取り込んだドクター・ジャズらしいクロスオーヴァーなサウンドを楽しめる1枚です。
フリーソウル人気曲「Hey Hey Baby」が収録されていることで再評価の高いアルバムですね。僕も「Hey Hey Baby」の虜になった一人です。もっとも僕の場合、当ブログでも紹介したMC Solaar「Victime De La Mode」(1991年)にリアルタイムでハマり、そこからサンプリングソースの「Hey Hey Baby」もお気に入りになったパターンです。
AORライクな「Hey Hey Baby」の話題が先行するアルバムですが、全体としてセカンドラインを意識したニューオリンズ調のファンキー・グルーヴが目立つのも本作の特徴です。もちろん、ドクター・ジャズらしい小粋なジャズ・チューンもきちんと収録されています。
レコーディングにはBen Sidran(p、vo)以下、Phil Upchurch(g、b、per、ds)、James P. Cooke(g)、Kip Merklein(b)、Randy Fullerton(b)、Tom Piazza(ds)、Clyde Stubblefield(ds、per)、George Brown(ds、per)、Jim Peterman(org)、Jerry Alexander(harmonica)、Sonny Seals(ts)、Bunky Green(as)といったミュージシャンが参加しています。
Ben Sidranの持つ多様な音楽性がバランス良く詰め込まれた1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Fat Jam」
James P. Cooke作。ファンキーな疾走感が格好良すぎるインスト。「Hey Hey Baby」と並ぶ本作のハイライトだと思います。聴いているだけで、相当テンション上がってきます。絶妙なホーン・アンサンブルもいいですね。レア・グルーヴ好きの人であれば気に入るはず!
https://www.youtube.com/watch?v=aX0ak65Ewyc
「House Of Blue Lites」
Don Rae/Freddie Slak作。ドクター・ジャズの小粋なジャズ感覚を満喫できます。彼らしいヴォーカル・スタイルがサウンドとよくマッチしています。
https://www.youtube.com/watch?v=aUJDXk1jDUs
「Ben Sidran's Midnite Tango」
Ben Sidran作。かつてSteve Miller Bandのために書いた「Steve Miller's Midnight Tango」のセルフカヴァー。タンゴ調の哀愁チューンです。
「The Chicken Glide」
Ben Sidran/James P. Cooke作。アーシーで妖しげなファンキー・チューン。タイトルも含めて、Little Feat『Dixie Chicken』あたりを意識した部分もあるのかも?
https://www.youtube.com/watch?v=KQlQLlR-LVo
「She's Funny That Way」
Richard Morat/Richard A. Whiting作。ジャズ・スタンダードをカヴァー。Sidranの下手ウマ・ヴォーカルが逆にいい雰囲気を醸し出します。
「Monopoly」
Bud Powell作。ジャズ・ピアニストBen Sidranのプレイを楽しめます。
https://www.youtube.com/watch?v=jflGnQONvjI
「Don't Let Go」
Ben Sidran作。タイトル曲はオーケストレーションを配したムーディー&ミステリアスなインスト。映画音楽のような雰囲気です。
「Hey Hey Baby」
James P. Cooke作。前述のように本作のハイライト曲。AOR的なメロウ・グルーヴです。このポップでグルーヴィーな雰囲気は一度聴くとクセになります。Sidranの線の細いヴォーカルもサウンドにフィットしていますね。Sidranの鍵盤と作者James P. Cookeのギターが印象的です。
https://www.youtube.com/watch?v=aUJDXk1jDUs
本曲をサンプリングしたMC Solaar「Victime De La Mode」も僕のお気に入り。
MC Solaar「Victime De La Mode」
https://www.youtube.com/watch?v=UPOD5uUYXro
「The Foolkiller」
Mose Allison作。このあたりのカヴァー・センスはドクター・ジャズならではですね。本作らしいニューオリンズ・テイストのファンキー・グルーヴに仕上がっています。James P. Cookeのスライド・ギター、Jerry Alexanderのハーモニカが大いに盛り上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=OfM2jxAlElQ
「The Funky Elephant」
Ben Sidran/Clyde Stubblefield/James P. Cooke/Kip Mercklein作。この曲もニューオリンズ調のファンキー・チューンです。セカンド・ラインらしいコクのあるグルーヴ感がたまりません。ホーン・アンサンブルも含めて、サウンドのメリハリが絶妙です。
https://www.youtube.com/watch?v=SwE9h0SciJ4
「Snatch」
Ben Sidran作。格好良い疾走感が魅力のインスト。Bunky Greenのアルト・ソロもSidranのエレピもキマりすぎです!
「Down To The Bone」
Ben Sidran作。ラストはピアノ弾き語りで締め括ってくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=ObSG-pM6WYI
Ben Sidranの他作品もチェックを!
『Feel Your Groove』(1971年)
『I Lead a Life』(1972年)
『Puttin' in Time on Planet Earth』(1973年)
『Don't Let Go』(1974年)
『Free in America』(1976年)
『The Doctor Is In』(1977年)
『A Little Kiss In The Night』(1978年)
『The Cat And The Hat』(1980年)
『On The Cool Side』(1987年)
『Cool Paradise』(1990年)
Ben Sidran & Clementine『Spread Your Wings and Fly Now!!』(1988年)