発表年:2015年
ez的ジャンル:新進ジャズ・ドラマー系アコースティック・ジャズ
気分は... :なでしこベスト4なるか!
サッカー女子W杯は準々決勝が始まりました。
昨日の「ドイツ対フランス」は今大会で最も見応えのある強豪対決でしたね。絶対フランスが勝ったと思いましたが、しぶとく同点に追いつくところがさすがドイツでしたね。フランスは負けて尚強しという印象です。タレントが揃っていますよね。
さて間もなく、なでしこの出番です。世界ランクが上の日本が有利との前評判ですが、コンディショニング面で問題ないのかが心配ですね。おそらくオランダ戦のような美しいサッカーは難しいと思うので、どろ臭く、粘り強く戦って欲しいです。また、選手交代が鍵を握りそうですね。澤選手、岩淵選手あたりがラッキーガールになることを期待しています。
今回は新作ジャズからMark Guiliana Jazz Quartet『Family First』です。
注目の新進ジャズ・ドラマーMark Guilianaの紹介は、『My Life Starts Now』(2014年)に続き、2回目となります。
Jazz The New Chapterに象徴される今ジャズの動きに呼応するように、昨年『My Life Starts Now』、『Beat Music:The Los Angels Improvisations』というビート・ミュージック的アプローチのリーダー作を2枚立て続けにリリースしたMark Guiliana。現在ジャズ・シーンで最も旬なドラマーの一人といえるでしょう。
そんな注目ドラマーの最新作は、新グループによるアコースティック・ジャズ作品です。
カルテットのメンバーはMark Guiliana(ds)、Jason Rigby(ts)、Shai Maestro(p)、Chris Morrissey(b)という4名。
Jason RigbyはGuilianaは共演を希望していたお気に入りのサックス奏者だったようです。
Shai Maestroは、Guilianaと同じくイスラエル出身のベーシストAvishai Cohenのグループに在籍していたピアニスト。Avishai Cohen Trio『Gently Disturbed』(2008年)では2人揃ってのプレイを聴くことができます。
Chris Morrisseyは彼のリーダー作『North Hero』(2013年)にGuilianaが参加しています。
コアなジャズ・リスナーではなく、"永遠のジャズ初心者"を自称する僕としては、ジャズの枠に囚われず故J Dilla、Squarepusherらにも触発されたMark Guilianaのアプローチに惹かれていたので、カルテット編成のアコースティック・ジャズ作品と聞いて、"今回は僕向けではないからパスかな"と勝手な先入観を抱いていました。
しかしながら、CDショップのジャズ売場で先々週紹介したKamasi Washington『The Epic』を購入した際に、ついでに本作を試聴し、オープニングの「One Month」を聴くことで先入観を払拭できました。"やはり、Mark Guilianaは違うな・・・"
Mark Guilianaの圧倒的なドラミングと4名の素晴らしいアンサンブル、インプロビゼーションをバランス良く楽しめる1枚に仕上がっています。
特に「One Month」、「Long Branch」のGuilianaのドラミングは圧巻です。
2曲のカヴァー以外はGuilianaのオリジナルです。
『Family First』Album Teaser
https://www.youtube.com/watch?v=ME0EVPfzp1I
全曲紹介しときやす。
「One Month」
僕に本作の購入を決意させた何とも刺激的なオープニング。いきなりGuilianaの"今ジャズ"ドラマーらしいドラミングを存分に楽しめます。それに呼応するJason Rigbyのサックス、Shai Maestroのピアノもゾクゾクします。
「Abed」
Chris MorrisseyのベースとMaestroのピアノが牽引する小粋な前半と、一気にギア・チェンジしてスリリングに疾走する後半のメリハリがいいですね。
「2014」
哀愁バラード。Rigbyの情感を込めたサックスの音色が心に染み入ります。
「Long Branch」
イントロからGuilianaのエキサイティングなドラミングを堪能できます。"今ジャズ"らしいダイナミズムを持つと同時に、この4名ならではのケミストリーを感じる演奏は圧巻ですね。
「Johnny Was」
Bob Marley & The Wailersのカヴァー(Rita Marley作)。オリジナルは当ブログでも紹介した『Rastaman Vibration』に収録されています。オリジナルの雰囲気を受け継いだ哀愁バラードに仕上がっています。流れ弾の犠牲となった息子の死とそれを悲しむ母について歌った本曲をセレクトしたあたりに何かGuilianaのメッセージがあるのかもしれませんね。
「From You」
4人による美しいアンサンブルを楽しめます。特に、Maestroのピアノの流麗なタッチがいいですね。
「The Importance Of Brothers」
"永遠のジャズ初心者"である僕にとっては少し難解な感じです。まぁ、こういうのもジャズ作品らしいですが。
「Welcome Home」
Chris Morrisseyのベースに、ドラム、ピアノ、サックスの音が重なっていく感じが印象的です。
「Family First」
ラストはゆったりと流れる美しいバラードで締め括ってくれます。4人の研ぎ澄まされた感性による美しい演奏は感動的です。
「Beautiful Child」
国内盤ボーナストラック。US男性SSW、Rufus Wainwright作品をカヴァー。オリジナルは『Want One』(2003年)に収録されています。この楽曲の持つ魅力をジャズでしっかり伝えてくれます。このカヴァー・セレクト自体が"今ジャズ"アーティストな感じでいいですね。
Rufus Wainwrightのオリジナル自体が素晴らしいので、こちらもぜひチェックを!
Rufus Wainwright「Beautiful Child」
https://www.youtube.com/watch?v=VNNf9j0Bfk4
Mehliana『Taming The Dragon』(2014年)
『My Life Starts Now』(2014年)
『Beat Music:The Los Angels Improvisations』(2014年)