発表年:1968年
ez的ジャンル:名ソングライター系デュオ
気分は... :脳内会議・・・
今回はThe Monkees作品のソングライティングでも知られるコンビTommy Boyce & Bobby Hartの『I Wonder What She's Doing Tonite?』(1968年)です。
Tommy Boyce & Bobby HartはTommy Boyce(1939-94年)とBobby Hart(1939年-)によるデュオ。
彼らを有名にしたのは、60年代の人気グループThe Monkeesへのソングライティングです。「(Theme from) The Monkees(モンキーズのテーマ)」、「Last Train to Clarksville(恋の最終列車)」、「I Wanna Be Free(自由になりたい)」、「Valleri(すてきなヴァレリ」といった楽曲はBoyce & Hartのペンによるものです。
また、彼ら自身もBoyce & Hart名義で『Test Patterns』(1967年)、『I Wonder What She's Doing Tonite?』(1968年)、『It's All Happening on the Inside』(1969年)という3枚のアルバムをリリースしています。
さらには70年代半ばにThe MonkeesのメンバーであったMicky Dolenz、Davy Jonesと組み、Dolenz, Jones, Boyce & Hart名義でアルバムもリリースしています。
今日紹介する『I Wonder What She's Doing Tonite?』(1968年)はBoyce & Hartとしての2ndアルバムであり、彼らの最大のヒット曲「I Wonder What She's Doing Tonite?」が収録されています。
また、The Monkeesに提供した「Teardrop City」、「I Wanna Be Free」のセルフ・ヴァージョン有り、The Rolling Stones風の楽曲有り、The Beatles風の楽曲有りと、いいとこ取りが本作の魅力でもあります。
個人的には思っていた以上に、サイケ、ロック、R&Bしている曲があり、60年代後半の空気を上手く切り取った感じが気に入っています。
その意味ではThe Monkeesのソングライティング・チーム以上の魅力を持った1枚だと思います。
「Two For The Price Of One」以外は彼らのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「I Wonder What She's Doing Tonite?」
前述のように1967年にシングル・リリースされ、全米チャート第8位となった彼らの最大のヒット曲。アコースティックな味わいとロッキンなフィーリング兼ね備えたキャッチーな名曲です。この当時の彼らの勢いを感じます。
https://www.youtube.com/watch?v=f4YPkJUx7DA
「Pretty Flower」
この時代らしいサイケ・テイストのポップ・ソング。The Rolling Stones「She's A Rainbow」に通じる雰囲気を持った曲です
https://www.youtube.com/watch?v=ND5tAhY_kmU
「Teardrop City」
The Monkeesヴァージョンでもお馴染みの曲。しかしながら雰囲気はThe Monkeesというより、The Rolling Stones風の曲調ですね。個人的にはアルバムで一番のお気に入り。
「Love Every Day」
前曲からのシタール&タブラによるサイケなつなぎがあります。本編は青春の香りのするアコースティックなソフト・ロック調の仕上がりです。
https://www.youtube.com/watch?v=FSyZ-irC1v0
「Two For The Price Of One」
Jimmy Mundy/Johnny Guitar Watson/Larry Williams作。本作唯一のカヴァーはLarry Williams & Johnny Watson。オルガンの効いたR&B調の仕上がりは、モッズ/スウィンギング・ロンドン好きの人が気に入りそうな雰囲気ですね。
「Goodbye Baby (I Don't Want To See You Cry)」
シングル曲。『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』の影響を感じる仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=1OJiWXBeObc
「I'm Digging You Digging Me」
この曲も『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』でPaulが歌っていそうな雰囲気ですね。
「Leaving Again」
切ないバラード。他の曲と比べると少し退屈かな・・・
「The Countess」
彼らが優秀なソングライティング・チームであることを再認識できるキャッチーな仕上がり。
「Population」
ガレージ・ロック風ですが、カントリー的な部分もあって面白い仕上がり。
https://www.youtube.com/watch?v=3YphmSPb_dY
「I Wanna Be Free」
The Monkeesに提供した名曲「自由になりたい」のセルフ・カヴァー。ビューティフルなメロディを高らかなに歌い上げます。
https://www.youtube.com/watch?v=iy-EXvFTjnI
僕の保有するCDには上記以外に「Love Every Day (Mono Single Version)」、「The Ambushers」、「Goodbye Baby (I Don't Want To See You Cry) (Mono Single Version)」、「Where Angels Go, Trouble Follows」、「I Wanna Be Free (Mono Single Version)」の5曲がボーナス・トラックとして追加収録されています。
『Test Patterns』(1967年)
『It's All Happening on the Inside』(1969年)
残念なことに94年、トミー・ボイスは自殺を図り、この世を去つたそうです。
ありがとうございます。
彼らの名は知らずとも、Monkees作品を通じて、彼らの作った曲は多くの人が知っている・・・というのも職人らしいのでは?
ただし、そうした不遇がTommy Boyceの悲劇を招いたのであれば複雑な思いですが。