発表年:2002年
ez的ジャンル:西ロンドン系ハウス/ブロークンビーツ/フューチャー・ジャズ
気分は... :甘い?酸っぱい?
今回はUKの人気DJ/プロデューサーPhil AsherがFocus名義でリリースした『Sweet And Sour』(2002年)です。
Phil Asher関連作品の紹介は、restless soul Fun Band『Fun Lp』(2013年)に続き2回目です。
本作はFocus名義ですが、Phil Asher初のソロ・アルバムという位置付けでいいでしょう。
アルバムにはKaidi Tatham(Bugz In The Attic、2000Black等)、Mike Patto(元Reel People)、Mark De Clive-Lowe、Chris Frank(Da Lata)、Nathan Haines、Williams Cumberbacheといった西ロンドンのキーパソンとなるアーティストが多数参加しています。
アルバム全体としては、西ロンドンらしいハウス/ブロークンビーツ/フューチャー・ジャズらしい1枚に仕上がっており、Phil Asherや参加ミュージシャンの名が引っ掛かった人にとっては満足できる内容の1枚だと思います。
僕が保有するのは国内盤ですが、国内盤は曲順が変更されており、前半7曲が"Sweet"パート、後半6曲が"Sour"パートとなっています。Sweetパートはキャッチーなダンス・チューンが並び、Sourパートは実験的な曲が並びます。
やはり、キャッチーなSweetパートを聴いてしまいますね。シングルにもなった「Having Your Fun」、「Find Myself」といった人気曲や、人気ブラジリアン・グルーヴのカヴァー「Bamba」、アフロ・テックな「Wha Blo」、80年代モードの「Bassual」、「Never Giving Up」と聴き所満載です。
それと比べてSourパートは多少聴く人を選ぶかも?そんな中でも「Journey To Jupiter (Act 1 The Daughter Of Spazm)」、「Hal」あたりは魅力的です。
1枚でPhil Asherの多様な音楽性や当時の西ロンドンの勢いを実感できる充実の1枚だと思います。
全曲紹介しときやす。
「Having Your Fun」
シングルにもなった人気曲と共にアルバムは幕を開けます。Maiya Jamesの女性ヴォーカルをフィーチャーしたR&Bテイストの仕上がりは夜遊びモードにピッタリ!聴く者のテンションを上げてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=WREk8_4BLaU
「Find Myself」
この曲もシングルになりました。Andrea Mendezの女性ヴォーカルをフィーチャーしたソウルフル・ハウス。90年代N.Y.ハウス調のアンダーグラウンドな雰囲気があっていいですね。Williams Cumberbacheのパーカッションも効いています。
https://www.youtube.com/watch?v=L0Ss2gNt_NI
「Marvin Is One」
アブストラクトなハウス・チューン。エレクトリックなアクセントも印象的です。Nathan Hainesがシンセで参加しています。
https://www.youtube.com/watch?v=wzrF7ImrdY4
「Bamba」
ハンガリーのフュージョン・グループDimenzioが1981年にリリースしたブラジリアン・グルーヴをカヴァー。クラブジャズ・クラシックとしても人気のある本曲を、西ロンドンらしいエレクトリックなダンス・チューンに仕上げています。Kaidi Tathamの貢献が大きい1曲。
https://www.youtube.com/watch?v=ENuO5_n6rfc
Dimenzioのオリジナルもチェックを!
Dimenzio「Bamba」
https://www.youtube.com/watch?v=QO5lgq5LBS0
Dimenzio『Dimenzio』(1981年)
「Wha Blo」
Kaidi Tathamのフィーチャリングが明記されているダンサブルなアフロ・テック・ジャズ。女性ヴォーカルはMaiya James。ハイパーなアフロ・ビートがクセになります。
「Bassual」
Maiya Jamesをフィーチャーしたディスコ・ブギー。昨今のディスコ・ブギー・ブームにもリンクするアッパーな仕上り。
「Never Giving Up」
Maiya Jamesをフィーチャー。前曲に続き80年代ブラコン調のエレクトリック・ダンス・チューンです。本曲ではMike Pattoの貢献が大きいようです。
ここまでが前半の"Sweet"パートです。
「China Bumps」
ここからが後半の"Sour"パートです。本曲はフェンダーローズのメロウな音色と躍動するリズムを組み合わせたブレイク・ビーツ・チューンです。
「Spaceship Rocket」
アブストラクトな展開です。
「Journey To Jupiter (Act 1 The Daughter Of Spazm)」
Kaidi Tathamによるアナログ・シンセやChris Franckのギターが彩るエレクトリック・ジャズ。カリプソ・テイストのアクセントがいいですね。
「Exagr8」
実験的なミニマルなサウンドが印象的です。
「Hal」
デトロイト・テクノ調の仕上がり。彼のルーツに触れることができる1曲なのでは?
「Sweet & Sour」
タイトル曲はMark De Clive-Loweが参加しています。マッドなフューチャリスティック感が印象的です。
「Never Giving Up (Dub Mix)」
国内盤ボーナス・トラック。「Never Giving Up」のダブ・ミックスです。
restless soul Fun Band『Fun Lp』(2013年)