発表年:2005年
ez的ジャンル:ワールド・ジャズ・トリオ
気分は... :創造力+実行力・・・
西アフリカ、ベナン共和国出身のLionel Loueke(g)、ハンガリー出身Ferenc Nemeth(ds)、スウェーデン出身のMassimo Biolcati(b)によるジャズ・トリオGilfemaの1stアルバム『Gilfema』(2005年)です。
当ブログでは3人の中でLionel Louekeのソロ・アルバム『Heritage』(2012年)を紹介済みです。
ジャズのエリート校Thelonious Monk Institute of Jazzに同期合格した3名によって結成されたトリオがGilfemaです。グループ名はLouekeのニックネームGilesと残りメンバーの名前の頭文字をとったものです。
グループは『Gilfema』(2005年)、『Gilfema +2』(2008年)という2枚のアルバムをリリースしています。
発売当初からスイングジャーナル誌のゴールドディスクに選定されるなど国内でも高い評価を得ていた作品でしたが、昨年話題となったJazz The New Chapter(JTNC)でLionel Louekeへの注目が高まると共にGilfemaも再評価されるようになったのでは?
ジャズ・エリートによるユニットですが、透明感のあるLouekeのギターとアフリカン・ヴォイスが印象的なワールド・ジャズ的な雰囲気もあります。
アイデアとテクニックが両立する新時代のジャズを感じさせる1枚です。
改めて、Lionel Louekeが注目される理由がよくわかりました。
全曲紹介しときやす。
「Dream」
澄み切ったLouekeのギターとアフリカン・ヴォイスが印象的なオープニング。NemethのドラムとBiolcatiのベースが織り成すリズムが時折トーキングドラムのように聴こえるのが面白いですね。
https://www.youtube.com/watch?v=o33U_pk2vRI
「Lost Magic」
Pat Methenyあたりと一緒に聴きたくなるサウンド・スケープ的な美しい演奏です。
「Akwe」
Louekeのアイデンティティのようなものを強く感じるアフリカン・テイストの演奏です。
「Gbede Temin」
少し憂いを帯びたLouekeのアフリカン・ヴォイスが印象的な1曲。スキャットに寄り添うLouekeのギターも歌っています。
「Vera」
三人の三位一体感にグッとくるワールド・ジャズ的な演奏です。ずっしりとした聴き応えがあります。
「Tinmin」
このユニットの魅力が凝縮された演奏を楽しめます。Louekeのギターとアフリカン・ヴォイスが目立ちますが、NemethのドラムとBiolcatiのベースも実にエキサイティングで格好良いです。
https://www.youtube.com/watch?v=yhPA7FXQU5c
「New Song」
心が浄化されるビューティフル・バラード。Louekeの美しいギターをBiolcatiのベースが引き立てています。
「Okagbe」
ジャズ・エリート的な演奏とアフリカン・テイストのバランスがうまくとれた演奏を楽しめます。
「Allgon」
JTNC好きの人が聴くと、気に入りそうな進化形ジャズ的な演奏です。
「Six And Three」
ジャズ・エリートらしい洗練と知性を感じる演奏です。
「At The Three」
夜明け前の静寂といった趣の大地のパワーを感じる演奏です。
「Manding」
このユニットらしいワールド・ジャズ。演奏を牽引するBiolcatiのベースとそれに呼応するLouekeのギターのやりとりがいいですね。
「Hormonix」
ラストは進化形ジャズらしい三人の緊張感のある演奏で締め括ってくれます。
Lionel Loueke『Heritage』(2012年)