2015年06月02日

Harold McKinney『Voices And Rhythms Of The Creative Profile』

インパクト大のスピリチュアル・ジャズ☆Harold McKinney『Voices And Rhythms Of The Creative Profile』
ヴォイシズ・アンド・リズムス・オブ・ザ・クリエイティヴ・プロフィール [初回限定盤] [紙ジャケット仕様]
発表年:1974年
ez的ジャンル:Tribe系スピリチュアル・ジャズ
気分は... :凄まじいパワー

ブラック・ジャズの代表的なレーベルの1つTribeで活躍していたピアニスト/コンポーザーHarold McKinney 唯一のリーダー・アルバム『Voices And Rhythms Of The Creative Profile』(1974年)です。

Harold McKinney(1928-2001年)はデトロイト出身。Marcus Belgrave『Gemini II』(1974年)、 Phil Ranelin『Vibes From the Tribe』(1976年)といったTribe名作に参加していたジャズ・ミュージシャンです。

また、Tribe作品ではありませんが、再評価の高いデトロイト・ディスコ・ファンク作品Bohannon『Insides Out』(1975年)にも参加しています。さらにネオソウルの人気アーティストAmp Fiddlerとは師弟関係にあったそうです。

そんなHarold McKinney 唯一のソロ・リーダー・アルバム『Voices And Rhythms Of The Creative Profile』(1974年)です。それ以外にWendell Harrisonとの共同名義によるHarold McKinney & Wendell Harrison『Something For Pops』 (1993年)や、カセットのみでリリースされた『Root Classics』(1989年)といったアルバムもありますが・・・

1974年にリリースされた本作は、壮大なスケールに感動し、衝撃を受けるスピリチュアル・ジャズ作品に仕上がっています。

参加ミュージシャンはHarold McKinney(p、vo)以下、Gwen McKinney(vo)、Marcus Belgrave(tp)、Wendell Harrison(sax、fl)、Darryl Dybka(moog)、Ed Pickins(b)、Ron Jackson(ds)、Billy Turner(per)、Charles Miles(congas)、Carol Taylor(fl、back vo)、Clarence McKinney(back vo)、(back vo)、Ed Gooch(back vo)、Eileen Cohill(back vo)、Faye Blakely(back vo)、Jenine Jackson(back vo)、Sylvia Turner(back vo)、といった面々です。

エレピやムーグ・シンセの音色とHaroldの妻Gwen McKinneyを中心としたゴスペル・クワイア調のコーラス隊とトライバルなリズム隊の織り成すブラック・ジャズは聴く者を圧倒するパワーに漲っています。

特に「Ode To Africa」「In The Moog」「Freedom Jazz Dance」のインパクトは大ですね。この3曲を聴けば、本作の持つ凄まじいパワーを実感できます。

「Freedom Jazz Dance」「Dolphin Dance」以外はHarold McKinneのオリジナルです。

これだけの作品を創れる人のソロ・リーダー作が1作のみとは不条理ですな・・・

全曲紹介しときやす。

「Ode To Africa」
本作を象徴する壮大なスケールのスピリチュアル・ジャズ。アフリカン・リズムにのったブラック・ジャズに重厚なゴスペル・クワイアが加わる音楽絵巻は素晴らしいの一言に尽きます。9分強の演奏があっという間に過ぎてしまいますな。
https://www.youtube.com/watch?v=VG3_PNZCJSw

「Heavenese」
McKinneyと妻Gwen McKinneyの夫婦ヴォーカルを聴けるスピリチュアル・ジャズ・バラード。

「Out Of The Blues」
タイトルの通り、ブルース・フィーリングの演奏を楽しめます。適度にフリーキーな感じがいいですね。
https://www.youtube.com/watch?v=yQgaoHvglVc

「In The Moog」
スペイシーなムーグ・サウンドにトライバルなエッセンスも加わったインパクトのあるマッドな演奏に魅了されます。こういう先人たちがいたからこそ、デトロイト・テクノが生まれたのかもしれませんね。
https://www.youtube.com/watch?v=S1s_6vaqtbQ

「Corner Stone」
スリリングな演奏で一気に駆け抜け、Marcus Belgraveのトランペット・ソロ、Ron Jacksonのドラム・ソロで盛り上げてくれます。

「Freedom Jazz Dance」
Eddie Harris作のダンス・クラシックをカヴァー。当ブログではMiles DavisWoody HermanBrian Auger's Oblivion Expressのカヴァーも紹介済みです。混沌と覚醒と自由と宇宙が入り混じったブラック・ジャズの醍醐味を堪能できる演奏は、「Ode To Africa」、「In The Moog」と並ぶハイライトだと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=cI4I9cUON7U

「Dolphin Dance」
Herbie Hancock作の名曲をカヴァー。冒頭とラストにJohn Coltrane「A Love Supreme」のエッセンスを散りばめているあたりがブラック・スピリチュアル・ジャズ作品らしいです。
https://www.youtube.com/watch?v=Hxs3OuUgEko

CDにはボーナス・トラックとして、「Ode To Africa (Single Version)」「Jelly Loa」の2曲が追加収録されています。

ご興味がある方は、Marcus Belgrave『Gemini II』(1974年)、 Phil Ranelin『Vibes From the Tribe』(1976年)といったHarold McKinney も参加したTribeレーベルの名作もチェックを!

Marcus Belgrave『Gemini II』(1974年)
Gemini II

Phil Ranelin『Vibes From the Tribe』(1976年)
Vibes From the Tribe
posted by ez at 05:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 1970年代 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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