発表年:1973年
ez的ジャンル:UKフォーキー/カントリー/ブルース
気分は... :スーパー・スターよりも我が道を選ぶ・・・
今回はUKの男性シンガー/ギタリストTerry Reidの3rdアルバム『River』(1973年)です。
Terry Reidは1949年ケンブリッジシャー州ハンティンドン出身の男性シンガー/ギタリスト。
60年代半ばにPeter Jay & The Jaywalkersに加入し、、The Rolling Stones、Ike & Tina Turnerとのパッケージ・ツアーに参加しています。
Jaywalkers解散後に自身のトリオを組んだReidは1968年にソロ名義で1stアルバム『Bang, Bang You're Terry Reid』(1968年)をリリースしています。その直後にJimmy PageからヴォーカリストとしてLed Zeppelinへの参加を誘われたものの、断りを入れると同時に、自分の代わりにRobert Plantを推挙した話は有名ですね。
さらに2ndアルバム『Terry Reid』(1969年)のリリース直前にはDeep Purpleからもヴォーカリストの誘いを受けますが、こちらも断りを入れ、結果的にPurpleにはIan Gillanが加入することになりました。また、The Hollies時代からGraham Nashと親交があった関係で、CS&Nのリハーサルにも参加しています。
このように、英米のロック史に大きな影響を与えることになる諸グループの成り立ちに、少なからず関わってきたReidですが、結果的に彼自身はこれらスーパー・グループに参加することなく、我が道を歩むことになります。その後の彼は『River』(1973年)、『Seed of Memory』(1976年)、『Rogue Waves 』(1979年)、『The Hand Don't Fit The Glove』(1985年)等のアルバムをリリースしています。
今日紹介する3rdアルバム『River』(1973年)は、再評価の高い1枚であり、今日最も良く知られている作品かもしれませんね。
1971年にL.A.に移住したReidは、カントリー/ブルース/スワンプ色を強めた音楽を志向するようになりますが、そうした音楽性が反映されたフォーキー作品が本作『River』です。
L.A.で行われたレコーディングでは名プロデューサーTom Dowdと組み、David Lindley(g)、Lee Miles(b)、Conrad Isidore (ds)といったミュージシャンが参加しています。Jackson Browneのバンド・メンバーとしてお馴染みのDavid Lindleyですが、以前はReidのバンド・メンバーであり、共に1970年にワイト島フェスティバルにも参加していました。また、Reidとお馴染みのラテン・パーカッション奏者Willie Boboのみのセッションも1曲収録されています。
本作には上記のレコーディング以外に、LA移住前にロンドンでレコーディングした音源も含まれており、そちらはEddie Offordがプロデュースを手掛けています。
前半4曲を占めるLAレコーディングは、カントリー/ブルース/スワンプ色を強めた彼の方向性を存分に味わうことができます。少しクセのあるReidのヴォーカルに、存在感抜群のDavid Lindleyのギター、黒人リズム・セクションによる一体感のある演奏は実に芳醇です。
また、Willie Boboと共演したタイトル曲は、フリーソウル的なフォーキー・チューンに仕上がっています。
ラスト2曲のロンドン音源は、Reidの繊細な側面を垣間見ることができるシンプルなフォーキー・チューンに仕上がっています。
スーパー・グループへの加入を拒み、我が道を歩み続けた男・・・思わず好きにならずにいられません。
楽曲はすべてTerry Reidのオリジナルです。
全曲紹介しときやす。
「Dean」
スワンピーな芳醇さがいい感じのオープニング。レイドバック気分を存分に味わうことができます。少しクセのあるReidのヴォーカルとサウンドがマッチしていますね。
https://www.youtube.com/watch?v=-ccV6xsFPmY
「Avenue」
オープニングのLindleyのギターの音色を聴くと、思わずJackson Browneを思い出してしまいますね(笑)。本編はブルージーな味わいがシブい1曲に仕上がっています。
https://www.youtube.com/watch?v=aDgLYlRGWH4
「Things To Try」
本作の方向性が良く示された1曲。レイドバックな雰囲気を、黒人リズム隊のタイトなリズムが引き締めてくれる感じが好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=XU3E86cIBos
「Live Life」
コンガも加わり、よりファンキー&グルーヴィーとなっているのが僕好み。前半のLAレコーディングではコレが一番好きです。
https://www.youtube.com/watch?v=i6WlmkHO-ME
「River」
タイトル曲はReidとWillie Boboのみの演奏です。味のあるReidのヴォーカル&ギターと、彼を好サポートするBoboのコンガが心地好いフォーキー名曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=JpFYalVFFuQ
ここから2曲はロンドン録音の音源です。
「Dream」
美しいメロディとReidの繊細なヴォーカルにグッとくる感動的なビューティフル・フォーキー。
https://www.youtube.com/watch?v=tC_U7TJUzLw
「Milestones」
口笛と共に始まる哀愁フォーキー。シンプルが故に切々と迫ってくるものがあります。
https://www.youtube.com/watch?v=RvrRHvvVAMY
『Bang, Bang You're Terry Reid』(1968年)
『Terry Reid』(1968年)
『Seed of Memory』(1976年)
『Rogue Waves』(1978年)